先般の洞爺湖サミットでも環境技術に関係して『グリーンIT』が話題として取り上げられていましたが、経済産業省をはじめとする政府機関やITベンダーによる『グリーンIT』の取組が活発化しています。
米国でもすでに2007年度から業界団体レベルで、電力コスト削減だけでなくIT活用によって事業活動の環境負荷を低減するエネルギーマネジメント技術など『グリーンIT』の活動が活発に進められています。
また2008年におけるITビジネスの最重要トレンドとして、ガートナーやフォレスター、IDCといった米国の主要調査会社がこぞってこの『グリーンIT』を掲げています。
我が国のグリーンITに関する動きとして政府は、2008年度の予算要求で、新しい政策「グリーンITプロジェクト」を盛り込んで、IT機器の省エネ技術開発に本腰を入れて取り組む姿勢を打ち出しています。((1)サーバーやストレージ向け省エネ技術、(2)ネットワーク分野の省エネ技術,(3)半導体やデバイス分野の省エネ技術のそれぞれの分野において20~30%の消費電力削減を目指すとしています。)
またグリーンITの推進を目的として、IT関連業界団体が発起人となって、ITベンダーやユーザー企業業界団体も巻き込んで、グリーンIT協議会という組織が2008年2月に発足しています。
この背景には、地球温暖化対策の観点からITなどをフル活用しているオフィス分野のCO2排出量の伸びが際だって大きいことと折からの原油高もあってITのコスト削減という大きなニーズを抱えていることがあります。
グリーンITとは、環境に配慮した情報通信技術の活用を進める考え方になります。
本日は、この「グリーンIT」についてさまざまな取り組み方について、「ITを活用した環境対応」と「ITの利用における環境対応」の両面から全体像を解説している本を紹介します。
本書では、「グリーンIT」の全貌を網羅的に概観すると共に、IT担当者が直面することになるIT機器の電力消費削減のためのノウハウについて、具体的な行動計画も提案しています。
本書:「グリーンIT 」です。
「コスト削減と温暖化対策を両立するIT効率化の戦略」との副題が付いています。
本書は、著者:栗原 潔 氏にて、2008年6月にソフトバンククリエイティブより発行されています。

本書の帯には以下のように書かれています。
IT業界2008年度
最大のキーワード
「グリーンIT」とは?
ハードウェア・コストに匹敵する
IT機器の電力コスト削減に
どう取り組むか?
<<本書の概要>>
本書の概要は、「グリーンIT」の厳密な定義から、最重要課題は消費電力と発熱の削減やコスト(設備と機器)や製品ライフサイクルをターゲットとしているなどの議論からスタートしています。
次いでグリーンITの現状(動向、重要な概念など)、ITによるグリーン化としての環境貢献の評価、ITにおけるグリーン化としての1.データセンター、2.サーバ、3.ストレージ、4.デスクトップ環境、のそれぞれの消費電力・発熱の削減技術の現状と課題を詳解しています。
また製品ライフサイクルの観点から、IT機器の製造段階並びに廃棄段階のグリーン化を取り上げその概要を解説しています。
さらに一般企業のIT部門がグリーンITに対してどのような戦略と戦術のもと取組むべきかについてグリーンIT推進の行動計画について解説しています。
<<まとめ>>
IT機器の消費電力と発熱の削減を含めたグリーンITの取組は、社会的(温暖化対策)にも経済的(コスト削減)にもその必要性がますます増大してきています。
本書は、「グリーンIT」の全貌を網羅的に概観していて、「グリーンIT」の現状と動向について俯瞰することができます。
IT担当者だけでなく、「グリーンIT」に関心があるビジネスパースンには、読んで頂きたい一冊です。
なお本書の概要目次は、以下です。
はじめに
第1章 グリーンITが目指すもの
第2章 グリーンITをめぐる現状
第3章 ITがもたらすグリーン化
第4章 グリーンITに貢献するIT効率化 ?データセンター設備
第5章 グリーンITに貢献するIT効率化 ?サーバ
第6章 グリーンITに貢献するIT効率化 ?ストレージ
第7章 グリーンIT
第8章 IT機器の製造・廃棄段階におけるグリーン化
第9章 グリーンIT推進の行動計画
あとがき
参考資料
Index
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- 2008年08月12日
- エネルギー・環境問題
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