SQC(Statitical Quality Control:統計的品質管理)は、統計的手法を活用して、品質や工程の改善を行うことを主体とした品質管理手法です。


例えば、「抜取検査法」、「実験計画法」、「推定法」、「検定法」、「分散分析」、「相関分析」、「回帰分析」などが代表的な統計的手法です。


本日は、このSQC(統計的品質管理)技法をまとめ、企業現場で活用頻度が高いものに重点を起き、仕事の流れとSQC技法活用の場を関連づけて解説している本を紹介します


商品の開発段階から顧客における使用段階まで、活用事例を交えながら自分の仕事へ応用できるように演習問題が多数用意されていてこれを解きながら理解度が深まるように工夫され、実務的な内容となっています。


本書:「実務に本当に役立つSQC教本」です。


統計的品質管理」との副題が付いています。


本書は、著者:竹内 義明 氏にて、2008年6月に日刊工業新聞社より発行されています。


本書の「まえがき」で本書を作成する上で企業内の実務を担う技術者が理解しやすく、活用も、し易いように特に以下の3点を配慮されたとのこと。


  1. 家電品などの量産品の開発・生産に従事する若手技術者達が、統計的手法を理解し、応用できるまでの手助けとなる内容を指向した。
  2. ”統計的手法”を品質確保へ活用することを想定し、、商品を生み出す仕事の流れの紹介と品質管理活動と関連づけた内容とした。
  3. また、サンプル数nを、危険率や信頼度、推定精度(推定値の幅)の関数と捉えて、Excel関数によるパソコン計算を行い、リスク条件を認識してSimulationできるようにした。

本書は、SQCの解説のための1から14までの章と演習問題のための『統計的手法演習例解』とから構成されています。


71問のQとそれに対するAとしての、『・手順、・数値計算例』などをまとめた『統計的手法演習例解』が本書の約半分を占める構成で演習を通して理解度が確認できるように工夫された構成となっています。

また巻末には、計算に活用するための分布表などの数表が整備されています。Excelによるアウトプットだけで終わらないように手計算との整合性を確認できるようにするためです。


本書のざっとした構成は、以下の通りです。


1.では、「企業活動と品質管理」
として、品質管理の企業活動のツールとしての位置づけ等を述べ、品質管理をするための基本的事項を確認しています。


2.では、「統計的手法活用の基本事項」
として、品質管理において活用される主要な統計的手法を概観し、その基本的事項を確認しています。


3.では、「商品化までの流れの概要と品質確保のポイント」
として、新製品の開発から量産開始までの基本的な流れを概観し、開発~製造~販売~サービスの流れとそこにおける各関連部門の活動についてまとめ、品質管理部門から見た留意すべき点などを解説しています。


4.では、「品質管理の留意点と統計的手法活用の背景」
として、家庭用電気用品の量産工場を想定して、開発・製造・販売・サービスの流れと、品質管理における留意点と統計的手法活用の背景について、開発・設計部門をはじめとした各部門における統計的品質管理の活用の意味・必要性などをまとめて解説しています。


5.では、「統計的手法活用の具体的事例と注意事項」
として、開発部門、品質管理部門に焦点を絞り統計的手法活用についての具体的な業務の事例や注意事項などを取り上げ解説しています。


6.では「データの統計的処理」
として、データ処理のための統計的処理の母集団分布、中心値、バラツキなど基礎事項、平均値や標準偏差などの計算結果の桁数の取り方、数値の丸め方等について解説しています。


7.では、「確率分布」
として、計数値、計量値にはじまり、計数値の分布(離散分布)、計量値の分布(連続分布)、データ処置に活用される基本的な統計量といった内容について解説しています。


8.では、「検定と推定の基礎数理」
として、開発・生産現場での活用の観点について解説しています。検定と推定について、その考え方から、仮説の検定、さらには不良率の差に対する検定と推定について、その基本的な数理手法を解説しています。


9.では、「2変数データ分析の基礎数理」
として、開発・生産現場での活用の観点について解説しています。2変数データ分析を行うための散布図、単相関分析、単回帰分析についての散布図の作成の基本的な手順から、見方、相関係数の計算、回帰式の検定・推定等についてその基本的な数理手法を解説しています。


10.では、「分散分析の基礎数理」
として、分散分析について解説しています。検定の考え方と基礎数理にはじまり、1元配置法(繰替し数が異なる場合)、2元配置法(繰返しがある場合)、2元配置法(繰返しがない場合)のケースについて解説しています。


11.では、「管理図の活用」
として、管理図の特徴、種類、管理図(X<エックスバー>−R管理図、P管理図)の作成、工程能力指数などを解説しています。


12.では、「抜取検査の基礎数理」
として、検査特性曲線(OC曲線)、抜取検査方式(JIS Z 9002の係数基準型一回抜取検査表が巻末に添付されています。)、抜取検査の型の分類(基準型抜取検査、調整型抜取検査、選別型抜取検査、連続生産型抜取検査)、計数型抜取検査の基礎数理及び計量型抜取検査の基礎数理のポイントを解説しています。


13.では、「バラツキに関する考察」
として、バラツキが発生してくる要因を材料、設備・治工具、~測定・計測器・自動制御機器などの面から例示し、鉄材丸棒から回転軸を旋盤で切削加工する場合を想定し、どのような形で外形仕上がり寸法に「バラツキ」が生じるかを前記の要因との関係で考察しています。


14.では、「サンプル数と推定精度」
として、統計処理の活用の前提となるサンプル数nと推定の信頼度、さらには推定精度に関わる推定値の幅との関係について解説しています。なぜサンプル数の大きさが重要か、またサンプル数の大きさに対する考察(母集団の大きさNとサンプル数nとの関係、母集団、母平均の区間推定などとの関係の解説)、母平均・母分散の計算による確認と検証、相関係数の区間推定とサンプル数の関係等について解説しています。


また先に紹介した「統計的手法演習例解」では、「Q1:平均値X(エックスバー)の求め方(直接計算)」から「Q71:σ未知、信頼度95%→母平均推定精度とサンプル数」までの詳細な例題の解説があります。


本書は、SQC(統計的品質管理)手法の基礎から企業現場において活用頻度が高いと考えられるものに重点を置いて、商品化の流れと関係づけ、活用事例を交えながら解説しているSQCの教科書というべき内容の本です。


またこの種の本では、演習問題だけあってその解答が掲載されていないといった本もありますが、本書では、Q&Aのすべてが対比して詳細に解説されていて、充実した演習問題を解きながら理解度が確認できるように配慮されています。


本書は、各種の統計的手法に関わる部門にあってSQC(統計的品質管理)の基礎から実務への活用までしっかりと技法の習得を図りたいと考えているビジネスパースンには、お薦めです。


実務に本当に役立つSQC教本―統計的品質管理
日刊工業新聞社
発売日:2008-06
発送時期:通常24時間以内に発送
ランキング:254518

なお本書の目次は、以下の内容です。
1.企業活動と品質管理
2.統計的手法活用の基本事項
3.商品化までの流れの概要と品質確保のポイント
4.品質管理の留意点と統計的手法活用の背景
5.統計的手法活用の具体的事例と注意事項
6.データの統計的処理
7.確率分布
8.検定と推定の基礎数理
9.2変数データ分析の基礎数理
10.分散分析の基礎数理
11.管理図の活用
12.抜取検査の基礎数理
13.バラツキに関する考察
14.サンプル数と推定精度
統計的演習例解(Q1~Q71)
付表(1~11)





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