食品工場において、食品の品質管理は、消費者の安全安心への意識の高まりと共に、食品企業の経営の根幹にも関わる重要な問題となってきています


食品工場の品質管理について確実にマネジメントできるためには、その一端を挙げると工場のインフラ整備から一般的衛生管理、各種ハザードに関するリスク対応管理といったものから、工場の新製品の開発段階、原材料の受入、保管、加工工程、包装、出荷さらには出荷後のリスク管理までの微生物・化学・物理・エンジニアリング・品質管理技法などに関わる基礎的な知識や経験が必要になります。どれが欠落しても問題が生じる懸念が発生します。(組織的に対応が困難なものは、外部専門家の力を借りることもあります。)


本日は、この食品工場の品質管理の実務について、分かり易く解説している解説書を紹介します


多数の食品工場のコンサルタントを担当している品質管理のプロ、保健所の担当者、トレーサビリティの専門家が執筆者となっています。


本書は、大学で食品について学んでいる学生のための食品工場の品質管理についての教科書を意図して作成されたものとのことです。


本書:「実践!!食品工場の品質管理」です。


本書は、矢野 俊博 先生の編纂ならびに執筆:矢野俊博先生、新蔵 登喜男氏、高澤 秀行氏、早見 彰人氏、松田 友義氏、角 弓子氏、杉下 吉一氏にて、2008年7月に幸書房 より発行されています。


本書は、9章から構成されています。全体的にイラスト、写真、概念図、管理帳票サンプルを含めた多数の図表が挿入されていて、実務的に分かり易い構成となっています。また例外もありますが大体は、章毎に、「はじめに」と「おわりに」があります。


第1章では、「食品の品質管理の仕事とは
として、「品質とは何か」に始まり、食品製造工程における品質管理、開発時における品質管理、消費(賞味)期限の設定、 製造環境の点検・検査、クレーム管理、 従業員の教育・訓練といった区分で食品の品質管理の仕事はどのようなものかと言う点について概観しています。


第2章では、「食品製造の流れと品質管理
として、食品製造の準備段階について、食品衛生法の規定を参照しながら、食品製造の営業許可から、製造(加工)の意味、製造技術と品質管理項目の関係、食品の設計、製造のざっとした流れ等を整理した上で、品質管理のポイントについて、品質管理計画の立案、標準化と規格化などを解説し、従業員の健康管理、作業者の工場への入室時、原材料受入、保管、調合、加熱工程、冷却及び凍結、包装時の日付と異物排除、出荷・販売、容器・包装などにおけるそれぞれの管理ポイントについて解説しています。さらに品質管理の形骸化といった問題についても言及しています。


第3章では、「食品の品質に関する工場点検とその方法
として、最初に「工場点検とは、品質を守るために予め決められた手順で食品が適切に製造されているかを詳しくしらべること」と述べ、食品の品質を守る管理手順や、食品衛生についてのコーデックス委員会による「食品衛生の一般的原則に関する規則」、「HACCPシステムとその適用ガイドライン」などの概要から、厚生労働省の「食品等事業者が実施すべき管理運営基準に関する指針(ガイドライン)」、米国のFDAによるGMP(Good Manufacturing Practice)などを概説しています。この章では、とくに『食品製造プロセスに沿った品質管理』と『製造環境に関わる工場点検』に区分して工場点検の方法を解説しています。前者については、点検の「目的」、「範囲」、「基準」の3要素から、計画(マニュアル)と運用(実施内容)の各局面での点検の詳細について前章の食品製造の流れに沿って解説しています。また後者については、「衛生管理」と「環境・リサイクル」に分けて点検の詳細を基本的な項目毎に解説しています。)


第4章では、「品質管理マネジメント手法
として、HACCPシステムとISO 22000の両者について解説しています。ここでは、HACCPシステムについては、HACCPとはに始まり、HACCPと一般的衛生管理プログラム、SSOPとは、HACCPプラン作成の7原則12手順、我が国におけるHACCP推進課題といった内容を解説しています。またISO 22000については、ISOの概要から、ISO 22000の概要、ISO 22000の要求事項といった内容を解説しています。分かり易い丁寧な解説だと思います。


第5章では、「職場の5Sとスキルアップのための社員教育
として、食品製造現場で基本的に遵守しなければならない要件で、食品の品質を管理していく上での根幹をなすとして、「食品製造現場での5Sとは」にはじまり、職場の継続的改善活動としての「PDCAサイクル」の取組まで食品工場における5Sの目的からその教育方法について解説しています。


第6章では、「品質管理に必要な各種検査法
として、原材料の受入から製品が消費者に渡るまでの各種検査の中でも検査頻度が高い代表的な検査について、官能検査、微生物検査、清浄度検査、異物検査、アレルゲン検査を取り上げ、検査の方法、手順、サンプリング、解析方法などの詳細を解説しています。


第7章では、「現代の食品流通とトレーサビリティ
として、トレーサビリティについて、産地から食卓に至る食品の移動を明らかにすることを通して消費者に安心を提供するための仕組みと述べています。この章では、トレーサビリティの導入の目的から、満たすべき基本要件としてのガイドライン(「食品トレーサビリティシステム導入の手引き」)の9つの原則、その期待される機能、有効に機能するためのその考え方や条件、更には期待される役割といった項目を取り上げ解説しています。


第8章では、「食品表示の基礎知識
として、食品表示に関する基礎的な内容を解説しています。とくに食品表示は、毎年のように変更されるので最新の情報の把握が大切と強調しています。この章では、分かり易い食品表示がなぜ必要かを確認し、食品の表示に関わる食品衛生法、JAS法(農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律)、不正景品類及び不当表示防止法、計量法、健康増進法、薬事法、酒税法、牛肉トレーサビリティ法などの表示に関わる内容を概観しています。「農産物」、「畜産物」、「水産物」、「その他の生鮮食品」、「生鮮食品と加工食品の判断基準例について」との項目で「生鮮食品関係の表示」について、また「加工食品の表示事項」、「アレルギー物質の表示」、「遺伝子組換え食品の表示」、「原材料産地名の表示」、「食品添加物の表示」、「栄養成分表示」、「保険機能食品と特別用途食品」との項目で「加工食品の表示」について解説しています。


第9章では、「食品のクレームとリスクマネジメント
として、『行政の立場から』と『企業のリスク管理』の2つの視点から食品の安心・安全に関わるクレームとリスクマネジメントについて解説しています。前者については、食の安全と消費者、 食のリスクマネジメント、食品工業におけるリスクマネジメントの推進、安全の基準との各項目を取り上げリスクマネジメントが行政において機能する仕組みについて解説しています。また後者については、クレーム・事故対応、消費者・取引先への対応、流通販売の安全確認の進め方、食品事故発生時の調査と再発防止のためにとの各項目を取り上げ企業サイドがリスクマネジメントとして実施すべき事項といった内容を解説しています。最後にFSMS(食品安全マネジメントシステム)だけで人を縛り、押さえつけて管理しようと試みても期待する成果は得られないとし、管理仕様書は補助ツールであり、それ以前に「なぜ、システムの約束事を実行するのか?そのことが自分や会社に対する期待に応えることができる」との旨を従業員等にしっかりと理解させることが大切と強調しています。


なお巻末の付録に「管理仕様書(例)」が掲載されています。


本書は、食品工場の品質管理の実務について、その全体像から関連部門との関わりも含めて具体的に分かり易く体系的に解説されています。


大学で食品関連について学ぶ学生だけでなく、工場で品質管理業務に携わる若いビジネスパースンからISO 22000など食品安全マネジメントシステムに関心がある関係者にも幅広く、食品工場の品質管理の基本が学べる優れたお薦めの入門書と思います


実践!!食品工場の品質管理
幸書房
矢野 俊博(編さん)
発売日:2008-07
発送時期:通常24時間以内に発送
ランキング:183462

なお本書の目次は、以下の内容です。
第1章 食品の品質管理の仕事とは
1.1 品質とは何か
1.2 品質管理とは何か
1.3 食品製造工程における品質管理
1.4 開発時における品質管理
1.5 消費(賞味)期限の設定
1.6 製造環境の点検・検査
1.7 クレーム管理
1.8 従業員の教育・訓練
第2章 食品製造の流れと品質管理
2.1 食品製造の準備段階
2.2 品質管理のポイント
第3章 食品の品質に関する工場点検とその方法
[1]食品製造プロセスに沿った品質管理
[1]3.1 点検の3要素
[1]3.2 点検の2つの局面
[1]3.3 点検者の姿勢
[1]3.4 点検者と被点検者の関係
[2]製造環境に関わる工場点検
[2]3.1 衛生管理
[2]3.2 環境・リサイクル
第4章 品質管理マネジメント手法
4.1 HACCPとは
4.2 HACCPプラン作成の7原則12手順
4.3 我が国におけるHACCP推進課題
4.4 ISO 22000とは
第5章 職場の5Sとスキルアップのための社員教育
5.1 食品製造現場での5Sとは
5.2 食品製造を前提とした5S
5.3 教育・訓練
5.4 PDCAサイクル
第6章 品質管理に必要な各種検査法
6.1 官能検査
6.2 微生物検査
6.3 清浄度検査
6.4 異物検査
6.5 アレルゲン検査
第7章 現代の食品流通とトレーサビリティ
7.1 トレーサビリティとは
7.2 トレーサビリティ導入の目的
7.3 トレーサビリティ基本要件
7.4 トレーサビリティシステム導入の目的と期待される機能
7.5 トレーサビリティが有効に機能するために
7.6 トレーサビリティに期待される役割
第8章 食品表示の基礎知識
8.1 分かり易い食品表示
8.2 食品表示に関係する法律
8.3 生鮮食品の表示
8.4 加工食品の表示
第9章 食品のクレームとリスクマネジメント
[1]行政の立場から
[1]9.1 食の安全と消費者
[1]9.2 食のリスクマネジメント
[1]9.3 食品工業におけるリスクマネジメントの推進
[1]9.4 安全の基準
[2]企業のリスク管理
[2]9.1 クレーム・事故対応
[2]9.2 消費者・取引先への対応
[2]9.3 流通販売の安全確認の進め方
[2]9.4 食品事故発生時の調査と再発防止のために
付録:管理仕様書(例






にほんブログ村 本ブログへ



(広告)



「ISOの本棚」ページのトップへ!


RSS twitter livedoorクリップ Buzzurl Google Bookmarks delicious Yahoo!ブックマークに登録 はてなブックマーク はてなブックマーク
Add a comment

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価:  顔   星
 
 
 

Google 翻訳
Categories
運営者情報
track word
Profile
旅行なら
<

簡単検索
全国のホテルをあなた
好みで検索できます。
■日程
チェックイン
チェックアウト

■1部屋あたりのご利用人数
大人
小学校高学年
小学校低学年
幼児
(食事・布団付)
幼児(食事のみ)
幼児(布団のみ)
幼児
(食事・布団不要)

■部屋数 部屋

■宿泊料金の範囲
■地域を選択する
  
QRコード
QRコード
あわせて読みたい
あわせて読みたいブログパーツ
RSS


【このページをRSSリーダーに登録する!】
Googleに追加
My Yahoo!に追加
livedoor Readerに追加
はてなRSSに追加
goo RSSリーダーに追加
Bloglinesに追加
Technoratiに追加
PAIPOREADERに追加
newsgatorに追加
feedpathに追加

track feed ISOの本棚

  • seo