5S(整理、整頓、清潔、清掃、躾)活動は、製造業において、作業日報などの作成と併せて現場の職場環境や作業管理に関わるマネジメントのための基本的な手段の一つになります。
本日は、この5Sについて、企業の体質改善との関わりから、5Sの意義、5Sを推進することで得られる効果、5Sの推進手順、5S推進についてのポイント、5S推進の活用事例など5Sを経営管理のツールとして活用する上でのポイントやノウハウについて、現場での実務的な視点から解説している本を紹介します。
本書:「5S (実践 現場の管理と改善講座 2) 改訂版」です。
本書は、編集主査 左近祥夫氏により、名古屋QS研究会の編集にて、日本規格協会より2001年5月に発行されています。
本書は、『実践 現場の管理と改善講座』の第2巻になります。
このシリーズは、名古屋QS研究会により、「製造業をとりまく経営環境は厳しく、国際化の進展・IT革命の進行・環境問題の深刻化などに晒され、変革を迫られているなかで、こうした厳しい状況を乗り越える現場の管理と改善のための道具について、その効果、推進の手順、推進のポイント・適用例等を解説」するというような主旨の講座で、本書は、その改訂版のシリーズになります。
本書の「まえがき」で編集主査は、『いま何故5Sか?』の観点として、「5Sは手段であり、目的を達成するためのもの。時代の変化と共に職場の課題が変わっており、必然的に5Sの在り方も変わってきた」とし、「製造業は、消費者ニーズの多様化による既存製品の行き詰まり、多品種・少量生産と即納体制、円高によるコストの切り詰めなどかって経験したことのない変動期にある。5Sはこの状況を乗り越える道具である」と述べています。
本書は、6章から構成されています。本文には、多数の例えば、改善前と改善後を比較したイラスト、概念図、フロー図、現場写真などが用いられており、問題点から、改善のポイント、対策手段、改善効果などについて具体体に現場的にも分かり易く活用できるように工夫されています。
1.では、「企業体質改善と5S」
として、商品のライフサイクルから始まり、企業の体質改善、職場の体質改善には、5Sが有効とし、5Sとは何かといった5Sの概要の解説と企業体質改善との関係が解説されています。
2.では、「5Sの効果」
として、5Sは手段であるので5Sの効果の測定には5Sの目的は何かを明確にし、それに沿った(測定方式)、(基準)を取ることが必要とした上で、5Sの効果について、『段取り時間短縮』、『資材払い出し時間短縮』などの直接効果と『セールス活動をする』、『5Sは求人活動である』などの間接効果について箇条書きで整理して解説しています。
3.では、「5S推進の手順」
として、5S推進の手順の概略は、「計画する」→「実施する」→「チェックする」→「軌道修正をし、または定着をはかる」のPDCAサイクルとした上で、手順1:情報収集から手順8:標準化の流れで具体的な5Sの推進手順を解説しています。また5S推進の実施について、工夫が必要とし、赤札作戦、VM(Visual Motivation)法、定点撮影などの推進手法、更に「5Sは実行するもの」、「幹部教育」などの5S推進の留意すべきポイントを解説しています。またこの章の終わりには、コーヒーブレイクとして:「躾を効果的にするために」として人間行動に関わる深層心理から見た効果的な5S推進」が解説されています。
4.では、「5S推進の適用例」
として、現場の5S(整理、整頓、清潔、清掃、躾)活動について、推進のポイントと具体的な内容事例について、現場写真、フロー図、基準書、チェックシート、スローガン、改善前→改善後の比較などのサンプルを提示して解説され、また事務部門の5Sについてもその必要性に始まり、現場の活動と同様の関連資料を示して解説されています。
製造業の現場で推進される5S活動に大いに参考となる内容が満載されていて現場リーダーから後継者教育としての活用なども含めて実務的で、お奨めの一冊です。
なお本書の目次は、以下の内容です。、
1.企業体質改善と5S
1.1 企業体質改善とは
1.2 5Sとは
1.3 企業体質改善と5S
2.5Sの効果
2.1 直接効果
2.2 間接効果
3.5S推進の手順
3.1 手順の概略
3.2 具体的手順
3.3 5S推進の実施
3.4 5S推進のポイント
4.5S推進の適用例
4.1 現場の5S
4.2 事務部門の5S
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