パロマ工業の半密閉式瞬間湯沸かし器の一酸化炭素(CO)中毒事故で、同社の発表が二転三転し、7月18日には、事故件数も合計27件あったことが発表され、うち13件で合計20名が死亡したと発表された。
また事故の原因はすべて「不正改造により安全装置が作動せず,ファンが動作しない状態で燃焼が止まらなかったため」との主張から転じ、その後の調査で,不正改造と関係なく起こった事故が,合計13件あることが明らかになった。うち6件については「安全装置の経年劣化による故障と,ほかの要因が複合して起きた」とした。
またこうした当初の発表との食い違いについて,「社内の連絡不行き届き,情報収集能力の不足,経営者としての認識の甘さによるもので。意図的ではない。責任を痛感しており,被害者にはこの場を借りて改めてお詫びしたい」と頭を下げた。
この姿には、エレベータ事故のシンドラー社や過去に消費者から反発を受けて会社を危うくした幾つかの会社と同様の初期の苦情処理に関わる対応のまずさと重なるものがあった。
本件と結びつくかどうか、「ドラッカー365の金言」の10月9日の項に「最も多く見られる誤りは、一般的な問題を例外の連続とすることである」と題して以下のような内容が掲載されているので紹介します。
「あるゆる問題が四つに分類できる。
第一が、一般的な問題である。
第二が自分にとってははじめてという一般的な問題である。
第三が、真に例外的な問題である。
第四が、例外的に見えながら一般的な問題のはじめてのケースである。
一般的な問題は、一般的な解決を必要とする。それらの問題は、原則と方針によって解決しなければならない。
状況に応じて原則を適用することで処理する。
もちろん、例外的な問題は個別に処理しなければならない。しかし、真に例外的な問題と言うのは稀である。
とくに組織が直面する種類の問題は、ほとんどすべてどこかの誰かが解決したことのある問題である。したがってほとんどの問題は、原則と方針を適用することによって解決できる。
(「経営者の条件」、eラーニング教材『意思決定の要因』)
これからするとすべては結果論になるが、室内燃焼機器が一酸化炭素中毒を発生するかも知れないことは、一般的な問題と考えるべき、したがって原則と方針で対応すべし。
半密閉式瞬間湯沸かし器にまつわる原則や方針は、その商品性を考えると、例えば、以下のような原則や方針ではないかと思われる。
「商品にまつわる死亡事故の情報を入手したら直ちに全てトップに報告すると同時に社内に苦情対応の体制を確立する」
「室内燃焼の燃焼機器は、基本的に死亡事故に至る一酸化炭素の発生の事故の可能性を持つので、FMEA(故障モード影響解析)的な観点において、不正改造に対する対策も含めて予測される全ての故障のモードにおいてもファイルセーフ又は、ファイルプループが確立できるようにする。」
なおパロマ社は、「危険性のある機器をこのまま放置できない」と考え,該当対象の7機種を,最新製品と無償で交換するとのこと。
当然ながら、工事費もパロマが負担するとの方針を明らかにしている。
更には、当該対象製品以外のパロマ製品の買い取りも検討中とのこと。
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- 2006年07月20日
- 経営者等の言葉
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