SQC(Statistical Quality Control)とは、統計的手法を問題解決の手段として多く用いる品質管理活動で「統計的品質管理」と呼ばれています


SQCは、かっては、我が国の工業製品の高品質化に大いに寄与してきましたが、昨今、製造業のマネジメントの現場においてSQCの取組が弱体化してきていると言われています。


一部の企業の経営者が、TQCとかTQMでは、企業業績の回復はできないだろうと、SQCも同列に見限ってしまったことによります。


2000年以降、製造業で見られた大きな品質トラブルを招いたのは、SQCの基本を使わずにコストダウンを行ってしまったためでSQCを用いていればそのような結末とならなかったはずと筆者はそのまえがきで述べています。


技術者の現場離れとして、技術者本人は、デスクワークなどが中心で、現場で実験データを取っているのは、実は、情報が与えられていない派遣社員。そのため技術者が実験中に起こっているトラブルの事象を把握していなかったなどということも聞いたりします。日常管理のマネジメントが不在といった極端な状況ですが、これではいつ品質トラブルが起こっても不思議ではありません。


相次ぐ品質トラブルの不祥事発覚の背景にSQC軽視のツケが現れているとして、SQCは、効果が出るのに多少時間がかかるという面はあるものの、その継続的実施によりコストダウンの有形の効果に加えて、企業の知的資産となる技術者のスキルアップという無形の効果をもたらすものとして、特に日常管理の現場を預かる開発・設計・製造などのマネジメント層に向けてSQCの基本を説いている本を紹介します


「いま、なぜSQCなのか?」にはじまり、SQCの重要性と継続的実施の持つ意味などを説き、SQCの体系ならびに基本的考え方について具体的事例も交えて分かり易く解説されています。 


本書:「SQCの基本―問題の発見と解決の科学」です。


本書は、著者:宮川 雅巳 先生にて、2008年2月に日本規格協会より発行されています。


本書の帯には、以下のように書かれています。



SQC でよみがえれ!


品質立国日本


  • 部課長クラスのマネジメント層の方々に-----

    いまあらためてSQCの重要性と継続的実施を説く

  • 現場担当者の方々に-----

    問題解決に役立つSQCの体系・基本的考え方を、

    具体的事例で解説

問題解決能力を高めよう」


本書は、11章から構成されています。


第1章では、「SQCは論理・観察・実験による第2の方法
として、16世紀からの近代科学の研究法を振り返り要約し、筆者による現代的SQCの体系:QCストーリーとダグチメソッドを含めた広義の実験計画法を組み合わせたものとして定義し、その0)問題認識から7)対策実施に至る8つのステップなど解説しています。


第2章では、「SQCのエクセレント事例
として、1953年のタグチメソッドによる”タイル実験”の取組事例について、前章の8つのステップに沿って、「プロジェクトX風」の展開で解説しています。


第3章では、「基本的な考え方
として、最初の「まえがき」でSQCには、以下の両輪から成るとの述べていますが、この章では、前者の『基本的な考え方・攻め方』を取り上げ解説しています。その基本は、『場合分けしてとらえる』との見方から、「結果による場合分け」→「条件による場合分け」との筋道、パレート図、ヒストグラム、層別、論理図式など参照しながらSQC問題解決法の原理と位置づけられるアブダクションによる原因の推測など解説しています。
・基本的な考え方
・具体的な手法


第4章では、「 SQC手法と層別
として、「結果による場合分け」と「条件による場合分け」を組み合わせて問題の本質を絞り込むSQC手法」について、パレート図による層別、ヒストグラムにおける層別、散布図における層別について、溶接不良の事例を取り上げ解説しています。


第5章では、「SQCでの品質とコスト
として、『SQCの品質は、バラツキである』との観点から、不良低減の目的は、コスト低減で、目標はコストになるが手段で品質を研究するとの考え方、生産スピードを上げ品質を維持できればコストダウンとの方法や開発段階で多様な使用条件を先取りした試験をして、ロバストな設計条件を見いだすというタグチメソッドのパラメータ設計の考え方など解説しています。


第6章では、「SQCで役立つ計画的に採取したデータ
として、データの採取について、石川先生によるデータ採取過程についての分類(―祥茲諒法で取った日常の過去のデータ、特別に解析しやすいようにとった日常のデータ。例えば、層別したデータ、対応のあるデータ。新たに実験計画法的にとったデータ)について総括した上で、データ解析の基本は、目的に則したデータを採取することが重要とし、計画的なデータの採取により観察データを実験データの形式に近づけることの重要性を説き、三元配置データの解析事例について解説しています。


第7章では、「SQCにおける実験計画法
として、情報が大きくしかも正確な実験データについて、仮説検証型実験、仮説探索型実験、科学的精密実験といった近代の実験の経緯を整理しています。そして統計学者のフィシャーによる実験計画法についてそのエッセンスとなる3原則(・局所管理、・無作為化、・繰り返し)を解説しています。またSQCで行われる実験について3つの目的に分類し、組合せ実験の前に主要な因子を絞り込む目的で行う直交表実験、不具合原因の探求の目的で行う(ドリアン・シャイニンの提案による変数選択法の一つで、組立品の不具合を見つけるための)部品探索法について重点解説しています。


第8章では、「SQCでの統計モデル
として、採取した、もしくは、採取しようとしているデータに対する基本的な統計モデルについて解説しています。 和の分布、差の分布、最小値の分布、最大値の分布、切れた分布、中途打ち切りデータの分布、偏ったサンプリングによる分布を取り扱う統計モデルについて解説しています。


第9章では、「平方和の分解と分散分析
として、データ解析法で取り扱うバラツキについて、そのバラツキを減らす手段は、バラツキの原因を可避原因と不可避原因に分けて可避原因を取り除くことにあるとし、その分解手段が平方和の分解と解説しています。また平方和の分解は、データの採取方法に関係なく形式的にできるが、個々のデータが互いに独立に正規分布に従うと見なせる時は、分散分析の検定法に進めるとして分散分析について6章の事例を取り上げ解説しています。


第10章では、「SQCにおける回帰分析
として、回帰分析について3つの目的に整理した上で、 予測のための回帰分析、変動要因解析のための回帰分析、そして因果的効果推測のための回帰分析について、事例をあげて解説しています。


第11章では、「タグチメソッドの真髄は信号因子
として、ダグチメソッドについて、とくにオフライン品質管理(パラメータ設計)に絞り込んで解説しています。  質的信号・質的特性系、量的信号・量的特性系、質的信号・量的特性について解説しています。結びに第2章のタイル実験について田口先生が新たに「今だったらこういう実験をやっている」と提示された、パラメータ設計の動特性アプローチに基づく実験計画がタイル実験の今日的計画として解説されています。


QCストーリーとダグチメソッドを含めた広義の実験計画法を組み合わせた範囲で、SQCの基本について余り数式など多用せずに分かり易く解説されています。問題の発見と解決のための強力な科学的手法としてSQCの活用が及ぼす経営に対するインパクトは、遅効性肥料みたいなもの。根っこの成長や日々の変化は、目立たず、微々たるものかも知れませんが先々には、大きな収穫をもたらすものと確信します。企業組織にあって現場を預かる長たるビジネスパーソンの方は、是非、読んでおきたい一冊です


SQCの基本―問題の発見と解決の科学
日本規格協会
宮川 雅巳(著)
発売日:2008-02
発送時期:通常3~5週間以内に発送
ランキング:11903


なお本書の目次は、以下の内容です。
第1章 SQCは論理・観察・実験による第2の方法
  1.1 近代科学の研究法
  1.2 現代的SQCの体系
第2章 SQCのエクセレント事例
  2.1 物語 (前半)
  2.2 解説 (前半のポイント)
  2.3 物語 (後半)
  2.4 解説 (後半のポイント)
第3章 基本的な考え方
  3.1 基本は場合分け
  3.2 最も重要な層別
  3.3 アブダクションによる原因の推測
第4章 SQC手法と層別
  4.1 パレート図における層別
  4.2 ヒストグラムにおける層別
  4.3 散布図における層別
第5章 SQCでの品質とコスト
  5.1 SQCの品質はバラツキなり
  5.2 品質を下げずにコストを下げる
  5.3 品質特性の合理的選定
第6章 SQCで役立つ計画的に採取したデータ
  6.1 データは目的に則して計画的に採る
  6.2 観察データを実験データに近づける
  6.3 計画的に採取した3元配置データの解析例
第7章 SQCにおける実験計画法
  7.1 因果関係究明の実験
  7.2 フィッシャーの実験計画法
  7.3 直交表実験
  7.4 部品探索法
第8章 SQCでの統計モデル
  8.1 和の分布
  8.2 差の分布
  8.3 最小値の分布
  8.4 最大値の分布
  8.5 切れた分布
  8.6 中途打ち切りデータの分布
  8.7 偏ったサンプリングによる分布
第9章 平方和の分解と分散分析
  9.1 処理の比較はバラツキを基準に
  9.2 平方和の分解はピタゴラスの定理
  9.3 繰返しのない二元配置の場合
  9.4 繰返しのある二元配置の場合
  9.5 平方和の分解から分散分析へ
  9.6 3元配置データの分散分析
第10章 SQCにおける回帰分析
  10.1 予測のための回帰分析
  10.2 変動要因解析のための回帰分析
  10.3 因果的効果推測のための回帰分析
第11章 タグチメソッドの真髄は信号因子
  11.1 タグチメソッドとは
  11.2 質的信号・質的特性系
  11.3 量的信号・量的特性系
  11.4 質的信号・量的特性系
  11.5 タイル実験の今日的計画


 






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