Excelの基本的な機能である「グラフ」、「関数」と「分析ツール」を有効に活用して、統計解析の基本的な考え方および解析手順などについて、具体的な事例の図解で分かり易く解説している本を紹介します。
『分布』、『検定と推定』、『分散分析』、『相関と回帰』、『重回帰分析』などの統計解析の考え方と解析手順について5人のキャラクターの”かいせきファミリー”が遭遇する日常生活のいろいろな場面を取り上げながら解説しています。
3色刷(赤・青・黒)の図解で分かり易くExcelを用いての統計解析のための基本的な操作方法を解説しています。
Windows VistaでExcel 2007の画面を基本に解説しています。ただツールバーなどは、Windows 2000・XPと異なりますが、操作に関する関数や分析ツールどは、Excel 2000~2003とほとんど変わりません。とくに操作方法の異なるバージョンについては「参考」の項に掲載しています。本書は、OSとExcelのバージョンの対応は、Windows 2000・XP・Vista対応、Excel 2000~2003・2007対応となります。
本書:「Excelでここまでできる統計解析」です。
「パレート図から重回帰分析まで」との副題が付いています。
本書は、著者:今里 健一郎 先生ならびに 森田 浩 先生の共著にて、2007年9月に日本規格協会より発行されています。
Excelの操作について、操作手順に従って対応する画面がキャプチャーされて掲載され、番号入りの吹き出しを付けて、そのポイントを解説するという構成になっています。また5人のキャラクターの”かいせきファミリー”(ミュー爺さん、アルファ父さん、ベータ母さん、シグマ君、イプシロンちゃん)が遭遇する日常的な場面がイラストで描かれそこで提供されている話題を通して統計解析の考え方や解析手順が解説されるという親しみやすい構成となっています。
本書は、目で見てわかる解説書として、実際にコンピュータを実際に操作しながら統計解析の基本的な考え方および解析手順などが学べるようになっています。またExcelによる解析手順の解説に加え、幾つかの関連する例題が掲載されており、理解を深められるように配慮されています。
本書は、6章から構成されています。またExcel 2000~2003に関する操作手順を解説した20の「参考」が、また各章の終わりには、佐野 智子 氏による「ほっとひと息」が挿入されています。
第1章では、「データのまとめ方と分布」
として、分布に対する考え方の理解を意図して、ヒストグラムから正規分布について解説しています。最初に母集団を推測する統計解析として、統計解析の方法を概観し、「特性要因図」→『主成分分析・偏相関分析などの多変量解析』、「データ表」→『多元配置型分散分析、直交配列表などの実験計画法』、「ヒストグラム」→『一対比較法などのノンパラメトリック法』などの概要の流れが解説され、Excelで統計解析を行うときの基本的な操作方法について、グラフ機能の活用として『パレート図の作成』についての手順を解説しています。また簡単に検定、分散分析や相関・回帰分析などがデータや条件の入力から比較的簡単に実施できる『分析ツール』についてインストールから解析実行の手順を解説した上で、ヒストグラムから正規分布についての考え方から作成・解析手順などを解説しています。
第2章では、「計量値の検定と推定」
として、サンプルデータから母集団を探る統計的推測の検定と推定についての概要の解説からはじまり、母分散が分かっているときの母平均の検定と推定の解析手順について、Excel 関数機能による手順の解説を交えて解説しています。またt検定による母集団の推測方法、さらに二つの母平均の差の検定と推定についてExcel「分析ツール」による解析手順を解説しています。この第2章から第4章までで、スーパーマーケットで買ってきたMサイズのみかんとSサイズのみかんにはどのような違いがあるかを確かめる統計的手法の理解が目標となっています。
第3章では、「計数値の検定と推定」
として、数えて得られる離散した値の計数値についての検定と推定について解説しています。母不良率の検定と推定、母不良率の差の検定と推定、分割表による検定、連合度の検定についてのExcelを活用しての検定と推定の手順を解説しています。
第4章では、「分散分析」
として、分散分析の概念と平方和の分解の解説にはじまり、トランジスタの耐電圧のメーカー間比較などの例で分散分析の解析手順を解説しています。次いで分散分析について、「一元配置法」「二元配置法」などの分散分析の種類について解説し、Excel「分析ツール」による分散分析の解析手順を解説しています。
第5章では、「相関と回帰」
として、二つの変数の関係をみる相関と回帰について概説した上で、Excelによる散布図及び相関係数等のExcel関数と分析ツールによる解析手順を解説しています。さらに特性値を予測する単回帰分析の手順を解説しています。
第6章では、「重回帰分析」
として、二つ以上の説明変数の場合、一つの説明変数でも多項式モデルによる回帰を行う場合に用いられる重回帰分析について安打数、本塁打数、三振数、犠打打数を説明変数に打点数を目的変数とした事例の線形結合の重回帰モデルの例を用いて解説しています。 回帰式の推定、回帰関係の有意性検討、回帰係数の有意性検討、寄与率と自由度調整済寄与率、点予測、Excel「分析ツール」による重回帰分析の解析手順といった構成でExcelを用いての解析手順について詳細に解説しています。
パソコンを使いながらということで本書のExcelのキャプチャー画像等もB5サイズで見やすく3色刷でメリハリの付いた解説と共に非常に明快で分かり易い解説となっています。
ISO 9001活動の8.2項の「監視・測定」のデータを主体とした8.4項の「データの分析」などへの活用から、各種の改善活動、企画書や報告書やプレゼン資料への解析データの織り込み、QCサークル大会でのプレゼンデータへの統計的手法の活用など本書で解説している統計解析の手法は、幅広く活用できます。
統計解析専門のソフト、Excelに特殊なプログラムやマクロをアドオンして使う統計解析の方法もありますが、そのような統計解析ツールを用いなくともExcelの備えている「グラフ」、「関数」と「分析ツール」を活用する範疇で各種のデータ解析が可能です。
本書は、利用者の目的とスキルに合わせて統計解析の入門者から、統計解析がある程度わかっている読者まで対象にその活用方法が考慮されて構成されており、Excelの更なる活用を考えておられるビジネスパースンには、お薦めの一冊です。
なお本書の目次は、以下の内容です。
第1章 データのまとめ方と分布
1.1 母集団を推測する統計解析
1.2 Excelで統計解析を行うときの基本的な操作方法
1.3 母集団を推測するデータのまとめ方
1.4 分布の状態を視覚的にみるヒストグラム
1.5 母集団の分布状態を表す正規分布
第2章 計量値の検定と推定
2.1 サンプルデータから母集団を推測
2.2 母分散が分かっているときの母平均の検定と推定
2.3 t検定による母集団の推測方法
2.4 二つの母平均の差の検定と推定
第3章 計数値の検定と推定
3.1 計数値の検定と推定の概要
3.2 母不良率の検定と推定
3.3 母不良率の差の検定と推定
3.4 分割表による検定
3.5 連合度の検定
第4章 分散分析
4.1 分散分析とは
4.2 分散分析の解析手順
4.3 分散分析の種類
4.4 Excel「分析ツール」による分散分析の解析手順
第5章 相関と回帰
5.1 二つの変数の関係をみる相関と回帰
5.2 二つの変数の関係を視覚的にみる散布図
5.3 二つの変数の関数を表す相関係数
5.4 特性値を予測する単回帰分析
第6章 重回帰分析
6.1 重回帰分析の解析手順
6.2 回帰式の推定
6.3 回帰関係の有意性検討
6.4 回帰係数の有意性検討
6.5 寄与率と自由度調整済寄与率
6.6 点予測
6.7 Excel「分析ツール」による重回帰分析の解析手順
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