この5月末に平成18年版の環境白書が発行されています。
(平成18年版の環境白書・循環型社会白書は5月30日に閣議決定され、国会に提出されています。)
本書:「環境白書〈平成18年版〉」です。
環境省の編著でぎょうせいより2006年5月に発行されています。
今年の環境白書のテーマは、「人口減少と環境」と「環境問題の原点 水俣病の50年」が取り上げられています。 一方の循環型社会白書のテーマは、「世界に発信する我が国の循環型社会づくりへの改革」となっています。
「人口減少と環境」について、以下の主張がされています。
- 人口減少により、家庭においては、世帯の細分化や高齢化などにより、エネルギー消費量やゴミの排出量を押上げる方向に働くとの予想。さらに労働力人口が減少することにより、現場の環境管理体制が弱体化する懸念。また過疎化や農林業活動などの低下により、人為が加わることによって維持されてきた里地里山の自然環境が損なわれるとともに、鳥獣とのあつれきなどが生じること等の懸念。
以上から人口減少は環境の面から見て、様々なマイナスの影響があることを述べています。 - 一方、人口減少時代においては、心の豊かさや志向が広がり、ゆとりある時間や生活空間が得られるなど、持続可能な好機と捉えることができる変化が起きる可能性を予想しています。
- このような考え方から、海外ではノルウェーにおける持続可能な取組、国内では富山市におけるコンパクトシティの取組など、人口減少にも対応した先進的な取組事例を紹介しています。
- このような取組を推進し、持続可能な社会を構築するためには、第三次環境基本計画に基づいた政策を進めていくことが重要と述べています。
「環境問題の原点 水俣病の50年」 については、
- 行政が水俣病を公式に確認してから50年目の年に当たるとのことで、水俣病のような問題を起こさないためにはどうすればよいのかを、公式確認50年を機会に考えるきっかけとなるよう、水俣病問題の経緯や現状を記述しています。
- 昭和34年に曖昧なまま一度、水俣病問題が社会的に終息しまったことなどを説明しています。
- 水俣病を発生させた企業に長期間にわたって適切な対応をなすことができず、拡大を防止できなかったという経験は、課題を投げかけていることを述べています。
- 公害健康被害補償法などにより水俣病と認定された人に対し、原因企業が補償を行う制度
- 公害健康被害補償法で認定されなかった人等に対する救済として療養手当等の支給が行われた平成7年の政治解決
- 公害健康被害補償法で認定されなかった人に対する裁判による損害賠償
- 最高裁判決等を踏まえた対策として平成17年4月7日に発表した「今後の水俣病対策について」に基づく医療費の支給等やそれぞれについて、位置づけなどを説明しています。
- 国・関係県・関係団体により、水俣病の経験の発信と取組が行われていますが、公式確認から50年を経ても者が認定申請を裁判を提訴するなど、課題が残されています。
今後は - 地域の住民が安心してくらしていけるようにするため 、 医療 対策等の充実だけでなく 地域福祉と連携させた取組が重要であること
- 水俣病の経験・教訓を引き続き国内外に発信し続けていくこと
などが取り上げられています。
この6月は、環境月間でもありますし、一読されてみてはいかがでしょうか?また環境省による6月中旬~7月中旬にかけて、全国10カ所で「白書を読む会」(白書説明会)が開催されます。(入場無料)
なお本書の目次は以下の内容です。
目次
平成17年度 環境の状況
1 総説
人口減少と環境
人口減少時代の環境
人口減少に対応した持続可能な社会つくり
環境問題の原点 水俣病の50年
2 環境問題の現状と政府が環境の保全に関して講じた施策
地球温暖化防止・オゾン層保護
大気環境の保全
水環境、土壌環境、地盤環境の保全
廃棄物・リサイクル対策などの物質循環に係る施策
化学物質対策
自然環境の保全と自然とのふれあいの推進
各種施策の基盤、各主体の参加及び国際協力に係る施策
ほか
平成18年度 環境の保全に関する施策
地球環境温暖化防止・オゾン層保護
大気環境の保全
水環境、土壌環境、地盤環境の保全
廃棄物・リサイクル対策などの物質循環に係る施策
化学物質対策
自然環境の保全と自然とのふれあいの推進
各種施策の基盤、各主体の参加及び国際協力に係る施策
環境白書(平成18年版)については、今後、環境省のウェブサイトに公開される予定です。
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- 2006年06月13日
- 環境保護
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