医療機関、会計事務所、法律事務所、経営コンサルタントなどのいわゆる士業と呼ばれる専門家のための、実践的なマーケティング戦略とテクニックを提供しているコトラーの定番本を紹介します。
ISOコンサルタントもまたプロフェッショナル・サービスを提供する専門家ですが、ISOコンサルタントになるには、格別な資格が必要という訳ではありません。
企業集団として、あるいは、個人事業として多くのISOコンサルタントが活躍中です。
しかしながら、これからの時代のISOコンサルタントには、ISOに関する専門知識だけではなく、マーケティングの戦略とその実践が伴わないとその生き残りもなかなか厳しいように思われます。
ISOコンサルタントも含め、士業と呼ばれる人達は、ともするとその業務を進める上で必要な専門知識等の習得には、熱心であっても、クライアントを獲得するための知識には疎い面があるように思われます。
あるいは、クライアントの口コミが1番としてその対応にのみ集中し、新たなクライアントの獲得の取組が疎かになったり、先生とか呼ばれる立場でとても頭を下げて営業するとかできないなど。
マーケティングについてのマネジメントがさっぱりできていないということでは、どれだけ専門の質が優れているとは言っても、それでは、なかなか生き残る展望が見えてきません。
本書では、プロフェッショナル・サービスを提供する人々が現代の競争市場で生き残るための指針についてきめ細かに網羅しています。
本書:「コトラーのプロフェッショナル・サービス・マーケティング 」です。
本書は、Philip Kotler(フィリップ・コトラー), Thomas Hayes(トーマス・ヘイズ), Paul N. Bloom(ポール・ブルーム)による原著:『Marketing Professional Services, Second Edition』について、白井 義男 氏ならびに 平林 祥 氏の翻訳により、2002年11月にピアソン・エデュケーションより発行されています。
ドッグイヤーと呼ばれ世の中の変化のスピードが早く、不確実な未来を予測することは、極めて困難です。不確実な未来を展望する有力な方法は、過去の歴史から学ぶことかと思われます。
すでに士業の競争が激化した環境を経験してきた米国から学ぶことは参考になると思われます。
過去の20年間に米国で会計士、弁護士、経営コンサルタント、建築家、エンジニア、医師などのプロフェッショナル・サービスを提供する専門家が市場分析から、コミュニケーション・ミックスの作成、マーケティングプログラムの実施までの本書のマーケティングの方法論を取り込んで成果を挙げているという多くの実績があり拠り所になります。
一端を紹介するとプロフェッショナル・サービスのマーケティングを成功に導くためには、『マーケティングとは交換』であることを理解し、交換の機会を生み、管理することが大切と述べています。
またサービス、価格、流通、プロモーション、物的証拠、プロセス、人などの要素を適切に組み合わせたマーケティング・ミックスを用いて、ターゲット市場に自ら交換に参加することが大切としています。
プロフェッショナル・サービスについて「特有な10の問題点」として取り上げているが、その障害を乗り越えることが重要としています。
とくに真っ先に確立すべき課題は、顧客志向の確立で、サービスを提供する組織全体が、顧客のニーズとウォンツを満たすことに最大の注意を向けるべしと述べています。
「成功に導く12のキーポイント」として、『品質が命』などの論点を展開しています。このあたりは、専門家の共感を呼ぶ展開です。
全般的にプロフェッショナル・サービスの成功のための原理と理論となると堅くなるが、多くの事例を交えながら実務的にすぐにでも活動に反映できる展開で明快に書かれてあり、大いに勉強になる本です。
第1章の「プロフェッショナル・サービスのためのマーケティング」において、マーケティングとは?からはじまり、15章の「プロフェッショナル・サービス・マーケティングの今後」での15章からなりその原理・考え方から実践までを説いた347頁のなかなかの読みでがある内容です。
「士業マーケティング」を教える書
士業者間の競争を勝ち抜き、より良き顧客関係を構築するために
専門士業に携わる人は読むと意識が変わります
なお本書の目次は、以下の内容です。
第1章 プロフェッショナル・サービスのためのマーケティング
第2章 ロフェッショナル・サービスのマーケティング---12のキーポイント
第3章 良質なサービスの提供
第4章 マーケティング活動の構築と強化
第5章 マーケティング情報の収集と活用
第6章 戦略計画と戦略的組織
第7章 市場細分化、市場選択、市場への訴求
第8章 顧客理解
第9章 サービス・ミックス
第10章 プロフェッショナル・サービスの価格設定
第11章 サービスの利便性確立
第12章 統合型マーケティング・コミュニケーション
第13章 プロフェッショナル・サービスのオンライン・マーケティング
第14章 顧客維持戦略と関係構築戦略
第15章 プロフェッショナル・サービス・マーケティングの今後
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- 2007年09月28日
- マーケティング | コンサルタント
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