ISO14001:2004(JIS Q 14001:2004)規格の4.3.2項で『a )組織の環境側面に関係して適用可能な法的要求事項及び組織が同意するその他の要求事項を特定し、参照する。 b) これらの要求事項を組織の環境側面にどのように適用するかを決定する』ための手順を確立・実施・維持するように要求されています。
さらにEMSの確立・実施・維持において、適用可能な法的要求事項及び組織が同意するその他の要求事項を確実に考慮に入れることが要求されています。
また4.5.2項で、『順守に対するコミットメントと整合して、組織は、適用可能な法的要求事項の順守を定期的に評価するための』の手順の確立・実施・維持と『定期的な評価の結果の記録』を残してしておくことが要求されています。
これらの要求事項に対応するため頻繁に改訂・更新され、新規に制定・施行される法規制情報について確実にウオッチングし、自組織の環境側面に適用される法的要求事項の最新情報に更新・反映していくのは、EMS活動でもなかなかエネルギーを要する活動になります。
一般的には、官報、総務省や環境省などのウェブサイト情報や環境法令のデータベースサービスの活用、さらには、環境法令に関する各種書籍などから最新ISO環境法とその要求事項及び遵守事項を把握するということになります。
本日紹介するのは、その環境法令の遵守事項についてすぐわかるように、見やすい一覧表形式でまとめて紹介しているISO環境法のガイドブックの一冊です。(「ISOの本棚」でもその2007年版などを既に紹介しています。)
施行令や施行規則も含め環境関連主要法令70法を収録してあり、平成20年1月1日時点の改正までが反映されています。
本書:「環境法令遵守事項 クイックガイド 2008」です。
本書は、ISO環境マネジメント法令研究会 の編集により、2008年2月に第一法規出版より発行されています。
この2008年版で目立った改善点は、以下のような諸点です。
2008年度版から表紙も以前よりカラフルになりましたが、内容的にも青色印字が追加され重要項目については、青色で表示されています。そして法令の改正点についても表の枠の背景内が青く表示され目立つ形になっています。さらに事業者の責務などの箇所は青色でマスを囲むなど全体が2色刷りとなってより見やすくなっています。
そして各法令についてその冒頭に従来の「法令の目的等」の記載と併せて、『審査・監査における確認事項』の欄が新たに設けられ、ISO14001審査・内部監査での活用の便宜が図られています。
また新たに「環境基準」~「トップランナー方式」などの環境豆知識のコラムが追加され、ISO環境法の周辺情報などが分かり易く解説されています。
さらに以前の版でも一部ありましたが、法令の体系図がさらに充実して追加(16件)されて19件となっています。
また従来からの以下のような特徴は、継続されています。
- 重要な施行令・施行規則など関係法令の遵守事項も併せて登載
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- 罰則のある遵守事項は【罰】マークで一目瞭然
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- コンパクトサイズ(A5判)だから、事業所内の点検、審査の際の持ち運びも楽々
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本書は、12章より構成され以下の70の各環境法をそれぞれ一覧表にして解説しています。
「法令名」の表題に続けて「審査・監査における確認事項」、「法令等の目的」に続いて「法令の体系図}(一部)、さらに表で遵守事項、適用条件・ポイント、条項のマトリックス表が掲載されています。
特に罰則が規定されている条項については、罰のマークで強調されるように表示されています。
第1章 基本的事項
<環境基本法/環境影響評価法(環境アセスメント法)/地球温暖化対策の推進に関する法律(温対法)/特定工場における公害防止組織の整備に関する法律(公害防止組織法)/環境の保全のための意欲の増進及び環境教育の推進に関する法律(環境教育推進法)/環境情報の提供の促進等による特定事業者等の環境に配慮した事業活動の促進に関する法律(環境配慮契約法/環境情報提供促進法)>
第2章 大気汚染
<大気汚染防止法(大防法)/自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法(自動車NOx・PM法)/特定特殊自動車排出ガスの規制等に関する法律(オフロード法/特定特殊自動車排出ガス規制法)/特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律(オゾン層保護法)/特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律(フロン回収破壊法)>
第3章 水質汚濁
<水質汚濁防止法(水濁法)/下水道法/湖沼水質保全特別措置法/瀬戸内海環境保全特別措置法/海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律(海洋汚染防止法)/浄化槽法/特定水道利水障害の防止のための水道水源水域の水質の保全に関する特別措置法(水道水源法)/水道原水水質保全事業の実施の促進に関する法律(水道原水法)/水道法/河川法/ 海岸法>
第4章 土壌汚染
<土壌汚染対策法/農用地の土壌の汚染防止等に関する法律(農用地汚染防止法)/農薬取締法/肥料取締法>
第5章 騒音・振動・地盤沈下・悪臭防止
<騒音規制法/振動規制法/工業用水法/建築物用地下水の採取の規制に関する法律(ビル用水法)/悪臭防止法>
第6章 廃棄物処理
<廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃掃法/廃棄物処理法)/産業廃棄物の処理に係る特定施設の整備の促進に関する法律/特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律(バーゼル法)/ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法(PCB処理特別措置法)>
第7章 リサイクル
<循環型社会形成推進基本法/資源の有効な利用の促進に関する法律(資源有効利用促進法)/容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(容器包装リサイクル法)/特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)/建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)/食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律(食品リサイクル法)/使用済自動車の再資源化等に関する法律(自動車リサイクル法)/国等による環境物品等の調達に関する法律(グリーン購入法)/家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律>
第8章 化学物質・労働安全
<化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法/化学物質審査規制法)/特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(化管法/PRTR法)/ダイオキシン類対策特別措置法/毒物及び劇物取締法(毒劇法)/労働安全衛生法(安衛法)/食品衛生法/化製場等に関する法律/有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律/高圧ガス保安法/消防法>
第9章 自然保護
<55 自然環境保全法/自然公園法/温泉法/鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律(鳥獣保護法)/絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(種の保存法)/文化財保護法…/森林法>
第10章 土地利用
<62 工場立地法/都市計画法/都市公園法/都市緑地法/建築基準法/生産緑地法/ 景観法>
第11章 省エネルギー
<エネルギーの使用の合理化に関する法律(省エネ法)>
第12章 その他
<放射性同位元素による放射線障害の防止に関する法律>
法的要求事項の最新版の維持や法的要求事項の遵守評価の目的等で内部監査に活用したりなど実務への活用に便利な環境法令のガイダンスだと思います。
なお本書の概要目次は、以下です。
第1章 基本的事項
第2章 大気汚染
第3章 水質汚濁
第4章 土壌汚染
第5章 騒音・振動・地盤沈下・悪臭防止
第6章 廃棄物処理
第7章 リサイクル
第8章 化学物質・労働安全
第9章 自然保護
第10章 土地利用
第11章 省エネルギー
第12章 その他
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- 2008年03月05日
- ISO14001 | コンプライアンス、法令
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