ISO 14001:2004(JIS Q 14001:2004)規格の序文において、以下のように記載されています。
「 この規格には,品質,労働安全衛生,財務,リスクなどのマネジメントのような他のマネジメントシステムに固有な要求事項は含まれていないが,その要素は他のマネジメントシステムの要素に合わせたり,統合したりできる。組織がこの規格の要求事項に適合した環境マネジメントシステムを構築するに当たって,既存のマネジメントシステムの要素を適応させることも可能である。ただし,マネジメントシステムの様々な要素のいずれを採用するかは,意図する目的及びかかわりのある利害関係者によって相違することもあろう。
環境マネジメントシステムの詳細さ及び複雑さの水準,文書類の範囲,並びにそれに向けられる資源は,システムの適用範囲,組織の規模,並びにその活動,製品及びサービスの性質のような多くの要因に依存する。これは特に中小企業についていえることかもしれない。」
すなわち環境マネジメントシステム(EMS)の構築において、他のマネジメントシステムとの統合や文書化の程度などの内容について、自組織に合致したEMSを構築すれば良いとのことですが現実には、特に中小企業において、どのようにしてそれを進めるかはなかなか困難な面があります。
本日は、中小企業を対象にして、このEMSの構築について実際にどのような手順で進めたら良いかを分かり易く解説している本を紹介します。
本書:「主任審査員が語るISO14001中小企業の環境マネジメントシステム」です。
「効率的システム構築のために 」との副題が付いています。
本書は、著者:大島 義貞 氏で、2005年5月に日科技連出版社より発行されています。
同著者による1996年版の前著の2004年(第二版)規格対応の改訂版となります。前著からは、第3版となります。
本書の表紙の折り返し部には、以下のように書かれてあります。
「本書は、中小企業がISO14001:2004規格に適合するための必要十分条件について、著者の豊富な審査経験に基づいた含蓄のある提案を試みています。
これから審査登録を目指す組織はもとより、2004年版への移行を目指すに当たり、環境マネジメントシステム(EMS)の抜本的見直しを狙う組織、 EMSを活用して組織の全体業務の活性化を図ろうとする組織の方々にも役立つものです。
本書では、環境方針の3つの約束((1)法的要求事項等の順守、(2)汚染の予防、(3)継続的改善)を果たすことを柱として、EMS構築の解説をしています。
また、全体として規格の解釈を充実させ、定型的なEMS構築よりも、自組織の固有のEMS構築を図ることを狙って解説してあります。
本書の考え方は、中小企業のみならず、大企業における中小組織、そして大きな組織にも参考となるものです。」
本書は、6章から構成されています。
第1章、第2章では、ISO 14001:2004規格とその背景、その趣旨、適用、重要なポイントなどの概要について解説しています。
第3章、第4章が本書の中心部分となります。こちらでは、環境マネジメントシステム構築の進め方:すなわち(1)法的要求事項等の順守、(2)汚染の予防、(3)継続的改善)を果たすことを柱とするEMS構築の解説、さらにISO14001規格の要求事項について充実した解説がされ、さらにはその要求事項内容をマニュアル、手順書などの文書にはどのように反映すればよいか。などを中心に明快に解説されています。
第5章、第6章では、「環境マネジメントシステムの審査登録の方法」として審査登録のための手順等ならびに「環境マネジメントシステム監査のチェックリスト」の作成の要領が解説されています。
本書は、これからEMS構築に取り組む組織のみならず、EMSについて抜本的見直しを考えている組織、 EMSを活用して組織の全体業務の活性化を図ろうとする組織の方々にも確かに役立つと思われます。
なお本書の目次は、以下の内容です。
第2章 ISO14001規格の概要と対応の基本
第3章 環境マネジメントシステム構築の進め方
第4章 ISO14001規格の要求事項への対応
第5章 環境マネジメントシステムの審査登録の方法
第6章 環境マネジメントシステム監査のチェックリスト
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- 2006年11月14日
- ISO14001
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