いよいよ来週(7日から9日まで)、北海道洞爺湖サミット(G8主要国首脳会議)が開催されます。


国際的に待ったなしの幾つかの課題が山積しています。


国際社会が早急に取り組まなければならない主要な課題としてこの会議に向けて準備されてきた課題の一つが、地球温暖化対策になります。


地球温暖化対策のための温室効果ガスのCO2削減に関して、CO2は、石油や天然ガスなどの化石燃料の燃焼に伴って発生するので、エネルギーの消費を抑制することが必要になりますが、エネルギーを使わないとモノづくりやサービス提供が困難になり経済活動を阻害し、経済成長と両立しなくなってしまいます。


勿論、クリーンエネルギーの開発や省エネルギー技術等の対策技術も開発されてきていますが、このようなジレンマ、トリレンマといった背景の中でなかなか抜本的で決定的な温室効果ガスの抑制策が打ち出せていない状況にあります。


このような状況下で、「排出量取引」が注目されています。


本日は、この「排出量取引」について、「排出量取引は、何か」から、導入に向けた課題まで幅広い情報を提供し、体系的に排出量取引について解説している本を紹介します。


本書では、「排出量取引」の基本を最新の情報を盛り込みわかりやすく解説しています。

取引の仕組みからそれにかかる費用まで、制度導入に必要な知識をすべて網羅的に解説しています。


日本でのセクター別の目標・取り組み、欧米の制度や先進事例についても詳解しています。


本書:「排出量取引入門」です。


本書は、三菱総合研究所の編集(執筆は、西村 邦幸 氏、伊藤 一道 氏、山口 健一郎 氏、 小林 伸之 氏、橋本 賢 氏、真野 秀太 氏、佐藤 景子 氏)にて、2008年7月に日本経済新聞出版社より発行されています。新書のシリーズの日経文庫(日経文庫 A 63)の一冊になります。


本書の帯には、以下のように書かれてあります。


地球温暖化対策の

切り札!

2008年秋より国内で試行

排出権取引の仕組みから導入へ向けた課題まで、
国内外の最新の情報を盛り込み体系的に解説。


本書は、6つの章から構成されています。


本文中に各種のデータ図表などが多数挿入されていて分かり易い解説になっています。


本書の概要を紹介します。(なお章の番号は、ギリシャ文字で記載されていますが、本書では、英数字で表現しています。)


第1章では、「地球温暖化規制と将来の見通し
として、以下のようなある国のCO2排出量の算出モデル式を基にCO2削減の考え方を解説し、京都議定書の位置づけを総括し、京都議定書の第1次約束期間の2012年の終了する後の2013年以降の世界の温室効果ガス対策の現状について解説しています。


CO2=(GDP)×(エネルギー/GDP)×(CO2/エネルギー)


第2章では、「排出量取引とは何か
として、排出量取引の歴史を紐解き紹介した上で、排出量取引の基本的な仕組みについて解説しています。とくに排出量取引制度の基本的な仕組みとなる「目標設定」と「取引」について詳解し、排出権の価値について解説し、続いて、排出権取引の制度設計の考え方、欧州排出量取引制度(EU-ETS)、米国の動向、国際炭素パートナーシップ(ICAP)などを解説しています。さらに我が国、排出量取引制度の検討状況にも言及しています。


第3章では、「排出量取引の実際
として、排出権の管理の仕組み、さらに排出量の取引と市場の仕組み、相対取引と取引所取引の概要を解説しています。そして、2005年に導入されたEU排出量取引制度の市場の構造、相対取引と取引所取引の具体的な進め方について解説しています。また京都議定書に基づく排出権で現在流通しているクリーン開発メカニズム(CDM)により発行される排出権のCER(Certified Emission Reductions)市場について、その市場構造と今後の展開について展望しています。さらに排出量取引について、相対取引を行う場合を想定して、購入・管理に必要な業務について概説しています。


第4章では、「国連が発行する排出権−CDM
として、2006年のワールドカップ・ドイツ大会で用いられた国連が発行した排出権を取得する仕組みの「クリーン開発メカニズム(CDM:Clean Development Mechanism)の実態について、どのようなものか、更には、我が国では、このCDMを頼りにしているとの現状などを解説しています。途上国で排出削減プロジェクトを提案して排出量を取得するCDMの手続きの流れから、プロジェクトの例、価格とリスク、さらに排出権を市場で購入・販売するといった活動に関する課題と展望を述べています。


第5章では、「わが国における温暖化規制
として、京都議定書の達成計画に関する我が国の温暖化対策の概要(京都議定書目標達成計画、暫定公表制度、省エネルギー制度、新エネルギー制度など)から排出量取引制度に関する現状と温暖化規制の今後の動向を解説しています。


第6章では、「日本企業に求められる対応
として、京都議定書の企業へのメッセージ(「エネルギーの使用を減らせ、なるべく使うな」)について確認した上で、日本企業の戦略と業種別目標の引き上げなどの現状を振り返り、排出量取引制度との関わり(すなわち、日本企業に与えるインパクト)を推測し、CO2削減ビジネスとその展望を述べています。また温暖化問題への対応について、単にCSRと考えている企業が多いとし、京都議定書がもたらす低炭素社会は社会全体に大きな変革をもたらすものでその影響は著しく多いと述べ、温暖化問題は、経営上の根幹としてビルトインし、戦略的な対応が求められるとし、以下のような観点の展望のもと低炭素社会で勝つためにどのように行動すべきかといった展望を述べています。

  1. CO2の排出は、コストであり、企業のコスト構造を変える。
  2. CO2の削減方法は、サプライチェーンで考える。
  3. 低炭素社会はマーケット拡大のチャンスである。

本書は、排出量取引を含む低炭素社会に向けた制度が及ぼす社会への広範な影響について分かり易く解説しています。


排出権制度が導入される場合への備えとして、制度の本質をしっかりと理解し、低炭素社会に向けて、個人としても企業としても何が必要かを考えるための基本的な情報がほぼ網羅されています。


特に地球温暖化対策、排出権ビジネスなどに関心があるビジネスパースンには、読んで頂きたい一冊です。


排出量取引入門 (日経文庫 A 63) (日経文庫 A 63)
日本経済新聞出版社
三菱総合研究所(編集)
発売日:2008-07-02
発送時期:通常24時間以内に発送
ランキング:16791

なお本書の概要目次は、以下の内容です。
第1章 地球温暖化規制と将来の見通し
第2章 排出量取引とは何か
第3章 排出量取引の実際
第4章 国連が発行する排出権−CDM
第5章 わが国における温暖化規制
第6章 日本企業に求められる対応






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