ISO9001をしっかりと経営のツールとして活かしていく上で経営者の役割が極めて重要なことは、QMSの8原則にあるリーダーシップや規格要求事項の5項:「経営者の責任」などの位置づけからも明確なことです。
ISOに対応する経営者のスタンスとしては、極端に言うと3種類に大別されるように思います。
極めて熱心で率先してISOに取り組む経営者、ISOとは常に距離をおいて管理責任者などの部下に大部分を丸投げしている経営者、そしてその中間のタイプ。一般的には、中間タイプが多いかと思われます。
特に中小規模の組織では、経営者が部下等に日頃任せきりで、審査の直前ににわかのレクチャーを受けて必要最小限の対応をこなしているというような姿勢でいては、ISOを経営に活かし成果を得ることは難しいと思われます。
本日は、ISOの成否の鍵を握るともいえる中小企業経営者を主対象として、ISO9001の構築・運用についてどのようにすれば、会社の業績の向上等の成果に繋がるかについて、120の観点からわかりやすく解説している本を紹介します。もちろん経営者だけでなく、ISO9001に関心がある関係者にも役立つ内容となっています。
監修者のことばでも述べられていますが、本書は、経営者に向けて、ISO9001の要求事項を図解化し、キーワード的に文書化してわかりやすく解説しています。さらにISO9001の要求事項に基づいた品質マネジメントシステムの理解を深める場合の具体的な対策や展開方法も解説しています。
本書:「経営者のためのやさしいISO9001」です。
「経営にトコトン活かそう120の勘どころ」との副題が付いています。
本書は、著者:神宮寺 淑人氏ならびに田中 稔広氏の監修にて、2005年1月に日刊工業新聞社より発行されています。
本書は、5章からなり、120の(例えば,ISO9001規格要求事項のエッセンスをキーワード的に要約した文書をタイトルとした)項目について、イラストやフロー図など用いて、分かり易く解説される構成となっています。本書の途中には、「あなたの疑問にお答えします!」としてISO9001について誤解を招きやすい幾つかの項目を取り上げ解説しています。
第1章では、「経営者は、ISO9001を経営にトコトン活かしているだろうか」
として、『1.経営者は、ISO9001の目的と意義を本当に理解しているだろうか』に始まり、『5.ISOを認証取得しているだけでは差別化にならない』までの本書の主題となっている課題が提示されています。
第2章では、「ISO9001で経営成果をトコトン上げよう」
として、ISO9001規格の要求事項のポイントとなる部分で経営者の関心がある内容を(例えば、『6.ISO9001の適用範囲は製品ではなく、製品を生み出す工程管理である』など34項目を取り上げ)クローズアップして解説しています。
第3章では、「ISO9001要求事項をトコトン理解しよう」
として、ISO9001の要求事項の内容解説を4.1項:「一般要求事項」に関わる『41.ISO9001は、品質管理ならびに品質保証の仕組みを、品質マネジメントシステムとして構築することを求めている』から8.5項:「改善」に関わる『112.起こってしまったことに対する不適合の除去が是正処置に対して、起こることが予測される不適合の除去が予防処置である』まで経営者の目線で要求事項の意図する内容やその要求事項の背景や考え方も含めて解説しています。この章が本書の中核になります。
第4章では、「継続的改善と顧客満足をトコトン実現しよう」
として、QMSの有効性の継続的改善に関わるパフォーマンスを把握するための手段としての『内部監査』と『目標管理』に焦点を当て、『113.内部監査を効果あるものにするためには、その目的を良く理解しておくことが必要』など14項目を取り上げ、解説しています。
第5章では、「顧客満足への取組み方−チェックリストを公開−」
として、顧客の受け止め方を把握して経営方針に反映するためのアンケートなどの情報収集から内部監査の意義から監査チェックリストの作成とその様式、更には力量管理による人材育成、達成度が可能な目標管理、データ分析の意義とその報告書の作成などをその帳票の様式も含めて解説しています。
なお本書の目次は、以下の内容です。
第1章 経営者は、ISO9001を経営にトコトン活かしているだろうか
第2章 ISO9001で経営成果をトコトン上げよう
第3章 ISO9001要求事項をトコトン理解しよう
第4章 継続的改善と顧客満足をトコトン実現しよう
第5章 顧客満足への取組み方(チェックリストを公開)
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- 2007年10月29日
- ISO9001
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