個人情報保護法が施行されて1年半が経過しました。また個人情報保護法に関する多くの解説書や手引書、さらには関係各省庁から通達やガイドラインが発行されています。
しかしながら本書の著者は、そういった本や情報のなかで、個人情報の活用とその有用性に十分な配慮をしているものは皆無と断言しています。
「まえがき」では、以下のことを主張しています。
「現行法の最大の問題点は、対象範囲は不必要に広く、すべての個人情報を十把ひとからげに扱っていることだ。その上、規制の程度も厳しすぎる。実は、日本の個人情報保護法が準拠したのは、今となっては世界の流れから立ち遅れた原則なのだ。それは、いくつもの適用除外基準を設け、法と正当な経済活動や円満な社会生活との調和を図ろうとしている現在の国際的な潮流に逆行している。
今もっとも大切なことは、そうした法律に忠実に対応することではない。現行の個人情報保護法を、正当な経済活動や円満な社会生活とをいかに合理的に調和させ、企業や社会の活力や生産性を護るかを考えることだ。
現行法は問題が大ありだが、個人情報保護のための法律は、絶対に必要だ。ただしその理由は、プライバシー権に属する個人情報を保護するためであり、それ以外の個人情報は、フリーにして、むしろ積極的に流通させて活用した方がよい。しかし、残念ながら現行の個人情報保護法はそうなっていない。だから不必要なトラブルが続出する。本書では、現行法の正体を解き明かしながら、それに対する合理的な対応をどうすればよいのかを、読者の皆さんと一緒に考えることにしよう。」
少し長い引用となりましたが、本日紹介するのは、個人情報保護法についての反骨的なスタンスの本を紹介します。
本書:「 個人情報「過」保護が日本を破壊する 」です。
本書は、著者:青柳武彦 先生で、2006年10月にソフトバンククリエイティブ より発行されています。
本書は、ソフトバンク新書の一冊になります。本書の帯には、以下のように書かれてあります。
「ミソもクソも一緒の
個人情報保護法に喝!個人情報は隠すものではない。使うものである。」
また裏面には、以下のことが書かれてあります。(先のまえがきとも重複しますが)
「個人情報保護法施行以来、仕事も私生活もどこか息苦しくギスギスしている。
何かが狂っている―。そう感じているあなたの感性は正しい。
この法律は、旧態依然の基準に従い、世界の潮流に逆行する個人情報「過」保護法なのだ。
正当な経済活動や円満な社会生活が蝕まれ、今、日本社会は息の根を止められようとしている。
現行法が抱える数多くの問題点を指摘し、合法的な対抗手段を伝授する反骨の書。」
個人情報保護について今一度、考え直してみるきっかけを与えてくれる本かと思います。
なお本書の目次は、以下の内容です。
序章 個人情報保護法のおかげで世の中は大混乱
第1章 いま、ビジネスの現場が窒息しようとしている
第2章 護られるべき「個人情報」とは何か
第3章 人を信じられない疑心暗鬼の社会
第4章 「プライバシー権」とは何か
第5章 個人情報保護法は問題だらけ
第6章 二〇一〇年日本の暗い未来
第7章 個人情報保護法への対応策
- 2006年11月01日
- 個人情報保護法
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