個人情報保護法や情報セキュリティなどに関する著作等で有名な弁護士の岡村 久道氏が、現在、注目されている会社法と金融商品取引法で求められている内部統制について、その概要から制度の設計・運用までの必須知識をオールカラーの図解をふんだんに活用して分かり易く解説している本を紹介します。とくにこの2つ法律がどのように関連し、どこが異なっているのかなど丁寧にときほぐし解説しています。
本書:「会社の内部統制」です。
「オールカラー・これでわかった!」との副題が付いています。
本書は、著者:岡村 久道氏にて、2007年4月に日本経済新聞出版社より発行されています。
本書の「はじめに」で著者は、以下のように述べています。
「内部統制の内容は複雑で、導入には大きな手間とコストを要するため、現場では大きな混乱が起こっています。
本書はこうした読者に向け、内部統制がどのような目的で導入され、そのためにいったい何をすることが、求められているのかについて、要点を絞ってまとめました。
この問題についてはすでに多くの書籍が出版されています。
しかし、その内容を見ると、法律、会計監査の専門化向けの難解なものが少なくありません。
そこで本書では、できるだけ手短に、正確性を保ちながらも分かり易く内部統制を説明するよう試みました。
特に前述した二つの法律(会社法、金融証券取引法)で求められている内部統制について、混同している方も多いようですので、本書では、この二つがどのように関連し、どこが異なっているかについて、紙幅が許す限り丁寧にときほぐしています。
内部統制は企業の日常業務全体を対象にしており、あらゆる社内部門の業務プロセスに関係しています。
(略)
したがって、(内部統制システムは、)経営陣や社内担当者だけでなく、ほとんどの企業人にとって直接・間接に関係しています。そのため最小限の知識を持っておくことが欠かせません。
またこの内部統制システムは、継続的な改善が求められているので、その場限りの対応で終えることができる問題でもありません。
いまのうちから、「ポスト内部統制」までを視野に入れた対応が求められているのです。
本書がそうした体制・組織づくりのお役に少しでも立てるようであれば幸いです。」
本書は、4つの章から構成されています。
第1章では、「「内部統制」と2つの法律」
として会社法と金融証券取引法で定める内部統制についてその概要ならびにその制定の経緯・背景について解説しています。
第2章では、「会社法の「内部統制」」
として、会社法とはどのような法律かの概要を解説し、会社法、施行令、施行規則でいう内部統制は、法令の条文では「体制」とし、会社法関連で規定されている体制(すなわち内部統制)に関する事項は、どのようなものかについて条文を参照しながら分かり易く解説しています。
第3章では、「金融商品取引法の「内部統制」」
として、金融証券取引法が規定する「財務報告に係る内部統制」は何かについてその目的から、内部統制に相当する内容は、「当該会社の属する企業集団及び当該会社に係る財務計算に関する書類及びその他の情報の適正性を確保するために必要な体制」とし、ここでの内部統制の概要から日本版COSOフレームワークの概要、そこで行うリスクアセスメントの手順、モニタリング、内部統制の構築と運用に関わるプロセスの流れ、内部統制監査等について解説しています。
第4章では、「内部統制と組織設計」
として、会社法と金融証券取引法で求められる内部統制についてオーバーラップしている部分について調整することが必要とし、二つの法律で求められている内部統制の関連やその整理の方法などを解説し、「ポスト内部統制」で何をすべきかも言及しています。
会社法と金融商品取引法で求められている内部統制について複雑な法体系をすっきりと整理し、内部統制に焦点をあて、カラフルな図解で分かり易く解説されており、内部統制に関心のあるビジネスパーソンにはお奨めの一冊です。
なお本書の目次は、以下の内容です。
第1章「内部統制」と2つの法律
1 「内部統制」がやってきた
2 2つの法律が定める「内部統制」
第2章 会社法の「内部統制」
1 会社法とは何か
2 誰が体制を決めるのか
3 なぜ内部統制システムが必要とされるのか
4 基本方針決定のポイント
5 追加して決めておくべきポイント
第3章 金融商品取引法の「内部統制」
1 金融証券取引法とは何か
2 「財務報告に係る内部統制」とは
3 四つの目的と六つの基本的要素
4 内部統制の構築と運用
5 経営者による内部統制の評価・報告
6 内部統制監査
第4章 内部統制と組織設計
1 二つの法律による内部統制の関係
2 内部統制と組織設計
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- 2007年05月30日
- リスクマネジメント, 内部統制 | 内部統制,日本版SOX法
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