ISO14001の第1版が制定されてから10年が経過しようとしています。この間、2004年には第2版の改定が行われました。
1992年の6月に『地球サミット』(国連環境開発会議,UNCED:(United Nations Conference on Emvironment and Development))を成功させる目的で、世界のビジネスリーダー50名より成る【持続可能な開発のための産業界会議】(BCSD:(Business Council for Sustainable Development)が創設になっています。
BCSDが【持続可能な開発とは】について分析を進めていく過程で、環境マネジメントの国際標準化の考え方が提示され、BCSDがISOに依頼したのが発端で、環境マネジメント専門委員会(TC207)が設置された。 などと環境マネジメント関係の本には記載されています。
10年ひと昔と言いますが、ドッグイヤ-と呼ばれる変化がますます加速して進む状況となり、当時と比較して社会的な背景は、変化し、企業活動は、「環境」との関わりなしに立ち行かない状況になり、環境マネジメントシステムを導入する事業者も増加し、国内でも2万社(JABによる認証取得組織が18,000超組織ですので外資系認証取得も加味すると)は、越える状況で、継続的改善のスパイラルの取り組みの流れの中で、「これから将来に向けてEMSとどう関わっていくか」という観点が新たに重要視されてきています。
これからの進むべき道を明確にしていく上で、ISO14001の原点に戻り、今日までどのような道筋をたどってきたかについて総括してみることは、極めて意義あることと考えます。
このようなことを考えるのにぴったりの本を紹介します。
本書:「環境経営のルーツを求めて」です。
副題に「「環境マネジメントシステム」という考え方の意義と将来」と付けられてあります。
著者は、倉田 健児氏で、現在は、北海道大学の先生ですが、経済産業省で、多年にわたり技術政策、エネルギー政策、環境政策、個別産業政策などに関連した業務を進めてこられた人です。本書は、本年の4月に産業環境管理協会/丸善より発行されています。
『環境マネジメントシステムとはどのような考え方なのだろうか。この考え方はどのようにして生まれ、発展し、そして今に至っているのか。この考え方が社会に普及することは、その社会に対してどのような意義を持つのか。』について明らかしていくことが本書のテーマとなっています。
本書は、4部より構成されています。
第1部では、環境マネジメントシステムとは何かをめぐって問題提起がされています。
第2部と第3部では、本書の主題のテーマが展開されています。すなわち、環境マネジメントシステムという考え方は、歴史的にどのようにして生まれ、発展し、そして今日までに至っているのかが詳しく解説されています。
さらに第4部では、環境マネジメントシステムという考え方の普及が、社会に対してどのようなインパクトをもたらすのかを論じています。
また環境マネジメントから視点を少し拡げ、技術と社会との関わりといった視点で経済産業省の出身者らしい技術論が展開されています。
なお本書の目次は、以下の内容です。
第1部 問題提起
第1章 環境マネジメントシステムとは何か
第2部 環境問題と社会
第2章 歴史的な流れ1−環境主義の台頭
第3章 歴史的な流れ2−環境監査の導入
第4章 地球環境問題の登場
第3部 環境マネジメントシステムの制度化
第5章 UNCEDでの議論
第6章 ISO14001の策定へ
第7章 枠組みが持つ意味
第4部 技術を律する枠組み
第8章 枠組みの普遍化
第9章 社会と技術の関わり合う問題へ
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- 2006年07月18日
- 環境経済学、環境経営 | ISO14001
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