MOT(Management of Technology)というのは、一般に技術経営と訳され、経済産業省によれば、「技術がかかわる企業経営の創造的、且つ戦略的なイノベーションのマネジメント」とされています。
つまり、技術投資を実行して「技術を市場化・事業化する」ための技術経営のマネジメントになります。
MOTは、わが国の再生の鍵を握る教育プログラムとして経済産業省等も力を入れ、例えば「技術経営人材育成プログラム導入促進事業」の一環として、MOT Platform というWebサイトも立ち上げらています。
本日は、MOTについての入門書を紹介します。
本書:「 MOTアドバンスト技術戦略 」です。
本書は、寺本 義也先生監修で山本 尚利先生著により2003年8月に日本能率協会マネジメントセンターより発行されています。
共にMOTプログラムを日本で初めて本格的に導入した早稲田大学ビジネススクールの先生です。
本書の裏面の折り返し部には、以下のように著者紹介がされています・
「2003年春に、早稲田大学の専門職大学院として発足、従来のストラデジック・マネジメントとアントレプレナーシップ・マネジメントのMBAコースに加え、日本最初の広い意味での「モノづくり」を戦略面から学ぶテクノロジー・メネジメントをMOTコースと位置づけ,3コースを総称して「早稲田大学ビジネススクール」と呼ぶ。監修の寺本 義也教授はそのMOT専任主任であり、山本 尚利氏は、MOT専修専任客員教授でSRI(元スタンフォード大学付属研究所)グループ技術経営コンサルタントを兼務している。」
本書は、早稲田大学ビジネススクールでの「技術戦略」の講義のエッセンスに加えて、技術戦略の基本的な流れを押さえ、技術評価法、新事業創造等に関する動向等をまとめた内容になっています。
本書は、7章から構成されています。
第1章では、「中長期技術戦略の構築」として、MOTの基本コンセプト、定義、日米比較、から中長期技術戦略の基本的な概念、技術戦略策定の進め方などについて解説しています。
第2章では、「技術戦略のための事業環境分析」とし、技術戦略策定プロセスで最も重要とされる事業環境分析手法を解説しています。VALS(Values and Life Styles)プログラム手法に基づく、日本市場のマクロ環境分析の実例や新事業推進のための戦略的技術課題の抽出の方法などを米国の事業環境の展望を含めて解説しています。
第3章では、「未来製品コンセプト」として、イノベーション・サーチプロセスについてデジタル・メディア事業分野などの事例を中心に第2章の事業環境分析手法を応用する未来製品コンセプト創造手法を解説しています。
第4章では、「技術戦略シナリオの策定」とし、SRIで開発されたシナリオプランニングを応用した技術戦略策定法を中心に、未来予測法から事例によるシナリオ分析、技術投資シナリオ、競合分析などを解説しています。
第5章では、「技術戦略のための技術評価法」とし、その基本的な考え方から、基本となるスコアリングによる定量評価に加え、デシジョンアナリシス法など関連する技術評価手法を詳細に解説しています。また先端技術をタイミングよく獲得するためには、研究開発の行為そのものよりも、お宝技術の発掘や探索が重要だと述べています。
第6章では、「技術戦略のためのナレッジマネジメント」とし、技術開発を効率よく実行するための技術ナレッジマネジメント(TKM)の重要性から技術マップの開発やTKMを活用しての製品開発の効率化、さらにISO認証とTKM体制の構築などについて解説しています。
第7章では、「技術戦略による新事業創造」として、21世紀型の技術戦略は、どのようであるべきかについて米国優良企業の技術戦略や成功要因などを取り上げ解説しています。
各章の終わりには、箇条書きでその章のポイントがエッセンスとしてまとめられています。
よく分かった
なお本書の目次は、以下の内容です。
第1章 中長期技術戦略の構築
第2章 技術戦略のための事業環境分析
第3章 未来製品コンセプト創造法
第4章 技術戦略シナリオの策定
第5章 技術戦略のための技術評価法
第6章 技術戦略のための技術ナレッジマネジメント
第7章 技術戦略による新事業創造
- 2006年10月27日
- MOT(技術経営) | 経営管理
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