ISOの本棚

ISO9001、ISO14001、ISO22000、OHSAS18001、ISO/IEC 27001、ISMS、Pマークなどのマネジメントシステムの書籍からビジネス書などを書評を交えて順次紹介していきたいと考えています

開発・設計における“Qの確保”

品質は、人質との言葉があります。

すなわち、モノづくりの基本は、究極のところヒトづくりに帰すると言われます。

現下の職場に多数の課題が山積している環境下で、より高いモノづくり品質を目指すとなるとそれに携わる技術者が適切な力量と顧客視点のセンスをしっかりと磨くことが重要になります。

本日は、開発・設計における“Qの確保”をテーマとした書籍を紹介します。

日本品質管理学会中部支部産学連携研究会の編集による本書において、厳しい環境の中、モノづくり品質をつくり込むためにエンジニアがどのように仕事を進めたらよいかといった一つの指針を説いています

モノづくりの成果は、製開販に関わる実務担当者の思いと努力と粘りの結晶がもたらすものということになりますが、とりわけ原流側の立場にある開発・設計のエンジニアは、大きな位置づけを占めています。

とくに「お客様に安心して、いつまでも安全に使っていただける“良いモノづくり”を可能にするのは、モノづくりに携わる一人ひとりの技術者」次第とも言えます。

本書の「まえがき」で日本品質管理学会中部支部 支部長の木下潔氏は、本書について、


『モノづくりに携わる一人ひとりの技術者が、愚直に、地道に、徹底して品質にこだわりをもち続けることができるよう、研究会で検討を続けた”Qの確保”のための道筋をまとめました。

自らの仕事のプロセスを常に見える化し、潜在する問題にもスポットがあるようにして問題解決・未然防止につなげられる実践的な内容です。

この中で述べられている内容をモノづくりに携わる一人ひとりが実践できるかどうかが、次の時代への飛躍につなげるための鍵を握っているといっても過言ではありません』

と述べています。

<<ポイント>>

品質(Q)の確保”をテーマに、現在、モノづくりの現場が抱えている問題を現地・現物の視点から抽出し、具体的に解決していくための方法論・考え方・手順等を中心に“品質(Q)の確保のための指針として多数の事例解説を交えて説いている本

本書は、社団法人 日本品質管理学会中部支部 産学連携研究会(早稲田大学 永田靖教授を代表とした12名の執・編著者)で“品質(Q)の確保”をテーマに検討を重ねてきた内容で、

トヨタグループの取組みを基に、品質工学を効果的に活用するためのコツと社内に展開する上でのポイント等を分かり易く解説しています。

また設計の変更点やお客様の使用条件・環境条件の変化点に潜んでいる問題にいかに気づくか、一人ひとりの技術者が、これまで以上に感度を上げていくために、モノづくり品質をつくり込むためにエンジニアがどのように仕事を進めていけばよいのかの道標となる内容にまとめられています。

本書:「開発・設計における“Qの確保”」です。

より高いモノづくり品質をめざして」との副題が付いています。

本書は、日本品質管理学会中部支部 産学連携研究会の編集にて、2010年5月に日本規格協会より発行されています。

<<本書のエッセンスの一部>>

本書の帯には、以下のように書かれています。

高い品質で新たな時代を切り開く!

品質確保のための新しい実践的手法の提案


本書は、10章から構成されています。

トヨタ自動車(株)の豊田章一郎名誉会長の自動車技術会60周年講演での日本の自動車産業の今日までの発展要因について「現場現物」、「品質は工程でつくり込む」、「価格はお客様が決める」、「モノづくりはヒトつくり」という4つの努力があった結果とのお話から、トヨタのモノづくり基盤を築いて来た人たちの品質に対する考え方を上記4つの言葉にまつわるエピソード等を交えて紹介するところから始まります。

また最近のモノづくりに関して技術分野の「信頼の崩壊」とも言える重大事故、失敗、問題による信頼の崩壊といった事象を取り上げ、それらの「開発・設計問題」の真因は何かを考察し、開発・設計の早い段階で、変更点、変化点に潜む問題を発見して未然に対処する「未然防止」を徹底するマネジメントの必要性を強調しています。

そして、本書の「Qの確保」というテーマに関して、『現在の厳しい経済状況のもと、逆風を追い風に変えていくためのキーワードは、仕事のプロセスを見える化する「プロセスマネジメント」と、問題発見に着目した「未然防止」』と述べています。

また「Qの確保」の重要性を再確認し、中部地方のモノづくりの現場が抱えている問題の調査の結果、「仕事のプロセスが見えていない」「見えていない問題を解決する能力の低下」の問題に集約されたとし、「Qの確保」のルーツとなる『トヨタ生産方式TPS)』(”ジャストインタイム”と”自働化”)を概観し、自工程完結に繋がる仕事のプロセスが「Qの確保」のキーになるとしています。

そして、「Qの確保”のための問題発見と問題解決(未然防止)」をテーマに顕在化した問題の再発防止と対比して起こりそうな問題を予測してそれに未然に対処する未然防止に焦点を当てて論じています。

FMEAやFTAなどリスク評価の手法に触れ、未然防止の観点からリスク評価の結果、切り捨てられそうになった部分に問題が潜んでいる可能性があることなど留意した上で、

  • 「変更点」や「変化点」に潜む問題を発見すること
  • 比較による思考の連鎖から問題の芽に気づくといったこと
  • 既存の問題解決手法

について考察し、実践的問題解決手法をその手順と共に提示しています。

またなぜなぜ5回で真の原因に到達できるかを考察し、真の原因を特定するのにStress-Strengthモデルを考えることの意義を説いています。

そして「Qの確保」をモノづくりの開発・設計現場で実践していくために必要なマネジメント力の発揮に焦点をあて、プロセスマネジメント問題解決の側面から何が必要かを説いています。

自工程完結の基本思想の「One Process,One Decision)を果たすための手法として、品質工学SQCデザインレビューについてプロセスマネジメントの視点からどのように取組むべきかを説いています。

また「マネジメントの基本は“プロセスの見える化”」と「プロセスマネジメントの実践手法と事例」について、方針使命の理解、ビジョン策定、お客様の声(VOC)から要求項目の整理、方針管理と日常管理、プロセスリンクマネジメント、TLSC(Total Link System Chart)の実践事例、QCMS(Quality Chain Management System)の実践事例など詳解されています。

そして、品質工学とSQC との融合などを含む「開発・設計における技術力アップのための問題解決の実践方法」について、機能展開の手順、品質工学の効果的活用のポイント、適合設計の進め方、有限要素法(FEM)シミュレーション実験の合わせ込みの品質工学の活用、品質工学とシャイニンメソッドの活用、設計・製造におけるばらつきの低減、品質工学とSQC の推進体制等のポイント、パラメータ設計の留意点などを解説しています。

次いで「問題の見える化」から「問題解決」につなぐプロセスとしての視点からのデザインレビューと情報抽出、問題発見のためのデータベースの活用をどのように進めたらよいかについて事例を交えて詳解しています。

また“Qの確保”の源泉となる「現場力と職場力」についてその重要性、「現場力と職場力」に基づくエンジン開発、ハイブリッド車開発の事例を交えて問題解決に現場力と職場力がどのように発揮されたかを解説しています。

最後に、“Qの確保”に関わる産学連携研究会、テーママップなどをまとめ整理した上で、今後の課題について展望しています。

<<本書で何が学べるか>>

本書では、商品の質と価値を守り、安心・安全を保証する“Qの確保”には何が必要かとの観点から日本品質管理学会中部支部 産学連携研究会で重ねてきた検討がベースになっています

特に「仕事のプロセスが見えていない」「見えていない問題を解決する能力の低下」が課題であるとしてこれを解決すべく、トヨタグループでの取組みを基に、SQC品質工学デザインレビューを核としてこれらを融合的に効果的に活用するためのコツと社内に展開する上でのポイント等を事例を交えて分かり易く解説しています

<<まとめ>>

本書は、開発・設計に関わるエンジニアの方々をはじめ“品質(Q)の確保”に関心がある技術者には読んで頂きたい一冊です。

なお本書の目次は、以下の内容です。
第1章 先人たちの品質へのこだわり
1.1 現地現物
1.2 品質は工程でつくり込む
1.3 価格はお客様が決める
1.4 モノづくりはヒトづくり
第2章 最近のモノづくりで何が起こっているか
2.1 最近多発している重大事故,失敗,問題による信頼の崩壊
2.2 日本のモノづくり品質における優位性の低下
2.3 開発・設計現場で発生している問題の真因は何か
2.4 経済危機の中で“Qの確保”の解を見いだせるか
第3章 モノづくりにおける“Qの確保”
3.1 “Qの確保”の重要性
3.2 “Qの確保”のルーツ―トヨタ生産方式(TPS)
3.3 “Qの確保”はそれぞれの工程で品質をつくり込む自工程完結
第4章 “Qの確保”のための問題発見と問題解決(未然防止)
4.1 見えていない問題を発見して解決する未然防止
4.2 これまでの問題解決手法で見えていない問題に手を打てるか
4.3 問題発見に着目した実践的問題解決手法の提案
第5章 “Qの確保”へのアプローチ―プロセスマネジメントと問題解決
5.1 プロセスマネジメントからのアプローチ
5.2 問題解決からのアプローチ
第6章 プロセスを見える化するプロセスマネジメントの実践方法
6.1 マネジメントの基本は“プロセスの見える化”
6.2 プロセスマネジメントの実践手法と事例
第7章 開発・設計における技術力アップのための問題解決の実践方法
7.1 品質工学とSQC との融合に向けて
7.2 基本機能を導くための機能展開
7.3 品質工学の効果的活用のポイント
7.4 適合設計の方法論
7.5 シミュレーション実験における品質工学とシャイニンメソッドの活用
7.6 設計・製造におけるばらつきとは
7.7 品質工学とSQC の推進体制
7.8 パラメータ設計における留意点
第8章 “Qの確保”を支えるデザインレビューとデータベース
8.1 デザインレビューのシステム
8.2 データベースと情報抽出,問題発見について
第9章 “Qの確保”の源泉―現場力と職場力
9.1 現場力と職場力の重要性
9.2 現場力と職場力の発揮による問題解決事例
第10章 まとめと今後の課題
10.1 “Qの確保”のための産学連携研究会
10.2 “Qの確保”のためのテーママップ
10.3 “Qの確保”のための今後の課題

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[新版]ドラッカーの実践経営哲学

書店へいくとドラッカーの関連本が山積みにされているといったコーナーを良く見かけます。

またAmazonのベストセラー書籍の上位をみても幾つかのドラッカー著作が登場しているなどドラッカーの著作は,最近の人気が高いようです。

ドラッカーのマネジメント論は、難解とされていますが、ビジネスの基本となるドラッカーの経営哲学について実際の企業事例を交えながら要点解説しているドラッカーの2002年刊の翻訳書の要約解説書が新書版として復刊されていますので紹介します

本書の「まえがき」で著者:望月護氏(2003年ご逝去)は、ドラッカー教授の著作は役に立つ実践的な本ながら言語の違いもあって読みにくいとされていたので手早く要点を理解できるものがあればよいのだがと自身も感じていた…と本書の執筆に至った動機を述べ、

  • 「市場経済とは何か」
  • 「何のために働いているのか」
  • 「マネジメントとは何か」
  • 「マーケティングと販売とはどこが違うのか」
  • 「イノベーションとは何か」
  • 「実利と浮利との違いは何か」
  • 「儲かる会社と潰れる会社はどこが違うのか」
  • 「生き残るためには何をすれば良いのか」

などさまざまな疑問があるが、幸いにも我々は、ドラッカー教授の叡智から全体と本質を学ぶことができ、この意味が理解できれば若い世代の人たちにとっても「鬼に金棒」になるはずと述べています。

本書では、「お客をつくる」をテーマに9章の構成でドラッカーのマネジメント論を実際の企業事例を紹介しながら解説しています。

<<ポイント>>

お客をつくる」をテーマとしたドラッカーの経営哲学の実践入門書

本書は、ドラッカー翻訳書の要点を短時間で読みたいという人のニーズに応えるための要約本として書かれており、

「間違いだらけのマネジメント」の論に始まり、ドラッカーの著作の引用文を参照しながらお客をつくることを目指す世界最高の叡智と言われるドラッカーのマネジメント論について実際の企業事例を紹介しながら解説しています。

本書:「[新版] ドラッカーの実践経営哲学」です。

ビジネスの基本がすべてわかる!」との副題が付いています。

本書は、著者:望月護氏にて、2010年6月にPHP研究所から「PHPビジネス新書」の一冊として復刊・発行されています。

<<本書のエッセンスの一部>>

本書の帯並びに表紙カバーの折り返し部には、以下のように書かれています。

短時間で、「世界最高のマネジメント」を習得できる!

----------------------------------ドラッカー翻訳の第一人者上田惇生氏推薦!

実際の企業事例を交えながら難解と言われている経営理論をやさしく要点解説


難しくて読む気になれない

読んでも分からない

積んどく本だ

そんなあなたも、この一冊があれば大丈夫

ドラッカー入門書の決定版!

本書は、9章から構成されています。

各文節の要所要所にドラッカーの著作から例えば、『ネクスト・ソサエティ』等の翻訳書の要点の引用文が掲載されていてその言葉を巡って企業等の具体事例を交えて解説が進むという構成でドラッカーの考え方が分かり易く解説されており、短時間で読み切ることができる展開になっています。

印象深い一端を紹介します。

「ドラッカーは、リーダーにとって最大の仕事は企業内で働く全ての人間に役割を与えて、やる気を引き題して生産的にし向けることだという。(略)
リーダーとは周囲の人間をやる気にさせて企業を儲けさせ、その結果自分自身も潤う人間のことを言うのである。
そのためにリーダーは夢を語ることが大切なのだ。人間は夢と希望(ビジョン)がなければやる気を起こさない。「笑う門には福来たる」というが、何よりリーダーは周囲を明るい気持ちにさせることが大切だ。情勢がいかに暗くとも、常に周囲を明るい気持ちにさせることができる人間が本当のリーダーだ。」(第1章「間違いだらけのマネジメント」)


「外部から仕入れた価値に、新しく自社で「価値」を加えているからビジネスが成り立っているのである。
付加価値が増えることで経済が成長し、社会が発展しているのである。
しかし価値を生んでもカネを払ってくれる者がいなければ、利益に変えることができない。カネを払ってくれる者は外部にいるお客である。お客がいなければ付加価値を利益に変えることはできないのである。」(第2章「ビジネスの基本」)


「最も大事なことは、危ない会社とは付き合わないことである。危ないと噂の出ている企業や、幹部が辞めていく企業などは危ない会社である。こういう企業との取引は、現金取引にするか入金を絶えずチェックしておくことが必要である。
 営業研修と言えば、もっぱらコミュニケーションの方法や応対の仕方や接客態度の研修が行われているが、ほとんど意味がない。
 営業マンに必要な知識は、お客に買ってもらうしくみをつくるマーケティングの方法論と手順、取引先が破綻した時に必要な回収の方法と手順である。
 教えてくれるテキストがないからである。」
(第4章「販売前のマーケティング」)


「企業は、お客でなく「市場」を見ていなければならない。つまり、「我が社のお客になっていない人たち」を見ていないから不振に陥ってしまうのである。我が社に致命的な打撃を与えるのは「我が社のお客になっていない人たち」(ノンカスタマー)の変化である。(略)
 「我が社のお客になっていない人たち」をよく見て手を打っておけば、売上を伸ばす余地が潜んでいるのである。市場は絶えず変わって行くから、注意して観察することが必要なのである。」
(第5章「お客様は満足していない」)

このような要領で、ドラッカーのマネジメント論の要点を、実際の企業事例を交えながらやさしく解説しています。

<<本書で何が学べるか?>>

本書で、「お客をつくる」をテーマとしたドラッカーのマネジメント論のエッセンスを多くの企業事例を交えながら分かり易く解説しています

多忙のなか、分厚いドラッカーの翻訳書の読破を尻込みしていた人も出張等の隙間時間等を利用して本書でドラッカーの経営哲学への入門が果たせます。

<<まとめ>>

本書は、とっつき易く、ドラッカーのマネジメント論を学びたいとのニーズを持っておられるビジネスパースンにはお奨めの一冊です

なお本書の目次は、以下の内容です。
第1章 間違いだらけのマネジメント
第2章 お客軽視が不況を招いた
第3章 ビジネスの基本
第4章 販売前のマーケティング
第5章 お客は満足していない
第6章 お客本位へ
第7章 お客軽視の犯人
第8章 棄てる決断・やめる勇気
第9章 選手交代の時代の主役はあなただ

FMEAの基礎知識と活用事例[演習問題付き]

医療安全管理者に定評のある医療分野に特化したFMEA故障モード影響解析)手引書の前著(2007年発行)について、関連講習会の実績を踏まえてよりわかりやすく改訂した第2版が発行されています。

そもそもFMEAFailure Mode and Effects Analysis故障モード影響解析)は、製品やシステムの信頼性・安全性を評価・分析する手法。

すなわち、不具合や事故が発生する設計・企画の前流側で、不具合を発生させる要因を抽出し、発生頻度、発生した場合の影響度を評価・採点し、全体としての致命度、危険度を定量化し、どの故障モードの発生を優先的に防止すべきかの順位を選定し、重大な事故・故障を予防する方法

また設計段階(設計FMEA)のみならず、製造工程に関しても適用され(工程FMEA)、幅広く、システムやサービスの安全性・信頼性の確保にも適用されています。

自動車産業では、FMEAは、製品及び工程の開発プロセス全体を通して潜在的問題についてISO/TS 16949の方法によるFMEAリファレンスマニュアルに準拠するFMEAが基本的な分析手法として盛んに実践されています。

医療サービスでは、多職種が多分野で並行して業務を行っているといった複雑な業務フローとなっている特質があるが、FMEAは、人と人が行う作業に潜む不具合(潜在的不具合)を把握して、予防処置として実施するための強力なツールになります。

本書では、FMEAの指導経験豊富な財団法人東京都医療保健協会 練馬総合病院院長らの著者が、医療のためのFMEAの基本的な考え方から読者が実務へと活用できるようにとの観点から具体的な使い方をイメージできる事例と演習問題を豊富に収録して分かり易く解説しています

<<ポイント>>

医療安全確保のためのFMEAの基礎知識と活用事例を演習問題も交えて説くFMEA手引書。(改訂2版)

本書では、【総論】と【各論】との2編から構成されています。

【総論】では、医療の安全確保のための考え方、医療安全管理者養成講習会、FMEAに照準しての概説、FMEA 実施手順の概要とFMEA 演習時の留意ポイントなど概観しています。

【各論】では、FMEA の実施手順、「薬剤(内服・外用・注射)の安全な管理を徹底する」をテーマとした事例解説、充実したFMEA の演習問題とその解説で詳解しています。

とくに医療サービスの検査や与薬などの業務に潜む問題や不具合を導き出し、未然に防止する手法であるFMEAについて、その考え方、手法の使い方、適用事例を含め解説しています

本書:「FMEAの基礎知識と活用事例[演習問題付き]」です。

本書は、飯田修平氏の編著、ならびに金内幸子氏、柳川達生氏の共著にて、2010年7月に日本規格協会より 「シリーズ医療安全確保の考え方と手法」の2として発行されています。

<<本書のエッセンスの一部>>

本書の帯には、以下のように書かれています。

与薬などの業務において

発生するであろう問題や

不具合を漏れなく導き出し、

未然に防止する手法

それがFMEA(故障モード影響解析)。

「はじめに」(第2版)で筆者は、医療におけるFMEA及び第2版の改訂のポイントについて以下のように述べています。

 FMEAの実践でもとも重要な作業は、不具合様式の抽出である

その前提として、当該業務の緻密な分析が必要である

業務工程表、業務フロー図が作成できれば、業務における問題点が浮かび上がる。

業務を熟知するものが分析チームに参加していなければならない。

業務の具体的な作業を目的を理解していれば、不具合様式を抽出することは比較的容易である。

第2版で大きく変わったところは、作業の粒度に関する新しい考え方と方法を詳細に解説したことである

本書では、【総論】と【各論】の本編に加え、巻末に以下の付録が添付されています。

  • 付録1 米国VA 患者安全全国センターの医療のFMEA(HFMEA)
  • 付録2 安全に関する練馬総合病院諸規定

本書には、練馬総合病院でFMEAのために用いている各種ワークシート類をはじめ、多数の図表が挿入され具体的で分かり易い構成となっています。

第1編の総論は、7つの章から構成され、医療の安全確保の取組を概観する解説にはじまり、医療安全管理者養成講習会のプログラム、未然防止手法、FMEAについてのRCA、FTAとの違いから併用活用など交えての概要、故障モード、実施手順のポイントなど本書の全体を概観した構成となっています。

第2編の各論では、3つの章から構成され、以下の10手順からなるFMEA の実施手順、「薬剤(内服・外用・注射)の安全な管理を徹底する」とのテーマの要部のポイントを取り上げた事例解説、FMEAの演習問題 を取り上げ詳解しています。

  1. 分析対象業務(工程)の選定
  2. 分析チームの編成
  3. 分析対象業務(工程)の理解
  4. FMEA ワークシートの準備
  5. 各工程の不具合様式(FM:Failure Mode)の抽出
  6. 粒度と論理一貫性の確認
  7. 影響の評価
  8. 対策を実施すべきFM の選定―危険度を解釈するうえでの留意事項
  9. 対策を実施すべきFM の要因分析
  10. ヒューマンエラーの対策

またFMEA演習問題は、(A):単位業務の記載、(B):FM(不具合様式)の記載、(C):FMの影響の記載、(D):FMの影響と危険度の評価、(E)、(F):全体を通しての演習との5つの構成から成ります。

<<本書で何が学べるか?>>

本書では、医療分野における予防的な安全確保のためにFMEAを利用する方法を解説しています

 すなわち、医療サービス業務において発生する可能性がある問題や不具合を導き出し、未然に防止するためのFMEAについて、その医療分野への適用の考え方、FMEAの詳細な実施手順、医療分野での多数の適用事例の解説を交えて読者が自らの職場でFMEAを活用できるように配慮しながら医療安全確保のためのFMEAの基礎知識と活用事例について解説しています

<<まとめ>>

本書は、医療分野に特化したFMEA故障モード影響解析)手引書として、医療の現場で医療安全確保やリスク低減に関心がある方には、お薦めの一冊です。

なお本書の目次は、以下の内容です。
第1編 総論
1. 医療の安全確保は信頼性手法の活用から
2. 医療安全管理者養成講習会
3. 未然防止手法
4. FMEA とは何か
5. 故障モード
6. FMEA 実施手順の概要
7. FMEA 演習時の留意事項
第2編 各論
8. FMEA の実施手順
8.1 分析対象業務(工程)の選定
8.2 分析チームの編成
8.3 分析対象業務(工程)の理解
8.4 FMEA ワークシートの準備
8.5 各工程の不具合様式(FM:Failure Mode)の抽出
8.6 粒度と論理一貫性の確認
8.7 影響の評価
8.8 対策を実施すべきFM の選定―危険度を解釈するうえでの留意事項
8.9 対策を実施すべきFM の要因分析
8.10 ヒューマンエラーの対策
9. FMEA 事例と解説
FMEA テーマ:薬剤(内服・外用・注射)の安全な管理を徹底する
(1) 分析対象業務(工程)の選定
(2) 分析チームの編成
(3) 分析対象業務(工程)の理解
(4) 各工程のFMの抽出
(5) 影響の評価
(6) 対策を実施すべきFMの選定および対策の検討・実施
(7) 対策の展開
10. FMEA演習問題
付録 
付録1 米国VA 患者安全全国センターの医療のFMEA(HFMEA)
付録2 安全に関する練馬総合病院諸規定

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