アメリカに端を発した金融危機、急激な円高・ドル安・ユーロ安、株価の急落といった時代が急激な変化しようとしている環境下こそ将来のビジョンを明確にし、知恵を出して地道に現実の課題に取り組むことが必要です。
松下電器という企業名は無くなり、パナソニックになりましたが、創業者の松下幸之助さんは、幅広い多数の著作と多くの言葉を残され、今日の不透明な環境でますます光を放つ存在になっているように思います。
このような時こそ、偉大な教育者でもあった松下幸之助さんから学ぶべき多くの知恵があるように思います。
<<ポイント>>
松下経営哲学の神髄を伝承する本
松下幸之助さんの傍らで直接に23年間にわたり薫陶を受け続け、書き留めた言葉がゆうに3,000を超えるという著者:江口 克彦 氏が、松下幸之助が残した数多くの言葉を読み解きながら、その経営観、考え方を分かりやすく説いています。
- 成功者の条件
- 自分を磨く方法
- 人の心を動かす鉄則
- 指導者の条件
といったアイテムについて松下幸之助さんの哲学を語っています。
「松下経営哲学」を理解する上で、松下幸之助さんの「人間観」に基づく、「松下哲学」を理解しておくことが必要と述べ、「松下哲学」を多くのエピソードを交えて解き明かしています。
タイトルとなっているのは、『自分を磨く方法』の一節で、「些細なことを、おろそかにしない心がけが、人生を大きな成功に導く」との松下幸之助さんから指導を受けたいくつかのエピソードを交えて、「経営でも人生でも、大きな成功も大きな失敗も突然に発生するわけではない。日頃から小さいことを積み重ねた結果がそれなのである。」と述べています。
本書:「成功は小さい努力の積み重ね 」です。
「松下幸之助の言葉を読み解く」との副題が付いています。
本書は、著者:江口 克彦 氏により、2008年8月にPHP研究所より発行されています。
本書は、『PHPビジネスレビュー 松下幸之助 研究』 誌への掲載をもとに加筆・修正され、編集されたものとのこと。
<<本書のエッセンスの一部>>
本書の帯には、以下のように書かれてあります。
松下経営哲学の神髄!
会社とは何か、仕事とは何か、人とは何か-----
本書は、(第一章)「成功者の条件」、(第二章)「自分を磨く方法」、(第三章)「人の心を動かす鉄則」、(第四章)「指導者の条件」を大項目として取り上げている4つの章から構成されています。
各章には、6から8の数ページに渡っての各教訓について語っている項目が取り上げられているという内容になっています。
各教訓に関しては、タイトルに続き、松下幸之助さんの言葉が紹介され、それにまつわるエピソードを通して、その経営観、考え方等が語られるといった展開になっています。
特に印象深いと感じた箇所を紹介します。
『何ごとも周知によらねばならない。十人の人がいれば、十人の人の知恵を借りる。百人の人がいれば百人の知恵を借りる。一億あれば一億の知恵を借りる、という心構えが大切である。』(松下幸之助の言葉)
人生は決断の連続であり、これは経営や人生においても言えることである。そして決断を下すには、三つの段階があることを知っておきたい。
まずは自分で考えて、自分の結論を持つ、つまり結論を自分で見つけ出す努力をするのが第一段階である。多くの人の意見を聞くのが第二段階。第三段階では自分の結論と集めた意見を比較検討し、融合して止揚する。そして結論を出し、決断し、実行し継続する。(略)
周知を集めるのは自信がないからではなく、客観的に検証し、よりよい結論を出すのである。だから、人がなんと言おうと変えない場合もあれば、納得して変える場合もある。
(略)
自分一人の考えで決断するのは素晴らしいことではない。一人の考えというものは往々にして独断となって道を間違える。一人で事を進める正しさより、多くの人の知恵を借りて、より正確で的を得た選択をすることを私たちは心がけるべきではなかろうか。」(「多くの知恵を融合調和すれば成功につながる道が見つかる」より)『世の中には、変わってはならないもの、変えてはならないものがある。そして、一方では日進月歩で変化していくもの、変えなければならないものがある。両者が適切に存在しなければならない。』(松下幸之助の言葉)
個人であれば信念、会社では経営理念であり、経営の基本方針、経営哲学というものは、いつの時代でも貫く一本の棒のようなものでなければならない。それを変えてしまったり、変えようとしたりすると、個人であれば人格破壊につながり、企業はそれで混乱し、場合によっては倒産ということになっていく。これを私たちは理解、認識、自覚しておかねばならないのではないか。
(略)
経営に携わり人生を歩む中で、何が何でも死守しなければならない、守り抜かなければならないというものを自然の理法に照らして持っていたから、松下幸之助さんの経営というものは発展を続けたし、非人間的な事件を起こさなかった。加えて、松下さんは、考えて考えて考え抜いて作り上げた経営理念を、繰り返し社員に訴え続けた。自然の理法に適った経営、人間の本質に適った経営をやっていけば、企業は不祥事を起こしたり、衰退、倒産ということはありえないと松下さんは言いたかったのではないだろうか。」(「根源的なものを座標軸にして経営判断をする」より)
<<本書で何が学べるか?>>
本書は、松下幸之助さんの哲学を象徴する言葉の本質について松下幸之助さんとのエピソードを交えて分かり易く説き起こしています。
本書では、まさに不易流行といえる芯はぶれずに時代とともに継続的に強化止揚されていった松下経営哲学が分かり易く説き起こされています。
<<まとめ>>
目の前に松下幸之助氏が登場し、あたかも読者に語りかけるような親近さで、その言葉の本質が語られています。
本書には、経営、人、仕事などの局面で道しるべになる松下幸之助さんの含蓄のある言葉が満載されています。
本書は、若いビジネスパースンの皆さんにも是非、読んで頂きたいと思います。
なお本書の概要目次は、以下の内容です。
第一章 松下幸之助哲学が教える成功者の条件
第二章 松下幸之助哲学が教える自分を磨く方法
第三章 松下幸之助哲学が教える人の心を動かす鉄則
第四章 松下幸之助哲学が教える指導者の条件
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