現在コンサルタントとして内部統制の整備・構築と文書化および評価(J‐SOX対応)、株式上場、内部監査、経営管理の最適化、組織と業務の整備・最適化、情報システムの整備など内部統制の全般に関わり活躍している著者が、内部統制についての全体像から、基礎知識、さらには、実務に即応しての詳細な活動などを分かり易く解説している本を紹介します。
本書の「はじめに」でも取り上げていますが、内部統制の整備が役立つ会社は、必ずしも内部統制報告制度(J-SOX)の適用を受ける上場会社だけでなく、規模の大小とは関係なく、全ての会社において、内部統制を整備しておくことを通して、不適正な行為の予防、経営活動の有効性、効率の改善などの多くのインパクトがあります。
<<ポイント>>
これ一冊でハンドブックとして網羅的に内部統制の基本を解説した書籍
75section(項目)の解説を通して、内部統制の全体像、基礎知識、実務に沿った詳細までを、分かり易く解説しています。
本書:「1冊で実務に役立つ内部統制整備ハンドブック」です。
「46のチェック表で、困ったときにすぐ引ける! 」との副題が付いています。
本書は、著者:三重野 研一 氏にて、2008年8月にソシム より発行されています。
<<本書のエッセンスの一部>>
本書の表紙の下部には以下のように書かれてあります。
「内部統制の枠組みを、実務に即して、いかに取り入れるかを具体的に解説!
内部統制報告制度(J-SOX)の核となる内部統制基準に準拠。
大企業だけでなく、中小規模の会社でもすぐに役立つ
内部統制の全体像、基礎知識、実務に沿った詳細までを、ていねいに解説。本書で、内部統制整備の準備と対応は万全
そのまま使える!チェック表付き」
筆者は、「はじめに」で本書の3つの特徴を挙げています。
- ベンチャー、中小会社も含めた”全ての会社のための”基本書
-
内部統制の整備事項を”具体的に示した"基本書
- 制度や基準の解説は極力抑えた”マニュアル志向の”基本書
本書は、9章から構成されています。各章でそれぞれ、5から12項目が取り上げられ、各項目について見開きの2ページから数頁程度で解説されるという構成になっています。
特に要点をまとめた一覧表やチェック表を含めて多数の図表が挿入されていて整備ハンドブックに相応しくまとまりよく充実した内容となっています。
ざっと本書の内容について紹介します。
Chapter1では、「ベンチャー、中小会社にとっても役に立つ内部統制の整備」として、内部統制がどのようなもので会社にどのように役立つかを解説する「001 どんな会社でも役に立つ内部統制の整備」に始まり、10項目が解説されています。
Chapter2では、「内部統制の地図を持つ。内部統制の実効性を高める」として、内部統制の整備についてどこから着手すべきかなどを取り上げた「011 内部統制の整備の対象範囲を分類し、整理してみる」から、4種類のチェックシートを含めて、内部統制の整備から基本に関する12項目が取り上げられています。
Chapter3では、「全社的な内部統制の整備」として、「024 全社的な内部統制とは」から「032 『内部統制が機能するための要件』は実効性をもって機能しているか」までの全社的な内部統制の整備に関わる9項目が解説されています。
Chapter4では、「決算・財務報告に係る業務に関する内部統制の整備」として、決算・財務報告に関わる内部統制の整備について、「032 決算・財務報告に係る業務に関する内部統制の対象範囲とは」をはじめとして、決算の準備から決算書の作成に関わる内部統制の整備項目など11項目を取り上げ、解説しています。
Chapter5では、「決算・財務報告以外の業務に関する内部統制の整備」として、決算・財務報告以外の業務に関する内部統制の対象範囲の確認にはじまり、「049 出納取引を現金預金の管理業務に関する内部統制の整備項目とは」にいたる7項目を取り上げ解説しています。
Chapter6では、「開示(外部報告)に係る業務に関する内部統制の整備」として、開示(外部報告)に係る業務に関する内部統制の対象範囲の確認に始まり、「開示(外部報告)に係る業務に関する内部統制の整備項目とは」にいたる8項目が取り上げられ解説しています。
Chapter7では、「IT全社的統制の整備」として、「058 IT全社的統制とは」から「063 内部統制を意識した情報システムの構築・導入のあり方の視点」まで6項目を取り上げIT全社的統制について解説しています。
Chapter8では、「IT全般統制の整備」として、IT全般統制につい対象範囲の確認からはじまり、「068 IT全般統制・セキュリティ管理業務、コンティンジェンシー・プランに関する内部統制の整備項目とは」まで5項目を取り上げ解説しています。
Chapter9では、「IT業務処理統制の整備」として、IT業務処理統制に関する対象範囲の確認に始まり、「075 決算・財務報告の決算処理におけるIT業務処理統制に関する内部統制の整備項目とは」まで7項目を取り上げ解説しています。
<<本書で何が学べるか?>>
本書では、内部統制の全体像、基礎知識、実務に沿った詳細までを整理して分かり易く実務的に解説しています。
自社の各項目毎の整備状況が確認できる多数のチェック表が挿入されていて、内部統制の整備状況を体系的にチャックすることもできます。
基準の解説や内部統制の考え方等を解説した内部統制の解説書とは、一線を画し、まさに現場的な内容になっています。
<<まとめ>>
自社内で内部統制の整備の準備と対応のニーズをもっておられる経営者からビジネスパースンには、実務的な内部統制の整備ハンドブックとしてお薦めです。
なお本書の目次は、以下の内容です。
Chapter1 ベンチャー、中小会社にとっても役に立つ内部統制の整備
Chapter2 内部統制の地図を持つ。内部統制の実効性を高める
Chapter3 全社的な内部統制の整備
Chapter4 決算・財務報告に係る業務に関する内部統制の整備
Chapter5 決算・財務報告以外の業務に関する内部統制の整備
Chapter6 開示(外部報告)に係る業務に関する内部統制の整備
Chapter7 IT全社的統制の整備
Chapter8 IT全般統制の整備
Chapter9 IT業務処理統制の整備
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- 2008年09月17日
- 内部統制,日本版SOX法
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