著者の新 将命 氏は、これまでにコカ・コーラ社のブランドマネジャー、ジョンソン・エンド・ジョンソン等の社長を歴任した「伝説の外資トップ」として知られています。
新 氏は、現在は、経営やリーダーシップを後進に伝える伝道師として活躍中で、氏の指導を受けた多数の現役経営者からメンターとして慕われている人物。
リーダーをめざす人、すでにリーダーとして活躍している人に、数々の外資系企業で40年以上にわたるビジネス経験を持つ新 氏が、リーダーとしての基本から、応用としての考え方までを伝授している本を紹介します。
「個人のスキル磨き」ばかりが議論される今だからこそ、忘れてほしくないリーダーとしてのエッセンスについて説いています。
真に優れた会社や人というのは逆境のときこそ伸びてきた。
この難しい時代だからこそ、絶妙な手腕で部下のやる気を引き出し、成長を促し、方向性を示せるリーダーが必要なのだと。
<<ポイント>>
ビジネスリーダーとして必須のリーダーシップの「型」を説く本。
- 「優れたリーダーになるために今から何をすればいいのか?」
- 「どのようなタイプの部下にはどのように接すればいいのか?」
- 「どうやってマネジメント能力を磨くのか?」
など筆者の半世紀近くにわたる経験をもとに渾身の思いで、リーダーのあるべき姿について伝授しています。
本書:「伝説の外資トップが説く リーダーの教科書 」です。
本書は、著者:新 将命 氏にて、2008年11月にランダムハウス講談社より発行されています。
<<本書のエッセンスの一部>>
本書の帯には、以下のように書かれています。
上司の器が大きくなければ部下も組織も育たない
数々の外資系企業で40年以上にわたるビジネス経験と実績を持つ著者が教えるビジネスリーダーの必須科目。
スキルだけが優れた人のことを、私は「できる人」と呼ぶ。
そして、マインドが優れた人、人間力の高い人は、「できた人」と呼ぶ。
もし、部下を一人も持たない専門職のスペシャリストなら、
「できる人」でいいだろう。また「できた人」というのも
組織の中ではそれなりの役割がある。だが、多くの部下の上に立ち、
士気を鼓舞して、ぐいぐい前進させるリーダーこそが
勝ち残る組織には絶対に欠かせないのだ。
つまりこういうことだ。経営職の道をめざしたいという人は、
「できる人・できた人」をめざさなければならない。
(第1章より抜粋)
本書は、4つの章から構成され、それぞれリーダーとしての段階に対応して『上司の心得』(これからリーダーになる人)、『上司としての認識』(リーダーとして歩き始めた人に14のlessonを説く)、『上司のスキル』(リーダーシップをさらに磨きたい人)、『上司の役割』(選ばれたリーダーをめざす人)がテーマとなっています。
それぞれの章において14のlessonを説いています。
また各lesson毎にそのlessonの終わりに簡潔ながらなかなか含蓄のある【Key Point】で締め括っています。
56あるすべてのlessonのいずれもが金言だと感じ、大いに共感を覚えますが、2、3、その一端を紹介してみます。
私は、かっての部下が挫折に直面したり、苦しんでいるときに三つアドバイスをしていた。まず、それを喜べ、と。なぜなら大きな成長の機会が与えられたからである。(略)
そして、二つ目は、勝海舟『氷川清話』の薦めである。(略)
もうひとつアドバイスを受け止めていただきたい。「いままでの人生で最も苦しんだことは何か、思い出してごらん」というものである。(略)
(略)
断言するが、逆境こそ、成長のチャンスである。それをどのくらい経験したか、あるいは大きな逆境を乗り越えることができたかどうかが、リーダーとしてのあなたの力量を大きく左右する。逆境や修羅場を多く経験できたリーダーが強いのは、いうまでもない。
(第1章:lesson3:伸びるのは逆境のとき」より)
優れた人間とそうではない人間の違いをひとつだけ挙げよ、と言われたならば、間違いなく入ってくるのがこれだろう---優れた人間は、自分の強みを知っているが、同時に自分の弱点を知っている。そして自分の弱みを補う人をまわりに配する。
(略)
弱みを補うには二つの方法がある。ひとつは、自分の弱みをカバーしてくれる人間を組み入れることだ。(略)
(略)
そこで、弱みを「補う」ための二つ目の方法に移る。外部に師を持つことだ。アドバイザー、メンターといってもいい。経営について、あるいは組織の運営について直言や苦言や諫言をしてくれるような先達、師を外部に持つことにより、最悪の失敗は避けられる。
(略)
自分の立場が上になればなるほど、責任と権限が重くなればなるほど、部下の数が増えれば増えるほど、謙虚さを失わないことが大事だ。強みの理解と同時に、弱みも理解しておくこと。弱みをカバーするための方法をつねに頭に入れておくことである。そして師やメンターを持つことである。
(第3章:「lesson10 優れた人間は自分の強みと弱みを知っている」より)
また本書の付録として、筆者が開発した「リーダー人財度カルテ」が添付されています。リーダー度を点数で自己評価できる10問とその診断から「自分のリーダー人財度を高めるための優先事項」という対策のアクションプランをマネジメントするようなものとなっています。
<<本書で何が学べるか?>>
まさに人間通であり、リーダーシップのあり方を深く考え厳しく実践してきた人の神髄が実に分かり易く説かれている名著です。
これから上司の立場になる人が持つべき心構えからすでに経営者の立場にある人のある種の帝王学のような人間的魅力に関わる人間論までリーダーとしてのあるべき姿をリアルに明快に説いています。
安岡 正篤 氏の言葉で知識、見識、胆識とのレベルがありますが、本書の筆者の言葉も自らの実践を通してリーダーシップ論としても胆識まで高めてきた人の言葉としての重みが痛感されます。
<<まとめ>>
本書の「おわりに」で筆者は、以下のように述べています。
世界の中で地盤沈下の道をたどっている日本を救うのは誰か。先送りの政治家には期待できない。無責任な官僚はあてにならない。「批判するだけ」のマスコミは役に立たない。日本を救う唯一の可能性はビジネスであり、ビジネスパースンである。
全くの正論です。
本書は、志を持ったビジネスパースンには、読んで頂きたい一冊です。
なお本書の目次は、以下の内容です。
第1章 これからリーダーになる人へ---上司の心得
第2章 リーダーとして歩き始めた人へ---上司としての認識
第3章 リーダーシップをさらに磨きたい人へ---上司のスキル
第4章 選ばれたリーダーをめざす人へ---上司の役割
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- 2008年12月11日
- 人づくり、人材育成、職場活性化
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