「地頭力」(じあたまりょく)とは、人間が本来、有している考える力の基本であり、その特徴は、『「結論から」考える仮説思考力』、『「全体から」考えるフレームワーク思考力』、『「単純に」考える抽象化思考力』に関わると筆者は、定義してします。
このような「地頭力」を訓練によって鍛える強力なツールになるのが「フェルミ推定」として、フェルミ推定による問題解決の方法など解説している本を紹介します。
フェルミ推定とは、ローマ生まれで、物理学者として金属の熱伝導や、白色矮星の安定性等に関する理論的な基礎となる「フェルミ=ディラック統計」等で知られ、後にアメリカに渡ってマンハッタン計画でも中心的な役割を演じたノーベル物理学賞受賞者のエンリコ・フェルミに由来します。
フェルミ推定では、学生への教育などで「シカゴにピアノの調律師は何人いるか」といった問題について、仮定や推定をいくつも組み合わせて「概ねどのくらいになるか」ということを少ない情報の中から妥当だろうと判断されるロジックで導き出す推測手法。
IT企業やコンサルティング会社などの面接試験でフェルミ推定に関する問題が出題されたりしていたとのこと。
本書:「 地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」 」です。
本書は、著者:細谷 功氏にて、2007年12月に東洋経済新報社より発行されています。
本書は、季刊『Think!』2007年春号に掲載の「フェルミ推定で鍛える地頭力」をもとに全面的に書き下ろされたとのこと。
本書の帯には、以下のように書かれています。
- 例題.シカゴにピアノ調律師は何人いるか?
- 例題.日本全国に電柱は何本あるか?
- 例題.世界中で1日に食べられるピザは何枚か?
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本書は、9章から構成され、第1章から第4章まででは、「地頭力」、「フェルミ推定」の概要からフェルミ推定により地頭力をどう鍛えるか、またフェルミ推定をビジネスにどう応用するかなどが解説されています。
第5章から第7章までにおいて、「結論から考える」仮説思考力、「全体から考える」フレームワーク思考力、「単純に考える」抽象化思考力について、どのような思考パターンのものか、その適用、ポイント、思考力の活用上の留意点などを詳細に解説しています。
第8章では、「地頭力のベース」
として、地頭力のベースは、「論理思考力」、「直感力」とし、さらに根源的な原動力が「知的好奇心」と説いて、知的好奇心について、問題解決型(why)と知識型(what)があり、あり地頭力を鍛えるに当たって前者は有益だが、後者は有害ともなりうるなどとしています。
第9章では、「さらに地頭力を鍛えるために」
として、更なるフェルミ推定の方法についてその他の事象への応用の考え方ならびにその他のツールについて解説しています。
フェルミ推定については、例えば、検索エンジンで検索しても本書の影響も含めてネット上でも多く検索されます。ほとんどが賞賛の言葉を贈っています。
フェルミ推定は、あくまで基本的な情報が少ない状況でも、ロジックをもとに当たらずとも遠からずとの概略を見積もるのに有力な方法で、本書ではそのロジックが分かり易く解説されていると思います。
多くのビジネスの局面で十分な情報が整っていない場面でも関係なく決断が迫られる際に、遅巧よりも拙速の方が優れている局面も多いと思われます。まして戦争のような局面などでは、指揮官の決定の遅れは、多数の犠牲を伴うことになります。
ただあくまで、情報不足の判断のロジックでは、誤差が多くなることが懸念されます。当然ながら判断の後も、十分の情報を収集して、判断が適切であったか検証していくことが重要になります。
また本書では、知識(what)は、コンピュータを活用して検索エンジンで調べることができる時代なので、知識は、地頭力には、寄与しない、むしろ害になるというような記述となっていますが、物理でも、数学でも、囲碁・将棋などでも最初の段階では、丸暗記のごとくその基礎知識、定石などの基本を頭に入れ、理解できてないと論外だと思います。これらの世界では、アバウトな推論や直感なども極めて重要ですが、結果的には、完璧主義でないとお話にならないと思います。
岡潔 先生が『春宵十話』に書いていましたが、四次方程式の解法についてルドヴィコ・フェラーリの一般解法など学んでいないとそのような情報なしで、岡先生ですらが自身でトライして手こずったとのこと。
初期の段階では、基本的な知識を習得することが出発点でいきなりフェルミ推定のような話はあり得ないと思います。良くある学習の成熟度曲線の成熟化した段階などフェルミ推定が有用に活用できる学習の段階があるように思います。
最初にあたりをつけてみるといった予備的な方法としては、フェルミ推定は、有力な方法で、本書では、その活用のヒントが分かり易く解説されていると思います。





なお本書の概要目次は、以下です。
第1章では 「地頭力」とは何か
第2章 「フェルミ推定」とは何か
第3章 フェルミ推定でどうやって地頭力を鍛えるか
第4章 フェルミ推定をビジネスにどう応用するか
第5章 「結論から考える」仮説思考力
第6章 「全体から考える」フレームワーク思考力
第7章 「単純に考える」抽象化思考力
第8章 地頭力のベース
第9章 さらに地頭力を鍛えるために
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- 2008年02月22日
- ビジネス、自己啓発、スキルアップ
- コメント(1)
1. Posted by アズマ 2008年02月26日 03:57
初めまして
「知的好奇心」という語を検索して
こちらにお邪魔しました。
地頭力を鍛える という本は
最近本屋さんでチラホラ見かけます。
こういう本に興味はあるので
立ち読みしちゃいますね。
こういう事は幼い時から
考える癖をつけていると大分違いそうですね。
自分が好きな著名人、音楽家は
大学で哲学専攻の人が多いので
何やら関係がありそうです。