プロジェクトマネジメントは、タスクフォースとしてのプロジェクトを人、モノ、カネの経営資源を用いて成功裏に完成させることを目指して行われる活動になります。
マネジメントの中身には、プロジェクトを構成する各活動の計画立案、日程表の作成、および進捗管理等が含まれます。
プロジェクトマネジメントの手法としては、アメリカの非営利団体PMI(Project Management Institute)が「PMBOK」としてまとめたマネジメントシステムがデファクトスタンダードとして、世界中の様々な分野で広く受け入れられています。
私も現役時代の研究開発の仕事は、ほとんどがプロジェクトでした。色々の変遷がありましたが、組織的には、要素技術に関わる専門家の人材育成においてプロジェクトのみだと課題があるとの考えで研究室制とミックスした組織で本籍(研究室:専門能力をチャージ)と現住所(プロジェクト:専門能力をディスチャージ)といった運営でした。プロジェクトの成功は、設定するテーマの素性次第なのでそこが最重点ポイントと考えています。
本日は、プロジェクトひと筋二十数年のキャリアを持つ経営コンサルタントの著者がプロジェクトマネジメントの基本:すなわち企画立案、社内決裁、基本設計、システム開発などを経て、プロジェクトの成果が生まれるまでの一連の流れをわかりやすく解説している本を紹介します。
プロジェクトマネジメントについて合併直後のアパレルメーカーがサプライチェーンマネジメント(SCM)の導入を通じて一体感を高めるというストーリーとポイントとなる部分のレクチャーの両面からプロジェクトマネジメントのノウハウについて解説していくという方法で臨場感あふれた中でプロジェクトマネジメントの計画の立て方、ヒト・モノ・カネの動かし方から情報共有の方法、トラブル解決策までといった推進手順から重要な手法までが理解できるような構成となっています。
本書:「 世界一やさしい プロジェクトマネジメントのトリセツ[取扱説明書]」です。
本書は、著者:西村 克己 先生にて、2007年9月に日本実業出版社より発行されています。同社の『トリセツ』シリーズ第4弾になります。
本書の帯には、以下のように書かれてあります。
「ストーリー仕立てだからリアルに学べる
計画の立て方、ヒト・モノ・カネの
動かし方から情報共有の方法、
トラブル解決策までのこの一冊で!」
本書は、第1章:「プロジェクトの基本を理解しよう」から第5章:「プロジェクトの継続と最終報告へ」までの、5章から構成されています。
よくある会社のシーンを取り上げたストーリー部分において登場人物の会話を通じてプロジェクトマネジメントの推進手順が語られます。ストーリーに続いてその項目の詳細なレクチャーが行われるという流れになっています。
また重要なポイントは、豊富な図解で視覚的に分かり易く解説しているほか、「豆知識」「ウラ技」の形でさらに周辺知識を学び、最も重要なポイントもつかめるといった構成になっています。
本書のストーリーの展開の舞台は、製造会社と販売会社の統合をきっかけに、SCM導入に踏み切るアパレルメーカーです。そこで、そもそも、「プロジェクトとは?」からはじまり、計画立案、社内決裁の取り方・実行スケジュールの修正・社内衝突の解消を経て、プロジェクトとしての結果を出すまでの一連の流れを解説しています。
第1章では、「プロジェクトの基本を理解しよう」として、臨時に招集された組織から発生する種々の問題を解決するための留意点が解説されています。
第2章では、「プロジェクトのテーマ設定とフェーズ分割」として、プロジェクトのテーマの設定方法、大規模テーマのフェーズ分割などが解説されています。
第3章では、「プロジェクトの立ち上げと計画立案(SCM)」として、プロジェクト立ち上げから計画立案までが解説され、SCMプロジェクトの4つのフェーズへの分割推進が解説されています。
第4章では、「プロジェクトの実行とフェーズ1の終結」として、プロジェクト推進管理の基本的な方法から情報共有の方法、プロジェクトチーム内での葛藤や対立をどのように解消するかなどについても解説しています。
第5章では、「プロジェクトの継続と最終報告へ」として、フェーズ2、3、4の推進についてのシステム開発や導入・運用など取り組みの流れが詳細に解説されています。
このような構成を通じて、プロジェクトの作業手順を整理する「WBS」(Work Breakdown Structure)、スケジュールが一目でわかる「ガントチャート」、作業の所要時間と前後関係がわかる「PERT」、役割分担が見える「作業責任マトリックス(TRM)」、情報共有を円滑にする「WG会議」と「データベース」、「REP(提案依頼書)」を使ったアウトソースの選び方、部門間の葛藤・対立を解消する「オーナーの意志決定」などプロジェクトマネジメントのための必要な手法やフォーマットなどが分かり易く紹介される構成になっています。
30人規模のプロジェクトには役立つこの本!
なお本書の目次は、以下の内容です。
第1章 プロジェクトの基本を理解しよう
ストーリー1-1 プロジェクトマネジメント勉強会の開始
ストーリー1-2 プロジェクト推進の基本
ストーリー1-3 作業計画とスケジュールを明確化しよう
ストーリー1-4 推進体制と予算計画を明確化しよう
レクチャー1-1 プロジェクトマネジメントの基礎知識 ほか
第2章 プロジェクトのテーマ設定とフェーズ分割
ストーリー2-1 プロジェクトテーマを決定する
ストーリー2-2 プロジェクトのマスタープランを作成する
レクチャー1-1 テーマ設定の重要性 ほか
第3章 プロジェクトの立ち上げと計画立案(SCM)
ストーリー3-1 プロジェクトの立ち上げ
ストーリー3-2 SCM経営改革プロジェクトの立ち上げ
ストーリー3-3 プレリサーチの重要性
ストーリー3-4 プロジェクトで何を実現するのかを明確にする
ストーリー3-5 プロジェクトを確実に推進するための実行計画を立案する
レクチャー3-1 プロジェクトの立ち上げ ほか
第4章 プロジェクトの実行とフェーズ1の終結
ストーリー4-1 プロジェクト企画会議
ストーリー4-2 プロジェクトの推進
ストーリー4-3 思わぬ障害にとまどうメンバーたち
ストーリー4-4 オーナーとの意見のすれ違いで思わずヒヤリ
ストーリー4-5 プロジェクト報告書作成と報告会実施
レクチャー4-1 プロジェクトの承認とキックオフ ほか
第5章 プロジェクトの継続と最終報告へ
ストーリー5-1 フェーズ2として「システム設計フェーズ」に進む
ストーリー5-1 フェーズ3として「システム開発フェーズ」に進む
ストーリー5-1 フェーズ4として「導入・運用フェーズ」に進みプロジェクトは解散
レクチャー5-1 フェーズ2:システム設計の進め方 ほか
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9(nine) WS009KE(BA) FCバルセロナモデル
- 2007年11月01日
- プロジェクトマネジメント
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