「環境マネジメントシステムの構築を進めている企業では、社員教育にも努力している。しかしそのテキストについては、環境マニュアルの作成や受審対策のみに偏ったいわゆるハウツーものが多く、企業が関わりを持つ環境の多面的な要素については必ずしも十分には説明されていないように思われる。
(中略)
本書では環境マニュアルと審査登録のみにとらわれるのではなく、その背景なども含めて、さらに企業の活動や製品を通じての環境とのかかわりなどについても概説する。」
と『まえがき』でその発行の意図について説明されています。
環境に配慮した活動とは、どのようなものかという観点も含めて環境マネジメントシステムについて解説している本を紹介します。
本書:「環境マネジメント入門」です。
「ISO環境規格と企業の環境配慮 」との副題が付けられています。
本書は、著者:岡本 真一先生で、2002年4月に日科技連出版社より第一刷が発行されています。
本書は、2004年11月のISO 14001:2004規格(第二版)の改訂に伴って2005年5月に本書の第4冊の発行の際に、ISO 14001:2004規格(第二版)に関わりがある箇所は、変更・改訂されています。
本書は、環境マネジメントのシステム構築や継続的改善を目指す組織の実務担当者向けおよび大学等での環境マネジメントシステムのための講義テキストとして使用されることを配慮して、作成されていますので、当然ながら、そのような目的の人には、格好の教材となると思われます。
本書で解説されている内容のキーワードをざっと拾ってみますと、環境とは、環境と法律、環境問題の経済的側面、地球環境問題、グリーン・コンシューマーリズム、企業の社会的責任、環境と貿易、エコビジネス、環境会計、環境監査、環境情報の開示,ISO14001規格の特徴、環境監査と審査登録、企業の環境配慮ISO9000品質規格との類似点と相違点、組織及び製品の環境配慮、製品のライフ・サイクル・アセスメント、化学物質の安全管理とリスクコミュニケーション、環境マーケティング、循環型社会形成、ゼロ・エミッション等について解説しています。
本書は、全体が7章で構成され、第1章では、「環境とは」及び政治、経済、法令との関わりが概説されています。第2章では、主に利害関係者との関わりについて、第3章では、マネジメントシステム、監査、報告制度について説明されています。
第4章が本書の主題のISOの環境マネジメントシステムについて解説されています。
第5章が環境配慮の技術的側面、第6章では、市場との関わりについて解説されています。第7章では、社会との関わりが触れられ、まとめられています。
また、各章末に簡単な問題が掲載され、多数の参考文献が掲載されています。また各章の終わりにコラム欄が設けられ、キーワードについて解説されています。
なお本書の目次は,以下の内容です。
1.環境とその管理
環境とは/環境の価値/環境の管理/環境と法律/環境問題の経済的側面/地球環境問題(温暖化、オゾン層破壊、酸性雨)
2.環境問題を巡る企業の環境
グリーン・コンシューマリズム/企業の社会的責任と環境問題/環境問題に関する経済的負担の増大とリスク管理/環境と貿易(汚染者負担の原則、多国間環境協定、PPM問題、環境ラベル)/国際標準化機構での環境規格の検討への道程/エコビジネス
3.環境マネジメントシステムと環境監査
我が国における公害防止及び環境管理のシステム/イギリスの環境管理システム/欧米における環境管理・監査システム/ISOにおける環境マネジメントシステム及び監査の検討/環境会計/環境情報の開示
4.ISO環境監査の特徴
ISO14000ファミリー規格の特徴/ISO14001規格の特徴(マネジメントの原則、特徴、組織、基本構成、コミュニケーション、環境影響と環境側面、規格の要求事項)/環境マネジメントシステムにおける継続的改善/ISO14001規格とISO9001規格の類似点と相違点/環境監査と審査登録(目的、適合性評価、内部監査と外部審査、審査登録制度、相互承認)/ISO14001規格導入の目的と審査登録のメリット(導入の目的、審査登録の手順)
5.組織の環境配慮と製品の環境配慮
組織の環境側面と環境影響/環境影響評価/環境パフォーマンス評価/製品のライフサイクルアセスメント(LCAの発展、ライフサイクル・インベトリ分析、ISO規格としてのLCA)/製品設計時の環境配慮(製品規格の環境側面、製品アセスメント、環境適合設計、エコプロダクツと環境効率)/化学物質の安全管理とリスク・コミュニケーション
6.環境マーケティング
環境マーケティングの考え方/環境配慮製品の価値と価格/包装と環境のかかわり/環境コミュニケーション/環境ラベル(環境ラベルとは、ISOにおける環境ラベル規格)/グリーン購入
7.環境調和型社会の構築
循環型社会形成(廃棄物とは、リサイクル、拡大生産者責任、循環経済ビジョン)/ゼロ・エミッション/企業の環境倫理/ISO14000ファミリー規格の目指す方向
付録1 参考図書
付録2 環境関係の情報が得られるホームページ
付録3 組織名一覧
- 2006年08月22日
- ISO14001 | 環境保護
- コメント(0)
- トラックバック(0)