だから失敗は起こる
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2007年10月31日(水)のNHK総合TVの「クローズアップ現代」 は、2007年10月16日に起こった平塚のエスカレータ事故について、エスカレータには、どのような危険が潜むのかを題材に畑村洋太郎 先生が解説をされていました。
本日、紹介するのは同じ畑村先生の最新の著作になりますが、NHK教育テレビで2006年8月7日から8回シリーズで放映された番組の「知るを楽しむ この人この世界−だから失敗は起こる−」のテキストをもとに図や写真が修正されたり、新たな内容を付加され構成されている「失敗学」の入門書を紹介します。
本書には、上記の番組を収録したDVDが添付されています。
さすがにDVDによる映像の効果は大きく、これまでに起こった幾つかの事故の現場でのロケが取り上げられています。
どうしたら良い設計ができるかの裏返しで「どうしたら不必要な失敗を防ぐことができるか」を考えると共に、様々な実際の失敗事例(六本木ヒルズ回転ドア死亡事故、JR羽越本線脱線転覆事故羽越線の事故、上越新幹線脱線事故、JR福知山線脱線事故、みずほ銀行システム障害など多数)が解説されています。
失敗体験から学び創造に生かしていくことの大切さも説かれています。
本書:「だから失敗は起こる」です。
本書は、著者:畑村 洋太郎先生にて、2007年10月にNHK出版より発行されています。
本書の帯には、以下のように書かれています。
「失敗は想像力を高める!」
人間は、なぜ失敗をするのか?
その失敗をどう受け止め、どう生かせばよいのか?
NHK知るを楽しむ「だから失敗は起こる」で話題を呼んだ”失敗学のパイオニア”が、8回の番組をまるごとDVDにまとめて再登場。
本書は、DVDの構成と対応して8章から構成されています。
1.では、「失敗学へようこそ」
として、失敗を通じてのみ真の科学的理解が得られる!との視点から六本木ヒルズでの大型自動回転ドアの痛ましい事故を契機に生まれた「ドアプロジェクト」の概要が紹介されています。ダミー人形での実験などを通して評価した結果などが紹介され、回転ドアの技術がヨーロッパから日本に伝えられた際に、安全に必須な知見の大事な点が忘れられ、見栄えの良さといった余計なものが追加されたことに重大な原因があったとしています。この事故から学ぶことは、制御安全にのみ頼り、本質安全を見失っていたために、潜在危険を含んでいたとして、本質安全を優先し、さらに制御安全を付加するという安全の「本質」の考え方が解説され、さらに本質安全のための提案などが紹介されています。
2.では、「予測できない失敗」
として、JR羽越本線の脱線転覆事故の事例が紹介され、「三現」(現地・現物・現人:すなわち現地に赴き、実際に事故や失敗を起こした物を見て、現場の人に会って話をするとの本田宗一郎さん流)のすすめが述べられ、羽越線の事故は、(過去の経験の範囲を超える)「予測できない失敗」とし、失敗のほとんどは予測でき、典型的な失敗のパターンを整理するとだいたい100個くらいで、それらを原因により分類・整理すると10のカテゴリーに分けられることなどを紹介した上で、しかし「予測できない失敗」もあるとして解説しています。
3.では、「予測できるはずの失敗」
として、よくTVでも紹介されていた韓国の地下鉄でベビーカーがドアに挟まった状態で動き出した事故の事例が紹介され、ベビーカーの前輪の軸の外形が細いと、挟まれても発車禁止のランプが消えるようになっていたのでおきたものとし、予測できるはずの失敗についての事例を解説しています。上越新幹線の脱線事故は、橋脚に補強工事がなされた橋脚上で起きたので大事故に至らなかった予測できるはずの失敗への予防処置から生まれたものと紹介されています。
4.では、「失敗は伝わらない」
として、三陸海岸のある地域に建てられた「ここより下に家を建てるな」との教訓を記した碑が紹介され、失敗とは、風化しやすい面があり「伝わらない」という性格を持っているとし、過去のせり上がり脱線事故の教訓が生かされなかった日比谷線脱線衝突事故の事例。ハインリッヒの1:29:300の法則。「樹木構造」が大失敗を促すなどとして人間心理の問題なども背景にあることが解説されています。
5.では、「組織が失敗を呼ぶ」
として、JR福知山線脱線事故、JCOの臨界事故の事例が取り上げられています。いずれも成熟した組織が持つ隙間から生まれる弱点が依存体質を生み、JR福知山線事故でも、実は二重・三重事故が間一髪で免れたことが解説されています。組織が呼ぶ重大な失敗は、利便性を追求する社会にも責任があると述べています。
6.では、「偽のベテラン、真のベテラン」
として、みずほ銀行システム障害の事例などが取り上げられています。組織のリーダーの条件として、「仮想演習」を行うことの重要性と「逆演算」の考え方を取り入れることも必要と解説しています。「真のベテラン」とは、「科学的理解」を有していることとし、マニュアル化が進みすぎると「偽のベテラン」を生むという弊害を生じるとしています。「個」で考え、「組織」で共有することが失敗をなくすとし、「畑村塾」の概要を紹介しています。
7.では、「トラブル発生、さあどうする?」
として、『カミオカンデ』の事故直後に行われた戸塚教授による研究続行の声明の事例が紹介されています。新しい考えを構築する手法として、思考平面図→括り図→思考関連図→思考展開図が紹介され、畑村先生の実践されている思いつきノートが「失敗学」から「創造学」への流れとして解説されています。
8.では、「失敗を残せ」
として、御巣鷹山の航空機事故の事例等が取り上げられています。圧力隔壁接合部の修理の方法の概念図など解説され、失敗を今後に生かすためには、失敗の記憶をなるべく鮮明に残すことが何より必要としています。失敗の事例を残す際に大切なのは、どのようにして失敗が生まれたかの脈絡を書いておくこととし、そこから何を考えて何をしたら失敗したかという脈絡こそ失敗に学べる情報としています。
なお本書の目次は、以下の内容です。
1.「失敗学へようこそ」
2.「予測できない失敗」
3.「予測できるはずの失敗」
4.「失敗は伝わらない」
5. 「組織が失敗を呼ぶ」
6. 「偽のベテラン、真のベテラン」
7. 「トラブル発生、さあどうする?」
8. 「失敗を残せ」
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