もともと5Sは、「整理・整頓・清潔・清掃・躾」の5つの言葉のローマ字の頭文字を連ねたもので、企業経営の基盤として実行されてきています。
しかしながらこの5Sがなかなか定着しないとのことから、『躾づくり』を重視した活動が有効との観点から心の側面から社員の躾にアプローチすることを重視した『人財育成』の活動を『New5S』と呼んでいます。
『New5S』(ニュー・ごえす)について、本書では、以下のように定義されています。
「躾づくりを通じて一人ひとりの心がけを養成し、その養成された心で、整理、整頓、清掃、清潔を実施していくもの」
New5Sは、TQMの基本を構築し、TQMを根付かせるための有効な活動としてのスタートになる改善活動として取り上げられています。
社員一人ひとりがマナーやルールを守れるように先ず心を醸成することが重要なスタートであるととらえ、『人づくり』と『チームワークづくり』を基礎とした「人と組織の活性化」を目指す活動がNew5Sということになります。
「躾、整理、整頓、清掃、清潔」のNew5Sについて分かり易く解説している本を紹介します。
<<ポイント>>
人と組織の活性化を目指すNew5S実践のための解説書。
このNew5Sの意義からはじまり、実践のポイント、活動の推進方法と評価方法、実践事例など交えて丁寧にNew5Sについて解説しています。
本書では、「躾、整理、整頓、清掃、清潔の実践のポイント」、「New5S活動の推進方法と評価方法」および「実践事例」などについて、ビジュアルなイラストなどの図表を多用して明快に解説しています。
さらに「New5S活動体系図」、「朝礼の基本動作評価法」、「体操マニュアル」、「New5S活動評価法」などの有効に活用できる仕組み、ツール、仕掛け等も含めて実例を交えて解説しています。
本書:「New5S活動実践マニュアル」です。
「イキイキ職場づくり実践テキスト!」との副題が付いています。
本書は、細谷 克也 氏の編著、ならびに高橋 一嘉 氏ならびに 西山 雄一郎 氏の著にて、2008年10月に日科技連出版社より発行されています。
<<本書のエッセンスの一部>>
本書の内容の一端を紹介します。
本書は、7章から構成されています。
全般的に写真、イラストを含めた図表が多数挿入されていて、ビジュアルに理解できるように工夫されています。
またとくに重要な箇所や、キーワードについて、枠囲みで『ポイント』としてまとめてあります。
またNew5Sの「整理・整頓」、「清掃」、「清潔」、「躾」、「管理板」、「安全」の各改善事例が紹介されている「付録1」ならびに、「方針管理板評価表における評価点の向上」と題したテーマ解決事例が「付録2」が巻末に掲載されています。いずれも写真を用いた明快な解説となっています。
第1章では、「New5Sの意義」
として、なぜNew5Sについて昨今の企業不祥事の背景に組織の風土やトップを含めた社員一人一人の品質意識の欠如があり、ものづくりの基本は、決めたことを、決められた通りに、正しく確実に実行することが大切と強調し、そのためにNew5Sの取り組みが急務と説いています。このような内容からスタートし、TQMとNew5Sとの関わり、New5Sの意味と効果(9つの直接効果と7つの効果<「効果1:安全第一」~「効果7:他品種化」)を解説しています。
第2章では、「New5S活動の導入」
として、New5S活動を導入し、推進していくためのNew5Sの目的と基本的な考え方の明確化からNew5S活動の具体的なやり方や進捗状況が見える「仕組み」をつくり、これに基づいて経営幹部や部課長が率先して体系的に進める必要があるとし、「New5S推進マニュアル」の作成に始まり、「New5S管理版」で情報の共有化と結果の状況把握をはかり、PDCAのサイクルを確実に回すまでを含む具体的なNew5S活動の導入の手順を分かり易く解説しています。
第3章では、「New5S活動の推進方法」
として、New5S活動の推進について推進体制をつくり、活動計画を作成し、これに基づき着実に実践を進めるための基本について、New5S活動の推進の手順、とくに全員にNew5S活動を周知していくために重要となる教育・啓蒙活動などについて解説しています。
第4章では、「躾の実践」および第5章では、「4S(整理、整頓、清掃、清潔)の実践」として、「躾とは?」に始まり、その実践のポイント、日常行動のポイントなどから、各4S(整理、整頓、清掃、清潔)のそれぞれの実践ポイント、着眼点などを「身の回り」、「自主保全」、「環境安全衛生」、「事務作業」、「工程改善」のNew5Sチェックリストなども交えて詳細に解説しています。
第6章では、「New5Sの見える化」
として、New5Sについて目に見えない活動も含めどのように「見える化」して進めるかについて、「管理板」、「掲示板」などの「目でみる管理」の有効な運用ポイント等について解説しています。
第7章では、「New5SとQCサークル活動」
として、QCサークル活動のような小集団活動は、New5Sにおいても有効であると述べ、New5SにおけるQCサークル活動について、その人財育成の視点、QCサークル活動の理念から進め方の基本、QCサークルリーダー・メンバーの役割、会合の進め方、改善活動のまとめと発表までを解説しています。
<<本書で何が学べるか?>>
本書では、人と組織の活性化を目指すNew5Sについて、New5Sの意義からはじまり、実践のポイント、活動の推進方法と評価方法、実践事例などNew5Sについて体系的に解説しています。
本書に基づいてNew5Sを学び実践していくことで確実に現場における人財育成と職場の活性化ができるだろうと期待されます。
企業経営で一朝一夕に変えることが難しいのが、人がイキイキと活動し、計画したことを計画通りに達成できるような企業風土を醸成していくことだと思います。
質を備えたものをつくるまえに人をつくる:New5Sは、そのための基本的なツールだと思います。
<<まとめ>>
本書は、製造業だけでなく、人と組織の活性化に関心があるビジネスパースンには読んで頂きたい一冊です。
なお本書の概要目次は、以下です。
第1章 New5Sの意義
第2章 New5S活動の導入
第3章 New5S活動の推進方法
第4章 躾の実践
第5章 4S(整理、整頓、清掃、清潔)の実践
第6章 New5Sの見える化
第7章 New5SとQCサークル活動
付録1 New5S改善事例
付録2 テーマ解決事例
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