ISO9000:2005(JISQ9000:2006)では、『是正処置』(corrective action)について以下のように定義しています。

検出された不適合又はその他の検出された望ましくない状況の原因を除去するための処置。」

すなわち、是正処置は、再発を防止するためにとると規定されています。

不適合の原因が無くなれば、不適合の再発は、起こらないはずとの考え方に基づいています。

これに対して、

「世の中では、ふつう、失敗を『原因』と『結果』の二つに分けて考えています。

これは、「原因があり、その結果として失敗が起こる」と言う考え方をしているという意味です。

この考え方は単純で理解しやすいのですが、じつは大きな欠点があります。

それは失敗の構図を単純化するあまり、解決策のほうも「原因さえ取り除けば、結果が起こらない」と短絡的に考えてしまう原因になっているということです。

 実際には、原因があっても必ずしも結果は起こりません。

逆に言うと、原因を取り除くことが失敗防止につながらないこともあるのです。

原因と結果との間には、必ず人間の行動があります。

 すべての失敗は、ヒューマンエラー(人的原因が主因となる失敗)から起こるといっても過言ではないのです

 このような考え方から、失敗の脈絡を構造化するに当たって、「原因」があり、次に人間の「行動」があり、それによって「結果」が現れるという見方をしています。

これが失敗の出来に至るシナリオで、「原因」、「行動」、「結果」の三つを検討していくと、ある失敗がどのような形で起こり、どのような結果をもたらしているかが良くわかるというわけです。」


いきなり本日紹介する書籍の「はじめに」の箇所から印象的なところを抜粋して紹介しました。本日紹介するのは、以下の書籍です。

本書:「 失敗学 実践講義 」です。
だから失敗は繰り返される」との副題が付いています。

本書は、『失敗学』で有名な著者:畑村 洋太郎先生で、2006年10月に講談社より発行されています。

本書の表紙の帯には、以下のことが書かれてあります。

脱線事故、回転ドア、エレベーター、リコール、墜落、原子力、システム障害、火災事故……

安全な社会に潜む

生命の危険!」


また本書の表紙の折り返し部には、以下の内容が書かれてあります。

「失敗学を使うと組織・社会は強くなる!

失敗が起こってから対応するのでは遅い。

「起こる前から起こった後のことを考える」、これを実践すれば、事故や失敗も減るし、起こっても損害の広がりを防ぐことができる。

ナマの情報をもとに失敗を徹底的に解明した注目の書。」

本書では、「六本木ヒルズの大型回転ドア事故をはじめ」とした9つの事例が取り上げられていますが、すべて筆者の提唱する「失敗まんだら」が付いています。失敗について、「現地」、「現物」、「現人」の「三現」に基づいて、筆者が分析した一種の鳥瞰図になります。

失敗まんだらには、「原因」、「行動」、「結果」の3種類があります。

失敗まんだらがどのようなものかについて以下に「原因まんだら」(過去の事故や失敗を生かすため畑村先生の提唱により作成された科学技術振興機構(JST)が無料で提供している失敗知識データベースのサイトがあります。図は、そこからの引用となります。)の例を示します。

mandara.gif

失敗まんだらの中心のすぐ外側の第一レベルは、必ず、10個のキーフレーズ(原因まんだらでは、「未知」「無知」「不注意」「手順の不遵守」「調査・検討の不足」「環境変化への対応不良」「企画不良」「価値観不良」「組織運営不良」だそうです。)

本書での印象的な言葉は多数ありますが、「おわりに」の項で記載されている以下のような一節です。

新しいこと、新しいものを企画したり創造するときには、先ず「危険地図」のようなものを考えるべきです。危険地図というのは、どこにどのような危険が存在し、それを防ぐにはどうすればいいかといった危険についてのさまざまな知見が記述されているものです。」

「今後はつくる側、運用する側が危険学の考え方でより安全なものづくり、安全な社会を目指すのと同時に、利用する側もまた、どんなに安全な社会になっても危険は存在することをきっちり認識する必要があるのではないでしょうか」

「子供を事故から守れということで安心社会が叫ばれる現代ですが、実は、1歳から9歳までの子供の死因の第一位が不慮の事故であるという事実は、もっと強調されてもいいのではないかと考えます。そしてその多くが避けることのできる事故なのです。」

失敗学実践講義 だから失敗は繰り返される
講談社
畑村 洋太郎(著)
発売日:2006-09-29
発送時期:通常24時間以内に発送
ランキング:1497

なお本書の目次は、以下の内容です。
第1講 想定され得ることは必ず起こる(六本木ヒルズの大型回転ドア事故)
第2講 人の注意力には限界がある(日本航空の連続トラブル)
第3講 追いつかなかった企業改革のスピード(JR福知山線脱線事故)
第4講 ゼロからつくり直すことの大切さ(金融システムの失敗)
第5講 見たくないものは見えない(リコール隠し)
第6講 起こる前に起こった後のことを考える(火災に学ぶ)
第7講 それぞれの立場から見える風景(JCO臨界事故)
第8講 トップの孤独(ロケットの打ち上げ失敗)
第9講 「現地・現物・現人」が理解の基本(JR羽越線脱線事故)


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