昨今、製造業は『不良を発生させない、再発させない』必要性が一段と高まっています。製造業の品質不良防止対策についてしっかりと現場で成果を上げるためには、体系的な取り組みが必要です。
この品質不良について「品質不良とは何か」の基礎知識から、さらに幅広い業種業態に適応する防止ノウハウを紹介すると共に、スタッフ全員をスキルアップさせ、自職場にあったシステムをいかに構築していくかといった方法についても現場に立脚した視点から丁寧に解説している本を紹介します。
本書:「品質不良の防止対策」です。
本書は、著者:篠田 修氏により、2007年2月に日本能率協会マネジメントセンターより発行されています。本書は、同社の『図解でわかる生産の実務』のシリーズの一冊になります。
本書の表紙の下部には、以下のことが書かれてあります。
「あらゆる製造業に適応する体系化された不良防止法
現場をレベルアップさせよう!」
また表紙の折り返し部に本書の特徴として以下の点があげられています。
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品質不良とは何か、どう管理すればよいのかを基本から解説
- あらゆるケースに応用できる、不良防止の考え方と手法を紹介
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不良の未然防止ノウハウを12の予防策に対策化
- 現場の意識とスキル向上のための活動・指導の進め方を徹底ガイド
- 品質改善と人間成長がダブルで実現できる!
本書の「はじめに」で著者は、以下のように述べています。
「本書で強調したいのは、当然のことですが「人間第一」という考え方です。
現場で発生する品質不良やクレームは全て人間に起因するという考え方で、「生産の3M」(マシン、マテリアル、メソッド)は、「1M」(マン)の結果である、ということです。
マシンを作るのも操作するのも人間、マテリアルを作るのも管理するのも人間、作業方法(メソッド)を決めるのも人間。そして、決めたことを実行するのは職場の人間である、という事実を直視したマネジメントが基本です。
まさに「企業は人なり」、そして「品質は人なり」です。
(略)
本書では、各章各項目の手法を全てリンクさせています。
全項目をひとくくりに、全活用出来る構成になっています。
ですから、本書の全項目をひと通り読み、ひと通りに試して全習得していただくとリーダーは大変身できます。
また本書の”究極のねらい”は、実績と実力(成果と成長)の「ダブル実現」です。
仕事と自分を重ね、「仕事即成長」のマネジメントの必要性を私は痛感しています。
リーダーと部下、お互いに1回の人生ならば、お互いが縁があってよかったと感じあえる職場づくりこそ、リーダーの使命ではありませんか。
本書が見つめ直すきっかけになれば幸いです。」
本書は、10章から構成されています。
本書の構成は、見開きの2ページの左側のページで項目の解説があり、右側のページには、それを補完する図表やイラストが載せられるといった構成になっています。
第1章では、「品質不良対策の基本知識」として、『品質不良とは何か?』の定義から始まり、「直面する品質不良」、「発見する品質不良」、「品質不良の課題」の各対策手法を解説しています。
第2章では、「不良再発防止の考え方」として、再発防止の問題点として「手法面」、「しくみ面」、「考え方面」から整理すると共に再発防止対策の基本となる「当面の対策」、「将来対策」の考え方から、「物の管理」と「人のマネジメント」。さらに再発防止から未然防止へと発展させる視点などについて解説しています。
第3章では「現場から生まれた再発防止の手法と考え方」として、30年にわたる現場での筆者のノウハウの集約とのことで、「品質目標の設定」から」、「不良発生の状況調査の進め方」、「工程3Mの事実の調べ方」での標準とのズレの調査の手順。「なぜなぜ123法」、「対策方針の決め方」、「新規対策の決め方」、「歯止めと横展開」などを解説し、再発防止対策手順として、「品質目標の設定」から「歯止めと横展開」に至る10の手順とその重要なポイントを総括しています。
第4章では、「短期に手法を習得する「TT法」」として、自己の仕事感を確認し、スキルアプを図っていくための手法についてその手順のフローに沿って解説しています。
第5章では、「不良防止のための課題研究の手法と考え方」として、再発防止対策法を課題として「課題研究会」を設置して、グループ活動として作業能率の向上から不良の低減、さらには人間成長までを意図した活動の進め方と「業務マニュアルの作成」とその運用などを解説しています。
第6章では、「不良の未然防止実現ノウハウ」として、作業中断後、残りの作業を忘れて途中で終わる不良:「ウカツ不良」など12のタイプの不良を取り上げ、その原因から、対応策、その効果などの予防策を解説しています。
第7章では、「フォローアップ指導による不良防止の進め方」として、先の2章で説明の品質向上の3大業務の「攻めの業」、「守りの業務」、「走りの業務」の中の「走りの業務」に対応するフォローアップ業務の7つの手順について解説しています。
第8章では「不良分析情報の活用」として、不良をX型(同じ工程で不良が再発)、Y型(同じ工程で不良を発生)、Z型(不良が散発的に発生)を区分するとともにタイプ別の対策法から不良のヨコ展開による未然防止など分析情報の活用手法とその管理について解説しています。
第9章では、「品質改善と人間成長をダブルで実現させよう」として目標を設定し、成文・成果・成長の「1石3成」を実現するためのノウハウを解説しています。
第10章では、「手法を発想した背景と活用ポイント」としてこれまでの各章での解説を総括しその活用のポイントをまとめています。
なお本書の目次は、以下の内容です。
第1章 品質不良対策の基本知識
第2章 不良再発防止の考え方
第3章 現場から生まれた再発防止の手法と考え方
第4章 短期に手法を習得する「TT法」
第5章 不良防止のための課題研究の手法と考え方
第6章 不良の未然防止実現ノウハウ
第7章 フォローアップ指導による不良防止の進め方
第8章 不良分析情報の活用
第9章 品質改善と人間成長をダブルで実現させよう
第10章 手法を発想した背景と活用ポイント
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- 2007年03月09日
- QC手法、統計、QC7つ道具
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