マーケティングとは、営利か非営利かを問わず『顧客の価値を満足を理解し、創造し、伝え、提供すること」で企業の側から見ると『顧客を満足させて、利益を得ること』というのが本書の「マーケティングとは」で紹介されているコトラーの言葉です。
マーケティングの「カリスマ」のフィリップ・コトラーについて、その著作の「マーケティング原理」、「マーケティング入門」などの著作は、700~900ページといずれも大部でなかなか読破となると大変です。
実務に役立つと思われるコトラーのマーケティングの考え方について、そのエッセンスを抽出して、日本企業での活動事例も交えてコンパクトにまとめ分かり易く解説している本を紹介します。
本書:「 コトラーを読む」です。
本書は、著者:酒井 光雄 氏にて、2007年4月に日本経済新聞出版社より、日経文庫の一冊として発行されています。
本書の帯には、以下のように書かれてあります。
「「カリスマ」の知恵を実務に活かす!
コトラーが提唱するマーケティングの神髄を
日本の実例に基づき、具体的に解説。」
本書の表紙の折り返し部には、以下のように本書のポイントがまとめて以下のように紹介されています。
-
マーケティングの大家であるコトラーの考え方について、そのエッセンスを抽出して解説。特に重要な点については、「Kotler’s Idea」としてピックアップしています。
-
実務に応用できるよう「なりきり」方式で解説。テーマに沿った業界を選び、その業界の現状に触れながらコトラーの考え方について説明していますので、そこで働く人になったつもりで読み進めることができます。
- より具体的に理解できるよう、身近な日本企業の事例を多数盛り込みました。
本書は、6つの章から構成されています。
[I]では、「コトラーの考え方とその原点」
として、コトラーの人物の紹介に始まり、マーケティングについての考え方、マーケティング活動の理念(5つの基本概念:生産概念、製品概念、販売概念、マーケティング概念、社会的マーケティング概念)、21世紀のマーケティングキーワードの「つながる」の概要について解説しています。ここでは、「なりきり」として「自分に置き換えて考えてみる」、「ファースフード店経営者」の2つの立場からの問題が提起されています。
[II]~[V]では、「コトラーのエッセンス」として、4つの((1)顧客起点の企業発想、(2)売り手として考えること、(3)コニュニケーション戦略、(4)社会活動のマーケティング)という切り口に分けて解説されます。この4つの章が本書の中核になります。
ここでは、「なりきり」として「タクシー会社のマーケティング担当者」から「蚊とり商品のマーケティング担当者」までの15の業界の立場からの問題が提起されています。
種々の業界のマーケティングの担当者になったつもりで、自分ならどうするかを考えながら読み進めるしくみを採用されている点について、マーケティングの発想法を学ぶ上で大きな学習効果が見込める読み方になるかと思われます。
コトラーのマーケティングの考え方のエッセンス部分について、「Kotler’s Idea」として、例えば、『プロモーションに活用できる方法』:○広告、○人的な販売方法、○広報活動、○ダイレクト・マーケティング)などのようにまとめてあるので、理解しやすいように思います。
[VI]では「コトラーの指摘を実践する日本企業」
として、日本企業が直面している21世紀の課題について筆者が考える6つの共通項について解説しています。非営利団体のマーケティングなど幾つかのこれからの時代のマーケティングに関わるトピックスを取り上げ紹介しています。
大著を読む時間の無い方へ
実践向けマーケティングの大掴みに向く
社員教育のテキストとしても使える
マーケティングの入り口であり、再入場口的書籍
なお本書の目次は、以下の内容です。
?: コトラーの考え方とその原点
?: 顧客起点の企業発想―コトラーのエッセンス(1)
?: 売り手として考えること―コトラーのエッセンス(2)
?: コミュニケーション戦略―コトラーのエッセンス(3)
?: 社会活動のマーケティング―コトラーのエッセンス(4)
?: コトラーの指摘を実践する日本企業
参考 コトラーの著作ガイド
コトラー
(広告)
- 2007年08月14日
- マーケティング
- コメント(2)
- トラックバック(0)
1. Posted by 手文庫@ビジネス書で問題解決 2007年08月15日 00:11
discus2005さん、こんばんは!
どこから手をつければいいのかという人へという紹介を見た覚えがあります。内容が盛りだくさんのようですね。
2. Posted by Discus2005 2007年08月17日 09:17
この本は、新書でコンパクトなので読みやすいですが、私の場合には、「マーケティング原理」などは、読みかけ、読みかけ、読破に至らず、実は、ツンドク状態となっています。