各種QC手法については、日常活動の中であるいは、ISO9001、ISO/TS16949、シックスシグマなどの各活動の一環として、活用されていると思います。
今日では、コンピュータによるデータの取扱いが、非常に便利になり各種の専用ソフトやエクセルのアドオンのマクロを用いてデータ整理から解析まで、データ入力だけでグラフ化などまでの一切をやってくれます。
実務的には、途中がブラックボックスであってもインプットとアウトプットとの関係のみをルーチン業務として割り切って活用することも重要ですが、ただのブラックボックスの積もりが時としてブラックホールとなっていて誤った判断に陥ってしまう懸念があります。
基礎をしっかりと確立した上での応用ということで、データに振り回されることなく、しっかりとデータを活用できるためには、QC手法を支えるQC数学の原理・原則的な考え方の基本をよく理解しておくことが必要です。
このような観点からデータ整理の定石から統計的検定や推定、抜取検査、管理図、相関と回帰、分散分析などの各種のQC手法の基本中の基本を分かりやすく解説している本を紹介します。
本書により、例えば、なぜQCの中心に正規分布が位置づけられるのか、3シグマや6シグマが現象的に何を意味しているかなどのQC数学の原理・原則的な考え方の基本が学べます。
本書:「QC数学のはなし」です。
「品質管理を支える統計の初歩」との副題が付いています。
本書は、こういった分野の分かり易い多くの啓蒙書の著作で知られる大村 平氏で、2003年4月に日科技連出版社 より「はなしシリーズ」の一冊として発行されています。
本書の「はじめに」で本書の執筆の背景について、品質管理(QC)が日本の近代工業を一流に引き上げた牽引力の一つだが、近年になってQCについてマニュアル化した弊害のようなものとしてものを考えず、法の精神を考えずに条文だけをしゃくし定規に適用とするQCマンが増加するという老化の兆しが見られるとした上で、以下のように述べています。
「QCは1種の科学技術です。科学技術は常に前進し続け、向上しなければ敗北です。そのためには、QCの土台を構築している数理について正当な認識を身につけておくことが必須の条件です。
(略)
QCマンとしては、なぜQCの中心にはいつも正規分布があるのか、とか、3シグマや6シグマが現象的には何を意味しているかなど、QC数学の根っこにある考え方を、しっかり理解していることのほうが肝心です。
そうすれば、QCの本音が確認できて、QCの将来の展望も開けるにちがいありません。」
本書は、9つの章から構成されています。随所にイラストや表、グラフなどが用いられ分かり易い解説文となっています。
第1章では、「互換性から品質管理へ―近代文明への立役者」
として、原子力の利用など20世紀の技術突破の話題からはじまり、品質管理の普及も有力な技術突破の一つとし、互換性の概念と品質管理、とくに品質管理の展開の経緯について触れ、SQCとTQCまでの展開を総括し、SQCこそQCの知識とセンスの根源としています。
第2章では、「データ整理の定石―木を見て森を思うテクニック」
として、母集団から標本を取り出し、その標本の統計情報から母集団の性質を推定する手順を解説しています。この章で解説されているキーワードを拾うと標本の代表値、メジアン、相加平均、相乗平均、レンジ、平均偏差、標準偏差、シグマ、分散、ヒストグラム、分布の型、折れ線グラフ、正規分布、指数分布、一様分布、生データ、データのクラス分け、不偏推定値などの基本が解説されています。
第3章では、「正規分布が拠り所―QC理論は、これできまり」
として、正規分布に関連する各種の特性が解説されています。この章の解説されているキーワードの一端を紹介すると変曲点、正規分布表、誤差曲線、変動率などが解説されています。またCEP(Circular Error Probabirity)というミサイルなどの命中精度に関係する軍事用語などの話題も面積を正規分布で扱う例として登場しています。
第4章では、「推定とか検定とか―捜査と判決の道筋」
として、この章では、推定と検定に関する用語の解説も含めて推定・検定が論じられています。点推定、区間推定、信頼区間、信頼水準、信頼係数、推測統計、t分布、仮説、検定、有意差、危険率、あわてものの誤り、ぼんやりものの誤り、帰無仮説、両側検定、片側検定などについて事例も含め解説されています。
第5章では、「抜取検査の数理―リスクは分け合うのがいい」
として、抜取検査の数学的な基礎についてパスカルの3角形、二項分布、ポアソン分布、破壊検査、OC曲線(検査特性曲線)、生産者リスク、消費者リスク、2回抜取検査などが解説されています。
第6章では、「管理図を描いて観察しよう―目でみるQCの実情」
として、異常な兆候を把握する:すなわち統計的な管理状態にあるか否かを判断するための管理図の使い方について解説しています。X(エックスバー)-R管理図の各種異常の見方からさらにその他の各種管理図の作り方とその見方、さらに工程能力指数に基づく工程の安定状態の判別などを解説しています。
第7章では、「相関と回帰を巡って―両者の仲と将来を読む」
として、散布図による相関の読み取り、相関係数による計算、回帰直線の求め方、相関を評価する際の留意事項などを解説しています。
第8章では、「分散分析と実験計画法―因子の効果を見破る法」
として、因子と水準の説明から、効果、誤差、分散分析、F検定、交互作用など分散分析と実験計画法の手法とその基礎となる統計数学について解説しています。
第9章では、「品質と信頼性の二人三脚―ごく小さな確率との戦い」
として、信頼性は品質の一部との観点から、バスタブ曲線、初期故障、偶発故障期間、偶発故障、摩耗故障期間、摩耗故障、耐用命数、有効寿命、減衰曲線、平均故障期間(MTBF)、信頼度、冗長度、フェールセーフ、フェールプルーフ、マーフィの法則、4.5σ管理、6σ管理など信頼性に関わる統計数学について解説しています。
大人になってからの数学は
なお本書の目次は、以下の内容です。
第1章 互換性から品質管理へ―近代文明への立役者
第2章 データ整理の定石―木を見て森を思うテクニック
第3章 正規分布が拠り所―QC理論は、これできまり
第4章 推定とか検定とか―捜査と判決の道筋
第5章 抜取検査の数理―リスクは分け合うのがいい
第6章 管理図を描いて観察しよう―目でみるQCの実情
第7章 相関と回帰を巡って―両者の仲と将来を読む
第8章 分散分析と実験計画法―因子の効果を見破る法
第9章 品質と信頼性の二人三脚―ごく小さな確率との戦い
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- 2007年09月06日
- QC手法、統計、QC7つ道具
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