経営者、管理者、IT担当者、経理担当者など幅広いビジネスパーソンをターゲットに日本版SOX法(J-SOX法)と呼ばれる金融商品取引法において規定される「内部統制の評価および監査」を重点にわかりやすくコンパクトに解説している入門書を紹介します。
本書:「最新J-SOX法がよ~くわかる本」です。
「(ポケット図解)日本一わかりやすい内部統制の入門書!」との副題が付いています。
本書は、著者:島田 裕次氏にて、2007年5月に秀和システムより発行されています。
本書の表紙のカバーには、本書の特徴として以下のように書かれてあります。
「内部統制のポイントが一目でわかる!
- 内部統制の整備手順がわかる!
- 内部統制の評価と監査がわかる!
- IT統制の二つの意味がわかる!
- 米国SOX法との違いがわかる!
- 内部統制の利用法がわかる!
本書の「はじめに」で著者は、本書の特徴等について以下のように述べています。
「本書の特徴は、金融証券取引法のうち内部統制の評価および内部統制監査に関する部分(いわゆる日本版SOX法)についてわかりやすく解説したものです。
内部統制は、企業は経営目的を達成するために金融証券取引法が制定されるずっと以前から今日まで築き上げてきたものです。
内部統制の具体的な仕組みは、企業の風土や文化、業種、事業内容などによって様々です。
こうした点を踏まえて、金融証券取引法へ対応していくことが大切なのです。内部統制には、法令へ遵守するという消極的な内部統制(「守りの内部統制」)と思い切った経営戦略を実行するための内部統制つまり企業価値の向上につなげるための内部統制(「攻めの内部統制」)があります。
企業が忘れてはならないのが「攻めの内部統制」です。
本書では、企業価値の向上へつなげるための内部統制についても説明しています。
金融証券取引法への対応を契機として、厳しい競争に打ち勝つことのできる強靭な企業の組織体制を構築していくことが重要なのです。」
本書の構成は、見開きの2ページで左側のページがそのテーマとして取り上げている項目の説明が掲載され、右側のページには、その内容を補完するイラストなどの図解による解説が掲載されるという構成になっています。
また第1章から、第10章までの構成で、各章の終わりには、例えば、第1章では、「J-SOX法で不正を防止できるか」といったコラムが掲載されるという構成になっています。また黒と青の濃淡のインクが使い分けられ、見やすく工夫されています。
第1章では、「J-SOXの概論」
として、「1-1 日本版J-SOX法とはどのような法律ですか」から「1-9 ITガバナンスとは関係があるのですか」に至る9項目が取り上げられ、J-SOXと呼ばれている金融証券取引法の背景と概要について解説されています。
第2章では「内部統制の基礎知識」
として、「2-1 なぜ内部統制が必要になったのですか」から「2-9 ITへの対応とはどのようなことですか」まで、内部統制の持つ意味について、企業会計審議会の基準、米国のCOSOレポートなどの解説を交えて解説されています。
第3章では「内部統制の整備手順」
として、「3-1 内部統制は、どのような手順で整備すればよいのですか?」をはじめ、10項目について取り上げ、従来から企業において経営管理や業務管理のための各種の仕組みを活用して内部統制を組織において整備する手順を解説しています。
第4章では、「内部統制整備のポイント」
として、「4-1 内部統制の整備は、どの範囲まで行えばよいのですか?」をはじめとして6項目を取り上げ、わかり難いとされるリスクとコントロールの概念についてその理解するポイントを解説しています。
第5章では「IT統制の整備」
として、「5-1 IT統制とは、どのような統制なのですか?」から「5-9 ASPサービスを利用していますか」を取り上げ、技術革新が激しいIT統制をどのように整備すればよいかについて解説しています。
第6章では、「内部統制の評価」
として、「6-1 内部統制の評価・報告の流れを教えて下さい」など7項目を取り上げ、内部統制報告書に関わる内部統制の有効性の評価について、どのように内部統制の評価を行えばよいかについて解説しています。
第7章では、「内部統制監査への対応」
として、「7-1 内部統制監査は、何のために行うのですか?」など5項目を取り上げ、内部統制監査の仕組みについて解説しています。
第8章では、「価値向上につなげるために」
として、「8-1 内部統制を整備すれば、売上や利益の増大につながりますか?」をはじめ4項目を取り上げ、著者の「攻めの内部統制」に通ずる、付加価値を出すための内部統制の整備・運営の方法について解説しています。
第9章では、「内部統制システムを維持していくために」
として、「9-1 文書化は、一度行えば、それ済むものですか?」をはじめ4項目を取り上げ、内部統制の維持や組織や事業の変更などの際の内部統制に関わる留意事項など解説しています。
第10章では、「IT化の推進と内部統制システム」
として、「10-1 IT化を積極的に進めていますが、内部統制で留意すべき点を教えて下さい」から「10-5 文書化を簡単に行うツールはありますか」まで、効率的に内部統制を運営するためIT化をどのように活用すれば良いかなどについて解説しています。
なお本書の目次は、以下の内容です。
第1章 J-SOXの概論
第2章 内部統制の基礎知識
第3章 内部統制の整備手順
第4章 内部統制整備のポイント
第5章 IT統制の整備
第6章 内部統制の評価
第7章 内部統制監査への対応
第8章 価値向上につなげるために
第9章 内部統制システムを維持していくために
第10章 IT化の推進と内部統制システム
- 2007年06月21日
- 内部統制,日本版SOX法 | リスクマネジメント, 内部統制
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