サービス産業において「業務・サービスの品質をどう考えていくべきか」をテーマに、特にお客様とのコンタクト業務(営業・店舗・施設・コールセンター・アフターサービス部門など)を対象に実務に役立つ業務のための品質管理について「企画・設計・提供・点検・評価」5ステップの観点からその管理手法と要点をわかりやすく解説している本を紹介します。
本書:「お客様に対応する業務の品質管理」です。
本書は、 株式会社 日本能率協会コンサルティングの永川 克彦氏、蛭田 潤氏、江渡 康裕氏、渡邊 聡氏の共著にて、2007年1月に日本能率協会マネジメントセンターより発行されています。
本書の表紙の下部には以下のように書かれてあります。
「なぜ、クレームが減らないのか、
なぜ、問題が多発するのか……
-
営業・店舗からコールセンター・アフターサービス
部門まで、お客様と接する、
すべての部門に求められる管理手法。
-
「企画・設計・提供・点検・評価」の5ステップで
ポイントがよくわかる。」
本書の「はじめに」において筆者達の思いとして以下のように述べています。
「これまでの約20年を振り返ってみますと、「QC(クオリティ・コントロール)」、「CS経営」、「BPR」、「ISO」、「リストラ」、「CSR}そいて最近では「日本版SOX法」というように、次々に新たな経営のテーマや管理手法が登場してきました。
その度に、現場にはいろいろなツールや仕組みが導入されることになります。
新しいものが導入されるとそれだけが重視され、偏りが出る傾向があるように思います。
しかし、現場は、一つです。現場に次々と導入される新たなツールや仕組みに振り回され、混乱し、疲弊しています。
(略)
実際のところ、コンタクト業務の品質を管理するための視点は、いつの時代でも変わりません。
それは、業務品質は、1)業績、2)CS向上、3)効率、4)リスク、5)仕事をする社員の成長・やりがい、といった5つの視点と関連付けられていることです。
重要なことは、業務品質とこの5つの視点がバランスよく考えられた上で、コンタクト部門の最適化が図られ、それぞれの部門業績が確立・運営されていることです。
時代の流れによってそのうちの一つが大きくクローズアップされることがあっても、本質は変わらないのです。」
本書は、序章と6つの章から構成されています。この本の使い方のガイドがあり、それぞれコンタクト業務、経営企画、経営トップとか立場の異なった人向けに活用の手順を紹介しています。
本書は、各アイテムについて、解説が、何ページかに及ぶ箇所もありますが、大体は、見開きの2ページを用いて、そのアイテムについての3つのポイントが最初に要約され、左側のページでは、解説文が、右側のページでは、その解説文を補足するイラストが掲載されているという共通のスタイルを採用しています。
序章では、「放置されてきた品質管理」として、金融、エネルギー、通信、SI(システムインテグレーと)業界のコンタクト業務に関わる品質管理の課題と現状が概観されています。
第1章では、「品質管理のために知っておくべきこと」として、コンタクト業務について、「特性」、「問題点」、「考え方」、「定義づけ」、「5つの「化」」などの観点からその基本的な部分を解説しています。
第2章では、「品質管理を企画・設計する」として、「プロセス」、「品質の企画」、「品質の設計」という設定で、コンタクト業務の品質管理のステップとして「企画」、「設計」、「提供」、「点検」、「評価」のようなマネジメントステップを回す品質管理のプロセスについて、「企画」、「設計」をどのように実施すべきかという手順について解説しています。
第3章では、「品質管理を提供・点検・評価する」として、「提供」、「点検」、「評価」の手順について解説しています。
第4章では、「品質向上の重点課題」として、「部門別重点」、「営業部門」、「店舗・施設」、「コールセンター」、「共通重点」、「その他の部門」について事例を交えて解説しています。
第5章では、「クレームを品質向上にいかす」として、「考え方とポイント」、「対応事例」についてクレームに対処すべき基本の考えから、それをコンタクト業務の品質管理の現場で実践する上での留意点などを対応事例に基づき解説しています。
第6章では、「品質管理に携わる方々に求められるスキル」として、期待察知・期待変換・徹底支援・即戦力化・教訓抽出の5つのスキル、「考える力」を身につける7つの能力、二つの知見などを取り上げ、解説しています。
なお本書の目次は、以下の内容です。
序 章 放置されてきた品質管理
第1章 品質管理のために知っておくべきこと
第2章 品質管理を企画・設計する
第3章 品質管理を提供・点検・評価する
第4章 品質向上の重点課題
第5章 クレームを品質向上にいかす
第6章 品質管理に携わる方々に求められるスキル
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- 2007年02月22日
- QC手法、統計、QC7つ道具
- コメント(1)
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1. Posted by 手文庫@プログラマーの手文庫 2007年02月26日 00:02
discus2005さん、こんばんは!
> しかし、現場は、一つです。現場に次々と導入される新たなツールや仕組みに振り回され、混乱し、疲弊しています。
これは納得です。色々やろうとして作業ばかりが増えるということが多いですよね。