HACCPとは、Hazard Analysis Critical Control Pointの略称で、食品安全に関して「何がハザード(危害)の原因になるか」を明確にし、それに関わるリスクを減らすために「その重要管理項目」を重点管理することを中心とした手法で、食品安全マネジメントシステム国際規格のISO22000:2005の中核になります。
本日は、このHACCPについて「HACCPとは何か、何をすればよいのか」を初心者にもわかりやすく説明し、あらためて「食の安全・安心」を考えるための分かり易い解説書を紹介します。
本書:「HACCP入門」です。
本書は、著者:新宮 和裕氏により、2004年9月に日本規格協会より発行されています。同社のやさしいシリーズ第11弾になります。
本書の「はじめに」で著者は、以下のように本書の執筆の背景について述べています。
「食品に関連する企業は、いまだに出口の見えない”食の安全・安心”の問題にもがき、苦しんでいます。
乳業メーカーの食中毒事件に端を発したこの問題は、その後牛肉のBSE問題、冷凍野菜の残留農薬の問題、エビやウナギ加工品の抗生物質の残存問題など限りなく続いています。
(略)
HACCPシステムはご存じの通り、”安全な食品を提供”するための手法です。しかしながらこのような状況の中で、残念なことに”HACCPは役に立たない”と思われている方もいるそうです。
でも、よく考えてください。
本当にHACCPシステムは役に立たないのでしょうか。
HACCPシステムを導入しながら食品事故を起こしてしまった企業では、HACCPの七つの原則がしっかり実施されていたにもかかわらず事故を起こしてしまったのでしょうか。
そうではなく形骸化したシステムになっていたのではないでしょうか。
本書は、今一度”HACCPとは何か、何をすればよいのか”を初心者の方々に理解いただき、本来あるべき姿のHACCPシステムの導入と運用のために入門書として執筆しました。」
本書は、6章から構成されます。はじめにに続いて、HACCPに関わる用語(『HACCPプラン』から『一般的衛生管理プログラム』まで)の解説があります。
第1章は、「HACCPを学ぶ前に」にして、お客様が食品に求めるものやHACCPに対する誤解、さらに、従来からの品質管理とのHACCPの違いなどについて分かり易く解説されています。
第2章は、「これだけは知っておこうHACCPの基礎」として、HACCPが誕生した背景から、その手法の概要、HACCPの7原則について解説されています。
第3章は、「HACCPを実践する上でのポイント」として、危害分析(HA)の手順に始まり、重要管理点(CCP)、管理基準(CL)、モニタリング、改善措置、検証、記録の管理、さらにはHACCPプランの作成について解説されています。
第4章は、「HACCPシステムによる管理の事例」として調理冷凍食品を取り上げ、原材料の受入から製品の出荷に至るまでの過程の順に、各段階での管理すべきポイントについて解説されています。
第5章は、「HACCPシステムの導入と運用」として、HACCPチームの編成から、Codexの7原則12手順の流れに沿ってスムースなHACCPシステムの構築し、運用し、検証(再確認)、見直し改善を行う際のポイントについて解説しています。
第6章は、「HACCPシステムが機能するために」として、一般的衛生管理プログラム:この名称は”総合衛生管理製造過程”による(PP:Prerequisite Proguram:ISO22000:2005における前提条件プログラム)を取り上げ、適正製造基準(GMP)、衛生管理作業手順(SSOP)を解説し、5S活動、HACCPとISO9001、ISO22000の関係などについても解説しています。
HACCPに関する入門書としておすすめの一冊と思います。またISO22000を学ぶ最初の本としても格好と思われます。
なお出版社では、本書の概要を以下のように紹介しています。
「企業として食品を製造、流通するうえで、安全性の確保のために何をすべきかを理解し、実施することが大切である。食の安全性を確保するための手法(ツール)であるHACCPをどのように導入し、運用するかを分かりやすく解説し、企業がどうあるべきかを提示する。
消費者の信頼を取り戻し、安全な食品を提供するには、
* 食品を作るうえで消費者の立場を考えたモノつくり
* 社会環境の変化を捉え、状況に応じた対応
などが必要である。」


なお本書の目次は、以下の内容です。
はじめに
HACCPを学ぶ上で知っておく必要がある用語の解説
第1章 HACCPを学ぶ前に
1.1 お客様が食品に求めるもの
1.2 HACCPへの誤解
1.3 従来の品質管理とHACCPは、何が違うのか?
第2章 これだけは知っておこうHACCPの基礎
2.1 HACCPとは?
2.2 “7つの原則”がHACCPの基本ルール
第3章 HACCPを実践する上でのポイント
3.1 危害分析のポイントは?
3.2 重要管理点(CCP)の決定に迷ってしまうのだが
3.3 管理基準(CL)の設定は、どうすればよいか?
3.4 モニタリング実施と記録のポイントは?
3.5 改善措置の設定は、どうすればよいか?
3.6 検証はどうすればよいか?
3.7 記録とその保管管理の方法は?
3.8 HACCPプランの作成方法は?
第4章 HACCPシステムによる管理の事例
4.1 原材料の管理
4.2 原材料処理工程の管理
4.3 加工工程の管理
4.4 包装工程の管理
4.5 製品の保管と出荷
第5章 HACCPシステムの導入と運用
5.1 HACCPチームの編成と役割は?
5.2 HACCPシステムをスムーズに導入する手順とは?
5.3 HACCPプランの検証(再確認)と見直し改善
第6章 HACCPシステムが機能するために
6.1 一般的衛生管理プログラム(PP)の重要性
6.2 施設・設備の整備はどこまで必要か?
6.3 製造現場で活用される作業手順書の作成
6.4 モノつくりは人つくり
6.5 食品安全の基本である5S活動の取組み
6.6 HACCPとISO 9001及びISO 22000の関係
6.7 HACCPに関する認証制度
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- 2006年12月15日
- ISO22000(食品安全マネジメント)
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1. Posted by 猫西 一也 2006年12月15日 11:11
充実したHPの内容に敬服いたしております。
パソコンに登録し、ゆっくりと学ばせていただきます。
現在ブログで情報発信をしています、できれば、自前のHPも持ちたいと考えております。
何かとご教授ください。