大野耐一の現場経営
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北米市場で燃費のよい小型車を中心に急激に販売を伸ばし、5年前に比べて1.5倍近くまで販売を拡大したトヨタ。ことしは世界での生産台数でトヨタがGM・ゼネラルモーターズを抜いて世界一になることがほぼ確実視されています。
そしてその基盤は、トヨタ生産方式、別名カンバン方式といわれる独自の生産システムが大きなウエートを占めています。
本日は、そのトヨタ生産方式の生みの親で、かつて副社長を務めた故・大野耐一氏が現場こそが経営の原点と読者に語りかけている本を紹介します。
本書:「大野耐一の現場経営」です。
本書は、著者:大野耐一により2001年5月に1982年刊の新装版として日本能率協会マネジメントセンターより発行されています。
本書の帯には、以下のように書かれてあります。
「トヨタかんばん方式の
生みの親が語る
現場から経営を考えるヒント」
本書の初版序文のまえがきで、著者は、以下のように述べています。印象に残る言葉です。
「トヨタ生産方式をひとことで言えば、「必要なものを、必要なだけ、必要な時につくる」ということに尽きるのですが、これは考えてみればごく当たり前のことで、これがなかなかできないというのは、従来の慣習とかやり方にとらわれて、発想と行動の変化ができないからではないでしょうか。」
工場長が現場の関係者を集めて、朝礼であるいは懇談会の場で話すような展開で現場経営の考え方が率直な言葉で語られていきます。
印象に残る言葉を以下に断片的に集めてみました。
「強い説得力の根源は、自分自身が謙虚な気持ちになること」
「人間には錯覚がある以上、十出す指令なり指示なり命令の半分は当たればいい。半分は間違うもの。お互いに人間というものは錯覚があることを前提にすると対人関係に良い」
「工数低減をやると原価がさがるという錯覚が非常に多い。設備投資の場合でもこの間違いが多い」
「日本人は、機会損失を非常に恐れるクセがある」
「減量の量は、重量、期限の量は生産量で、減量減量でぜい肉落しの減量はいいけれども、大事な肉まで減らすのは、非常にあぶない」
「動くと働くとは同じでない。あの動きは仕事とどういう関係があったか無駄を見つける目を養う」
「農耕民族は在庫が好き」
「少しでも原価を上げんような努力をする。そういうことをやっていけば、減量になっても、そう原価が上がらずに済む」
「ジャスト・イン・タイムの言葉は、初代の豊田喜一郎氏がつくった言葉。ちょうど間に合う」
「豊田佐吉翁の自働化思想。糸が切れたり無くなると、自動的に止まる装置があった。これを自働と豊田佐吉翁は表現している。」
「目標は、10倍の生産性。働きと動きを一緒にしない」
「スーパーマーケット方式がヒントにカンバン方式にジャスト・イン・タイムの具現化」
「ジャスト・イン・タイムのネックは、鍛造。少量多品種のモデルのトヨタ・ド・ブラジルで鍛造の段取替えを学ぶ。」
「合理化とは、理屈に合ったこと」
「悪いものをつくらない。そのために不良が出たら止める。それが自働と自働の違い」
「減量生産、数を限られた量をいかに安くつくるかがトヨタ方式の勉強するところ」
「流行でロボットを入れるな」
「仕事は部下との知恵比べ。そしてその知恵比べに負けたらあっさり負けたと兜を脱ぐこと」
「監督者のいない事務現場。またまだ合理化の余地がある」
「人間というのは、困ると、知恵を出す。困らせるにはやっぱり自分も一緒に困ること」
「実際に現場でなかなかできない整理・整頓・清潔・清掃・躾」
「まず作業改善やって、その次に設備改善、それから工程改善といったように改善には順番がある」
「昔から「バカとハサミは使いようで切れる」というが、製造技術というのかそのハサミを使って、どういうふうにものをうまく切るかということであり、生産技術は、これを切るにはこのハサミがいいですよとそういうことを勉強するのが生産技術」
「プレス機械には汎用性があるので、プレスの型を汎用専用にすることを考えにゃいかんじゃないかということで、あんこ最中型の型にせよと言った」
「やっぱり平素から原価低減というものを一番にやっていかにゃいかん。これが技術者というか、現場の一番大切なことであると言いたい」
「標準作業というのはあるが、標準というのは、刻々変わっていかにゃおかしいんで、そいつを標準というのを最善と思ったらもういかん。標準というものは、改善するためのベースだ」
「結局標準というのは、もし何回も測るんだったら、一番短いのをとりなさい。と。それでその時間でやれるような教え方をしてやることが大切だと思う」
工場関係者は、当然ながら、経営者からビジネスパーソンまで現場経営を考えるヒントがぎっしりと詰まった一冊です。
勉強になります
氏の心理を読む手段
現場で考え抜いた人の凄み
上司というか、会社の尊敬する先輩というかが語りかけてくる感じ。
カンバン方式の基
なお本書の目次の抜粋は、以下の内容です。
君子豹変す
間違ったら素直に認める
錯覚が能率を下げる
失敗は目で確かめる
常識の中にひそむ錯覚
算術計算の盲点
機会損失を恐れるな
限量経営とは安くつくること
在庫減の仕掛増
量産は安いという錯覚
ムダな動きは動きではない
農耕民族は在庫が好き
減産でも生産性アップ
景気のいいときに合理化を
(略)
生産技術と製造技術の違い
原価計算の落とし穴
最中方式
原価低減は現場しかできん
標準時間は一番短いのでいい
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