金融証券取引法による内部統制報告制度に基づく内部統制報告書の提出が(2008年4月1日以降に開始する事業年度において)義務づけられました。
これに対応して企業会計審議会から、内部統制基準及び実施基準が公開されています。
この内部統制基準の解説から、実務上の対応、さらには留意すべき点などについてQ&A形式により分かり易く解説している本を紹介します。
また、実務に直接活用でき利用度が高いと思われる「『全社的な内部統制の質問箱』の作成ガイダンス」が巻末に添付されています。
本書:「実務で使える 内部統制の構築・評価Q&A」です。
本書は、沢田 昌之氏による監修、ならびに小松 博明 氏及び鈴木 裕司 氏による編著にて、2007年5月に中央経済社より発行されています。
本書の帯には、以下のように書かれてあります。
「実施基準」完全対応
『「全社的な内部統制の質問書』
作成ガイダンス」付!
本書の「はじめに」で監修者は、金融証券取引法の成立の背景のもと2007年2月に公開された企業会計審議会による「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準ならびに財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準の設定について」について、内部統制の構築や評価を進める上で、上記の内部統制基準や実施基準は抽象的な部分も多く、実務上の具体的な対応について悩まれる方々も少なくないのではとし、内部統制には、「実務の有効性及び効率性」、「財務報告の信頼性」、「事業活動に関わる法令等の順守」、「資産の保全」の4つの側面があるが、特に金融証券取引法の内部統制では、『財務報告の信頼性』に注力しているとした上で、本書の意図する点について以下のように述べています。
「本書は、内部統制構築プロジェクトメンバー、経理担当者、内部監査人等を対象として、来る財務報告に係る内部統制の評価および監査制度への対応にあたって、新しい内部統制基準や実施基準を説明するだけでなく、実務上の対応・留意点についてQ&A方式を用いることで、できる限り平易に解説するよう努めています。」
本書は、10章より成り、73問のQ&Aで構成されています。
また章の途中には、Q&Aに関連する「ITに係る全般統制の評価の省略」などの2,3のコラムが挿入されており、さらに内容の理解を高められるように工夫されています。
さらにQ&Aについても、2章以降については、強調された質問欄の直下にその回答のポイントについて箇条書きでまとめられた後に回答が続くという展開でQ&Aが進められていて、概念図、フロー図、一覧表、チェック表など多くの図表を用いて非常に分かり易いものとなっています。
第1章では「内部統制報告制度の概要」
では、財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準ならびに財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準についての概要が解説されています。「Q1-01:内部統制報告制度の導入経緯」から「Q17:監査人による内部統制監査制度」まで17のQ&Aが取り上げられています。
第2章では、「内部統制の評価の範囲」
として、内部統制の評価範囲について「Q2-01:財務報告の範囲」など4つのQ&Aが取り上げられ解説されています。
第3章では、「リスクの評価と対応」
として、リスクの評価と対応の必要性・重要性から全体的なリスク評価の流れと手順について「Q3-01:虚偽記載リスク」など5つのQ&Aが取り上げられ解説されています。
第4章では、「全社的な内部統制」
として、全社的な内部統制の重要性から具体的な評価方法ならびにその手順について、「Q4-01:全社的な内部統制の重要性」など9つのQ&Aが取り上げられ解説されています。
第5章では、「決算・財務報告プロセス」
では、財務報告の信頼性に関わる決算・財務報告プロセスの特長を解説すると共にそのプロセスの整備・運用状況の評価の留意点などについて、「Q5-01:決算・財務報告プロセスの内容」など7つのQ&Aが取り上げられ解説されています。
第6章では、「決算・財務報告プロセス以外の業務プロセス」
として、決算・財務プロセス以外の業務プロセスの整備・運用状況の評価について、「Q6-01:業務プロセスの内容」など7つのQ&Aが取り上げられ解説されています。
第7章では、「ITに係る業務処理統制」
として、決算・財務プロセス以外の業務プロセスの整備・運用状況の評価で業務プロセスのうちITに係る業務処理統制について取り上げ「Q7-01:ITに係る業務処理統制の内容」など4つのQ&Aにより解説しています。
第8章では、「ITに係る全般統制」
として、IT全般統制の位置づけを明確化すると共に、その評価方法について「Q8-01:ITに係る全般統制と業務処理統制の関係」など8つのQ&Aにより解説しています。
第9章では、「不備と欠陥」
として、内部統制の評価の結果、見出された不備と重要な欠陥の内容について取り上げ「Q9-01:内部統制の不備および重要な欠陥の内容」など6つのQ&Aにより解説しています。
第10章では、「その他の実務上の留意点」
として、その他の実務上の留意点について「Q10-01:既存文書の利用」など4つのQ&Aにより解説しています。
また巻末資料として実用的に活用度が高いと思われる「「全社的な内部統制の質問書」作成ガイダンス」が添付されています。また「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに財務報告 に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準の設定について(意見書)」も掲載されています。
なお本書の目次は、以下の内容です。
第1章 内部統制報告制度の概要
第2章 内部統制の評価の範囲
第3章 リスクの評価と対応
第4章 全社的な内部統制
第5章 決算・財務報告プロセス
第6章 決算・財務報告プロセス以外の業務プロセス
第7章 ITに係る業務処理統制
第8章 ITに係る全般統制
第9章 不備と欠陥
第10章 その他の実務上の留意点
巻末資料
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- 2007年08月22日
- リスクマネジメント, 内部統制
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