昨今の原油高等に伴う原材料費、エネルギー費、物流費等の高騰といった流れの中で、とくに製造業においての原価低減の活動は、ますます重要な経営活動となっています。


製造現場での原価低減の活動は、次元の異なる要素である消費者のニーズの多様化、グローバル化の進展、情報技術(IT)の進展、地球環境問題への対応などの変化する経営環境に適応できるための各種の革新を取り込みながらの活動となります。


一次方程式を解くように解が読めるというものでなく、非連続も含むかも知れない多次元方程式のように非常に複雑な要素(二律背反以上の多律背反というべきもの)について最適化を図ることが必要となっています。


このような背景のなかで原価低減を実現していく一つの方法論としては、従来から確立されてきた原価低減の基本手法を自組織にマッチした形で見直し、確実に現場に適用し、微分的であるかも知れないが達成できる策を着実に実施していき成果を積み上げていくという方法があります。


本日は、従来から確立されてきたオーソドックスな原価低減手法を実務的に目的別に解説している本を紹介します。


成果が得られるように大幅で抜本的な原価低減をするためにはどうすればよいのかを分かり易く解説しています。


その点から特に、個別的改善の実例よりも、全社的・全工場的に取り組むことを前提にし、その進め方ならびに各種技法や事例に重点を置いて解説しています。


また今後の企業のあり方、並びに経営活動等について、原価低減を通した視点からの展望も示唆しています。 


本書:「原価低減」です。


本書は、名古屋QS研究会の編集にて、2003年9月に 日本規格協会より発行されています。


同社の『実践 現場の管理と改善講座』の11巻になります。


本書は、10章から構成されています。


本文中には、イラストをはじめ多数の図表が挿入されており、分かり易い構成となっています。


また『ひとくちメモ』が挿入されていて、本文のキーワード(例えば、『ライフサイクル』等の)に関する解説があります。


また各種手法・技法に関係するフォーマットの例やその活用事例など多くの実務的な資料が添付されています。


1.では、「原価の仕組み
として、原価の意義から原価管理の確認にはじまり、原価引下げの狙いが利益増大とし、そのための原価管理の意味と低減の位置づけ、許容原価の考え方の適用の有効性などを解説しています。原価管理(コスト・マネジメント)について、「原価管理とは、利益管理の一環として、企業の安定的発展に必要な原価の引き下げ目標を明らかにすると共に、その実施のための方策を設定し、これの実現を図る管理活動」との定義にまつわる考え方などを解説しています。


2.では、「原価の構成要素
として、原価の構成要素を原価分析表に基づき原価費目毎に費用の内容等を解説し、次いで損益分岐点図の見方や作成手順、原価利益の算出などを解説し、ライフサイクルコストの考え方を解説し、その重要性を強調しています。


3.から5.までがコストダウンの活動について管理のサイクル(準備−実践−評価−修正−準備−実践…)というサイクルに基づく活動の『3.準備段階』、『4.実施段階』、『5.定着化、継続』といった区分で解説しています。


3.では、「準備段階ですること
として、
運営方針にまつわる考え方(トップダウンか、ボトムアップか/全員参加か、選抜チームか/ライン単独か、スタッフ込みか/日常業務か、「活動」か/個別テーマか、全般か)推進組織体制の組織(通常組織(職制)/独立組織/横滑り型組織/小集団(サークル)方式/プロジェクトチーム、タスクフォース/モデル職場方式)
現状把握と現状分析の手法(現場検索/グループディスカッション/原価計算と原価差異分析/ABC分析/指標比較分析/QC的解析/IE分析/MAP法)について解説しています。さらに目標の設定ににおいて特に留意すべき事項等について解説しています。


4.では、「実施段階ですること
として、原価低減の改善案について当面の対策として実施するか抜本的な対策として実地するかに始まり、グループディスカションなどのアイデアの出し方について、MAP法、QCストーリー、TPM(なぜなぜ分析)などにフォーマットの例など交えてついて解説しています。、さらに評価の位置づけから各段階での評価方法についてのポイント等を解説しています。


5 では、「改善活動の定着化、継続
として、コストダウンの活動を定着化させ継続させる仕組みや制度について例を挙げて解説しています。


6章以降については、各種技法を使っての原価低減の実例について解説するという構成になっています。


6.では、「製造原価の低減
として、ここでは原価低減の技法として、グループディスカッション/ IE(Industrial Engineering)/T-PM(Total Productivity Management)/JIT(Just in Time)/TPM(Total Productive Maintenace)/VA/VE(Value Analysis/Value Engineerig)/MAP法(宝探しの地図から由来した省エネに効力を発揮した原価低減手法)/TQMといった各技法について考え方からどのように実施するかについてその進め方のステップや手順等について、その活用事例を交えて解説しています。


7.では、「物流費の低減
として、物流費の改善の意義から、事業全体からの物流課題の位置づけ、工程内物流改善の考え方や物流改善手法、ロジスティクス検討への流れ、コスト低減の阻害要因と対策、さらに生産・販売リードタイムの減少対策といった観点から解説しています。


8.では、「購買部門での原価低減
として、購買業務の中味の分析に始まり、機能面、購買部門におけるコストダウン活動、さらにABC管理、MRP(Material Requirement Planning)について考え方から実例を交えてその技法を解説しています。


9.では、「これからの原価低減
として、多様化に伴う多品種化の増大、環境保護対策、グローバル化、物流関連コストの増大、情報技術の導入に関係した経営環境の変化に対応しながら原価低減手法との関係を展望しています。


10.では、「資料
として、原価低減の本書で解説した各種技法をまとめると共に、用語集にて本書で用いられたキーワードについて用語解説をしています。


過去から製造現場に適用され、成果を挙げてきた代表的なコストダウンのための手法・技法を取り上げその適用事例を交えて分かり易く解説しています。


製造現場において、ますますその重要度が高まっているコストダウンについて自社の現状を分析しながら有効と判断される手法については、実践していくのに参考となる基本的な手法・技法が目的視点でまとめられて解説されており、本書から実務的なヒントが多数得られることと思います。


原価低減 (実践 現場の管理と改善講座)
日本規格協会
名古屋QS研究会(編集)
発売日:2003-09
発送時期:通常24時間以内に発送
ランキング:288860

なお本書の概要目次は、以下の内容です。
1. 原価の仕組み
1.1 原価の意義と原価管理
1.2 原価引下げの狙いと許容原価
1.3 原価管理の意味と原価低減
1.4 許容原価による原価管理
2. 原価の構成要素
2.1 原価の構成要素と最近の動向
2.2 利益計画のための損益分岐点図
2.3 ライフサイクルコストの考え方
3. 準備段階ですること
3.1 運営方針-いろいろなやり方
3.2 推進組織体制
3.3 現状把握と現状分析
3.4 目標の設定
4. 実施段階ですること
4.1 改善案の出し方、集め方
4.2 改善アイデアと実績の評価
5 改善活動の定着化、継続 
6. 製造原価の低減
6.1 グループディスカッション(全員の知恵で人件費20%削減)
6.2 IE
6.3 T-PM(可動率アップで在庫を半減、倉庫増設を不要に)
6.4 JIT
6.5 TPM
6.6 VA/VE
6.7 MAP(マップ)法(MAP法で省エネ40%達成)
6.8 TQM
7. 物流費の低減
7.1 物流及び物流改善の意義
7.2 事業全体としての物流課題
7.3 工程内物流改善の考え方
7.4 物流改善の手法
7.5 物流検討からロジスティクス検討へ
7.6 コスト低減の阻害要因と対策
7.7 生産・販売リードタイムの減少対策
8. 購買部門での原価低減
8.1 購買業務の内容
8.2 資材購買管理の機能
8.3 購買部門でのコストダウン
8.4 ABC管理
8.5 MRP(Material Requirement Planning)
9. これからの原価低減
9.1 多品種化生産対応
9.2 環境保護対策
9.3 グローバル化への対応
9.4 物流関連コストの低減
9.5 情報技術の導入
10. 資料
10.1各種技法
10.2用語解説




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