個人情報保護に関連して、昨今、急速に普及が高まったシュレッダーによる幼児事故が問題になっています。
エレベータ事故、給湯器の一酸化炭素中毒事故の際の企業の対応が消費者の不信を招いたのもつい最近の出来事でした。
このような社会背景のもと、企業経営の主要な課題としてCSRに対する重要性の認識が高まってきています。
これまでにCSRの専門部署を設置している企業数も100社に及ぶとされています。
企業の不祥事が頻発するなかで、企業の「利益」の追求と企業活動における法令順守(コンプライアンス)、環境保護、人権擁護、労働環境、消費者保護などさまざまな社会的責任:「CSR」の実践の両立が企業の持続的発展にとって不可欠な要件となってきているためです。
CSRについて基礎から解説している入門書を紹介します。
本書:「CSR入門」です。
本書には、「―「企業の社会的責任」とは何か― 」との副題が付けられてあります。
本書の著者は、岡本享二 氏で、2004年12月に日経文庫のシリーズとして日本経済新聞社より発行されています。
本書の表紙の折り返し部分には、以下の通り書かれてあります。
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CSRは、多分野にまたがり、とらえづらい考え方です。その本質を、環境問題やコンプライアンスなど、さまざまな面から丁寧に解き明かしていきます。
- 日本より進んでいるヨーロッパをはじめ、アメリカ、アジアといった海外での取り組みを紹介します。
- 企業へのアンケート調査や先進事例のケーススタディをもとに、日本の現状を明らかにします。
- 社内へのCSRの浸透のさせ方を、トップのリーダーシップ、組織のつくり方など具体的に解説します。





本書は、CSRのこれまでの経緯からCSRの本質は何か、更には、CSRの将来展望までを含むCSRの全体像について図表を多用し、これまでこの分野に馴染みが無かった人にも分かり易く解説しています。
なお本書の目次は、以下の内容です。
[I] 「CSR(企業の社会的責任)」とは何か
1 社会・環境問題への取り組みが企業価値で重要に
2 持続可能性をもたらすCSR
3 メセナ、企業倫理、環境経営からの発展
4 CSRの実践内容と社会・市場との関係による変化
5 江戸時代の「商家の家訓」や「庶民の生活」から学ぶ
6 CSRと生物多様性・生態系保護との関係
[II] なぜCSRが求められているのか
1 日米の有力企業で不祥事が続発
2 SRI(社会的責任投資)の拡大
3 グローバル化が求める環境・社会への配慮
4 情報技術の発達
5 科学的データで明白になった地球環境の悪化
6 生物多様性・生態系を守る
[III] 世界中で進むCSRの導入
1 世界に見るCSRの地域的特徴
2 ヨーロッパ――CSRをリードするイギリス
3 アメリカ――企業が主体となって展開
4 アジア・オセアニア――日本がCSR推進のリーダーに
5 CSRに取り組む諸団体
[IV] 動き出した日本の取り組み
1 産業界――各企業の自主性・多様性を尊重
2 行政官庁――研究会などの立ち上げ
3 学術研究界――CSR普及の役割を担う
4 民間組織――独自の活動を展開
[V] 日本企業のCSR導入事例
1 アンケート調査から見た企業の全体動向
2 企業別の特徴とCSR報告書概要
[VI] 企業におけるCSR組織の策定と展開
1 経営トップのリーダーシップの必要性
2 CSRの本質の理解
3 全社を統括するCSR組織の策定
4 日本IBMの事例
5 情報技術(IT)の有効活用
6 ステークホルダーとのコミュニケーション
7 「哲学⇔知識⇔行動」の実践
8 新しい試み――GLN(グローバル・リーダーシップ・ネットワーク)の例
[VII] 21世紀に花開くCSR
1 マーケティングのあり方――企業と消費者の攻防
2 非財務情報(環境・社会)の重要性とCSRの多様な見方
3 CSRの本質を見極める
4 21世紀への提言――パラダイム・シフトを喚起するCSR
Coffee Break
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能力を高めた新しいW-ZERO3、登場。(ウィルコムストア)
- 2006年08月25日
- CSR,ISO26000
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