消費者保護に関わる国際規格として以下の3つのISO 9000ファミリー規格がすでに発行されています。
- ISO 10001:2007 「Quality management−Customer satisfaction−Guidelines for codes of conduct for organaization:品質マネジメント-顧客満足−組織の行動規範に関する指針」
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ISO 10002:2004 「Quality management−Customer satisfaction−Guidelines for compliants for handring in organaizations:品質マネジメント−顧客満足-組織に於ける苦情対応のための指針」(対応JIS規格は、JIS Q 10002:2005)
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- ISO 10003:2007 「Quality management −Customer satisfaction −Guidelines for dispute resolution external to organaizations:品質マネジメント−顧客満足−組織の外部紛争解決システムに関する指針」
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これらの規格の相互の関連は、ISO 10001:2007 規格が顧客満足に関わる組織の行動規範を公表し、顧客に対してそれを約束するという主旨の主体的な消費者保護の行動規範のガイドラインを示すもの。
またISO 10002:2004 規格が顧客の苦情に対して、それを解消できるように苦情を受付て有効な苦情対応プロセスを構築する仕組みと運用についてのガイドラインを示すもの。
さらにISO 10003:2007 規格は、組織に申し出た苦情が解消されずに問題化した場合を想定して、組織外での紛争が解決できる仕組みを構築し、運用するためのガイドラインを示すものといった関係になっています。
なおISO 10001:2007 ならびにISO 10003:2007 の発行が2007年11月20日ということで現時点(2008-04-02)では、この両者の規格については、まだJIS化されていないように思います。
本日は、苦情対応マネジメントシステムの国際規格のISO10002の規格について、規格のねらいとする点から規格の概要などをわかりやすく解説するとともにマネジメントシステムの上手な構築・運用をどのように進めれば良いか等について解説している本を紹介します。
本書では、ISO 10002 に準拠した苦情対応マネジメントシステムの具体的な構築の手順を、7つのステップにて解説しています。また既にこの苦情対応マネジメントシステムを運用している国内外の先進的な事例についても紹介しています。
本書:「ISO10002/JIS Q10002:2005 苦情対応マネジメントシステムの上手な構築と運用」です。
本書は、著者:下島 和彦氏、清水口 咲子氏、河野 幸子氏の共著にて、2008年3月に日刊工業新聞社より発行されています。
ISO 10002規格の活用の効果面について「まえがき」で筆者は、以下のように述べています。
「ISO 10002は、発行から数年が経過し、本格的な普及期に入りつつある。しかし残念なことに消費者を裏切るような不祥事は、相変わらず発生している。こうした背景には、消費者の苦情を軽視してきた組織の体質の問題があるといえるだろう。消費者の目が厳しいいまこそ、この規格に取り組むことの重要性が増してきている。コンプライアンスの推進から顧客満足の向上まで、組織がISO 10002に取り組む動機はさまざまであるが、顧客の声を経営に取り込むためには、ISO 10002は非常に有効である。」
本書は、4章から構成されています。内容は、多数のイラストなどの図表を用いて分かり易い解説となっています。
各章の概要を大まかに紹介します。
第1章では、「苦情対応マネジメントシステム ISO 10002とは」
として、ISO 10001、ISO 10002、ISO 10003の消費者保護に関わる国際規格が制定された経緯を概観し、とくにISO 10002の概要について解説しています。すなわち、国際規格として制定に至った背景とISO 10002:2004(JIS Q 10002:2005)規格の要求事項についてとくにPDCAの全体像について解説しています。
第2章では、「ISO 10002構築の手順」
として、ある程度の水準の苦情対応が日常的に実施されている組織を対象として、ISO 10002の指針をどのように活用して苦情対応のマネジメントシステムを構築するかの具体的な手順を解説しています。とくにISO 10002に準拠して、「ステップ1:体制を整備する」から「ステップ7:自己適合宣言を行う」までの7ステップにて苦情対応マネジメントシステムを構築していく手順について、各ステップにおいて必要となる幾つかの重要ポイントを具体的な例を示しながら順を追って系統的に解説しています。具体的に記載されており、この通りに実践していけば、苦情対応マネジメントシステムとして有効に機能することが見込める実務的な内容となっています。
第3章では、「ISO 10002実践のポイント」
として、一般的に不慣れで取り付きにくいと思われる箇所やISO 10002に特徴的な考え方の箇所と判断される「監視(モニタリング)と満足度調査」、「自己適合宣言の方法」、「内部監査の方法」、「顧客とのコミュニケーション」の4つの取り上げ、規格が意図している目的、要素、具体的な進め方、さらには、実施上の留意点などを解説しています。
第4章では、「ISO 10002導入の事例」
として、苦情対応のマネジメントシステムに取り組むタイプとして、ISO 9001の運用の発展型としてISO 10002を付加していくタイプと、もう一つは、お客様相談室などの組織の仕組みを核にISO 10002との適合を図るタイプと述べて、それぞれの仕組み構築のポイントを再確認した上で、先進的なISO 10002の導入の事例として、国内1社と1会、海外(オーストラリアの)1社と1局の事例について、取組の背景から、システム構築の取組内容を解説しています。
本書は、顧客からの苦情を経営課題としてとらえ、組織全体で解決していくための苦情対応マネジメントシステムの指針であるISO 10002について、どのようなステップで組織に導入し、どのように活用するかについての詳細な手順やポイントなどを分かり易く解説してあり、顧客満足の向上及び苦情対応のマネジメントシステムの必要性を感じておられる組織の関係者には、読んでおきたい一冊です。

なお本書の概要目次は、以下の内容です。
第1章 苦情対応マネジメントシステム ISO 10002とは
1.1 苦情対応の国際規格化づくり
1.2 ISO 10002が要求すること
第2章 ISO 10002構築の手順
2.1 ISOに準拠したシステムづくり
2.2 ISO 10002に準拠した構築の手順−7つのステップ
第3章 ISO 10002実践のポイント
3.1 監視(モニタリング)と満足度調査
3.2 自己適合宣言の方法
3.3 内部監査の方法
3.4 顧客とのコミュニケーション
第4章 ISO 10002導入の事例
4.1 苦情対応マネジメントシステムに取り組む2つのタイプ
4.2 国内における先進企業の事例
4.3 先進国(オーストラリア)の事例
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