「見える化」は、もともとトヨタ自動車で『標準作業票』を作業者の上に吊り下げたことに由来し、トヨタ式生産を象徴する言葉の一つですが、今日では、そこから派生して製造現場でよく使われるようになっています。
「見える化」は、現場における問題点・変化・異常等を可視化することでそれを適切にマネジメントし、改善・改革等に結びつけていく手法として、製造業のみならずサービス業などの非製造業の現場でも広く活用されてきています。
単純な言葉ほど人の解釈が違ってくるものとして、「見える化」について、ただ見えるようにすることが「見える化」ではないとして、「見える化とは何か?」、「なぜ見える化が必要か?」、「どうすれば見える化ができるか?」などから説き起こし、「見える化」について分かり易く解説している本を紹介します。
本書:「 よくわかる「見える化」の本 」です。
本書は、著者:越前 行夫 氏にて、2008年2月に日刊工業新聞社 より発行されています。
同社の「ナットク現場改善シリーズ」の一冊になります。
本書は、8つの章から構成されています。
そして、各章で取り上げている項目毎にその項の解説の要点について2行程度のエッセンスに要約した枠囲みの『ここがキーポイント』が設けてあります。
後からざっとこの『ここがキーポイント』を拾い読みしていくだけでも全体のレビューができる構成になっています。
またさすがに「見える化」をテーマとした本だけあって「見える化」に関する多くの写真とイラストが掲載されていて、まさに「百聞は、一見に如かず」で明快で分かり易い内容となっています。
簡単に各章の概要を紹介します。
第1章では、「見える化って何?」
として、今日の製造現場において求められる変種変量即納生産というニーズへの対応が生き残りの条件として「見える化」の現場は、変化対応力に優れているとし、「見える化」について、何が、いつ、どのように、誰に、どのように見えるべきかなどを解説しています。そいて、日常生活で触れる見える化の事例を紹介し、「見えない化」、「見えない化の戦略」などにも触れています。
第2章では、「見える化はなぜ必要なの?」
として、逆転の発想ではないが、逆の見えない化のもつ7つの弱点(探す~管理サイクルが回らないなど)を整理した上で、その弱点を克服するのが「見える化」と展開しています。さらに見える化は短所を克服するというよりは長所を伸ばすものと述べています。
第3章では、「見える化の条件」
として、見える化は単に見えるだけでなく「わかる」ための条件として、『すぐにわかる』などの8つの条件に整理し、その各条件について解説しています。
第4章では、「こうすれば見える化ができる」
として、「見える化」をうまく導入していくためには、ステップ1の「見える化したいことは何かを明らかにする」から始まり、ステップ8の「日々の改善」に至る8つのステップを確実に踏んで進めていくことが必要であると述べ、各ステップをどのように進めるべきかを事例を挙げながら順に解説しています。
第5章では、「日常でできる見える化」
として、日常生活の中に密着した見える化の事例に関して、工場の現場に活かせるヒントにして欲しいと述べ、「安全の見える化」から「忘れ防止の見える化」などの12の区分のもと25事例について写真入りのパネルに図化して解説しています。
第6章では、「製造現場でできる見える化」
として、製造現場での見える化の事例に関して「安全の見える化」から「楽しい見える化」などの12の区分について、51事例について前章と同様の写真入りのパネルに図化して解説しています。
第7章では、「見える化実践のためのノウハウ」
として、『ねらいを明確にする』から『改善し続ける』までの見える化実践7訓をはじめ、見える化に活用すると有効なイレクターなどのツールの紹介、見える化の実践において失敗しがちなポイントの頭文字を取り、FOCUSとした5つのツボ、見える化のポイントを「いろはかるた」で取り上げた取組など見える化を現場で実践するためのノウハウについて解説しています。
第8章では、「見える化は進化する」
として、見える化はあくまで目的でなく手段であることを前提に、見える化を基幹としたPDCA、改善活動、さらには、見える化の考え方をベースとした見える化の発展型事例について解説しています。見る化→見える化→見せる化→魅せる化など、現場の進化と改善は、永遠として積極的な知恵を使った改善でお客様に感動を与えようと結んでいます。
本書は、見える化をキーワードに職場を効率的にムダなく楽にして働きやすくするカイゼンへの取り組み方や考え方、効率の上がる方法やそのためのノウハウなどをわかりやすく解説しています。
現場改善について、楽しく推進しながらしっかりと成果をあげていきたいたいと考えておられる関係者は、読んでおきたい一冊です。
なお本書の概要目次は、以下の内容です。
第1章 見える化って何?
第2章 見える化はなぜ必要なの?
第3章 見える化の条件
第4章 こうすれば見える化ができる
第5章 日常でできる見える化
第6章 製造現場でできる見える化
第7章 見える化実践のためのノウハウ
第8章 見える化は進化する
(広告)
- 2008年04月01日
- 見える化、改善、ムダ取り、ポカヨケ
- コメント(0)