『人間とはなんとすばらしい傑作か!その崇高なる理性!限りのない能力!形と動きのなんと的確でみごとなことか!その行動は天使のごとく、理解力は神のごとく!この世の楽しさそのもの。まさに生き物の鑑(かがみ)』(ー『ハムレット』第2章第2場−)


人間の心を高く評価し、人は合理的に行動するものと考えているのは、このシェ−クスピアも経済学も同じだが、『本当にそうだろうか』と筆者は言う。


  • ダイエットを心に誓ったはずなのに、デザートを載せたカートが近づくと決意が消えてしまっていたり、
  • 薬は、安価なものよりも高価だと信じていた方が効いてしまったり、
  • また2択に加えられたおとりの選択肢により判断が変わってしまったり、

このように、しばしば私たちの日常の行動は、不合理なものとなってしまっている。


また、不合理な上、私たちの行動はデタラメでも無分別でもなく、規則性があって、何回も繰り返してしまうため予想もできるという


すなわち、『予想通りに不合理』なのだと。


人間がどのように決断するか、特になぜ『予想通りに不合理な決断をしてしまうかなど行動経済学研究の第一人者が多年にわたるユニークな実験研究に基づいて解き明かしている本を紹介します。


<<ポイント>>


わたしたちを動かすものの正体をおもしろく解説する行動経済学の入門書


予想通りに不合理』な決断が食事、買い物、恋愛、お金、物事の先延ばし、正直さなどの色々の局面でどのように行われるかを解き明かし、さらにそれが一般的な原則として、我々の生活や仕事や政策といったものとどう関わるかを解説しています


予想通りに不合理な決断の規則性を把握できれば、それを克服するための対策も見えてくると日々の生活に活かせそうな対策も示しています


なお筆者のダン・アリエリー (Dan Ariely:デューク大学教授、MITのメディアラボの客員教授。)氏 は、本書の10章で紹介されている「同じ偽薬(Placebo:プラシーボ)でも値段が高いほうが効き目がある」という研究で、パロディ版のノーベル賞のイグ・ノーベル医学賞を受賞したとのこと。


行動経済学(筆者は「判断・意志決定科学」とも呼んでいます。)というのは、アメリカで発展した人間の経済行動を心理学的側面から分析する経済学


また2002年には、行動経済学の中心的な立役者とされるダニエル・カーネマンが、ノーベル経済学賞を受賞しています。本書の帯で本書についての賛辞が紹介されています。


本書:「予想どおりに不合理」です。


行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」」との副題が付いています。


本書は、ダン・アリエリー (Dan Ariely)氏による(2008年の「ビジネス・投資」部門で読者の選んだ本のNo.1に輝いたとの)原著:「PREDICTABLY IRRATIONAL The Hidden Forces That Shape Our Desision」について、熊谷 淳子 氏の翻訳にて、2008年11月に早川書房 より発行されています。


予想どおりに不合理―行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」
早川書房
熊谷 淳子(翻訳)
発売日:2008-11-21
発送時期:通常24時間以内に発送
ランキング:47
おすすめ度:4.5
おすすめ度3 著者のせいなのか翻訳者のせいか
おすすめ度5 合理的人間
おすすめ度5 行動経済学の秀作(影響力の武器を越えた?)
おすすめ度4 間違いない
おすすめ度5 「影響力の武器」なみの名著

<<本書のエッセンスの一部>>


本書の帯には、以下のように書かれています。


ノーベル賞受賞者も揃って絶賛!

  • 本書は愉快なだけでなく、ためにある、私たちがどのように決断を下しているのかを知って、驚くこと間違いない!自分を変えることになるだろう。
    ……ダニエル・カーネマン(2002年度ノーベル経済学賞受賞者)
  • すばらしい本というだけではない。私たちをずっと賢くもしてくれる。
    ……ジョージ・アカロフ(2001年度ノーベル経済学賞受賞者)
  • 見事な洞察力、そしてなんといっても、このおもしろさ-----読み始めたら、途中でやめられなかった。
    ……ダニエル・マクファデン(2000年度ノーベル経済学賞受賞者)

本書は、なぜ筆者が行動経済学に興味を持ち始めたのかとの契機を語る「はじめに」に続く、「なぜあらゆるものは-そうであってはならないものまで-相対的なのか」と「おとり実験」や「人は持てば持つほどいっそう欲しくなる」といった私たちの行動に影響を及ぼす『相対性』を取り上げた第1章から「ビール注文にまつわる実験」、「無料のランチ」の考え方と絡めて行動経済学とは何かを再確認する13章までの私たちの行動に影響を及ぼす各要素について実験を交えて解説する13の章から構成されています。


2,3の興味深い箇所を紹介します。


一つの品物について出してもいい金額が決まると、それがアンカーになって同じカテゴリーの別の品物にいくら出すかも、最初の価格(アンカー)との比較で判断される。最初の価格はほとんど「恣意」的ででたらめな質問に対する答えにも影響される。いったんそのアンカーの価格が決まると、ある品物にいくら出すかだけでなく、関連のある品物にどれだけ出すかまで方向づけられる。(「一貫性」の法則


社会規範(一緒に何かをつくりあげる興奮など)の方が市場規範(昇進ごとにだんだん増えていく給料など)より強い企業(とくに新興企業)が人々から多くの働きを引き出している。
企業が社会規範で考えはじめれば、社会規範が忠誠心を育てることに気づくだろう。さらに社会規範は人々を奮起させる。柔軟で、意識が高く、進んで仕事に取りかかるという、企業が今日必要としている従業員になろうと努力する気にさせる


定年後のために貯蓄しようと誓いを立てるが、そのお金を旅行に使ってしまう。ダイエットをしようと心に誓うが、デザートの誘惑に身をゆだねてしまう。定期的にコレステロールをチェックしてもらおうと誓うが、検査の予約をキャンセルしてしまう。(略)
なぜ私たちは先延ばしとの戦いにこうもしょっちゅう敗れてしまうのだろう。
(略)
こういった問題については、事前の決意表明という仕組みを活用することで解決できる可能性がある。


所有意識は私たちの生活全体に浸透していて、奇妙な形で私たちがすることの多くを方向付けている。一つ目の奇癖は、自分がすでに持っているものにほれこんでしまうこと。二つ目の奇癖は、手に入るかも知れないものでなく、失うかも知れないものに注目してしまうこと。三つ目の奇癖は、他の人が取引を見る視点も自分と同じだろうと思いこんでしまうこと。ほかにも奇妙な所有意識がいろいろある。(何かに打ち込めば打ち込むほどそれに対する所有意識が強くなる。 実際に何かを所有する前に、それに対して所有意識を持ち始めることがある。このような「仮想の所有意識」は、広告業の推進力の一つになっている


<<本書に関係する書籍>>


「ISOの本棚」のブログですでに紹介した以下のような『社会行動心理学』に関する本がありますのでご参照下さい。



<<本書で何が学べるか>>


私自身も本書を読むまでは、行動経済学という学問分野があることは知りませんでした。


本書では、自分や周囲の人たちの行動や意志決定、大きくは社会を動かしているものはなにかを理解するための行動経済学による実験結果から帰納して人間の判断というのは、これまでの標準的な経済学が前提としているような合理的なものではなく、非合理的なことが多く、人間とは、そのように不合理なものと説いています。


米国のテレビを見ていると司会者などが発した何かのジョークが観客に受けて大笑いになったりする場面があったりする時に、あれ日本人の感性とは少し違っていてどこが面白いのかと感じることがあります。


本書の面白さの部分では、少しそのような違和感も感じないではないですが、筆者が行った実験の結果を紹介しながら鋭く分析し、人間の弱さというか予想通りに不合理な人間の姿を描いています。


ここで取り上げられている多様な不合理な側面は、興味深く確かにそうかなと共感します。


こんな不合理な人の行動も、実は系統的で予想可能な特質に基づくと筆者は看破しています。


ビジネスや投資、政治の世界でも、「おとり」の選択肢や、価格のプラシーボ効果、アンカリングなどの手法がすでに色々と活用されていたことにも感心します


<<まとめ>>


本書では、行動経済学の入門書として、わたしたちを動かすものの正体:「予想通りに不合理」な行動や意志決定の世界が興味深く描かれています。


本書が、Amazon.comのBest Book of 2008「ビジネス・投資」部門で読者の選んだ本のNo.1というのは、決して不合理ではなく、rational と思われます


なお本書の目次は、以下の内容です。
はじめに 
1章 相対性の真相(なぜあらゆるものは――そうであってはならないものまで――相対的なのか)
2章 需要と供給の誤謬(なぜ真珠の値段は――そしてあらゆるものの値段は――定まっていないのか)
3章 ゼロコストのコスト(なぜ何も払わないのに払いすぎになるのか)
4章 社会規範のコスト(なぜ楽しみでやっていたことが、報酬をもらったとたん楽しくなくなるのか)
5章 性的興奮の影響(なぜ情熱は私たちが思っている以上に熱いのか)
6章 先延ばしの問題と自制心(なぜ自分のしたいことを自分にさせることができないのか)
7章 高価な所有意識(なぜ自分の持っているものを過大評価するのか)
8章 扉をあけておく(なぜ選択の自由のせいで本来の目的からそれてしまうのか)
9章 予測の効果(なぜ心は予測したとおりのものを手に入れるのか)
10章 価格の力(なぜ1セントのアスピリンにできないことが50セントのアスピリンならできるのか)
11章 私たちの品性について その1(なぜわたしたちは不正直なのか、そして、それについてなにができるか)
12章 私たちの品性について その2(なぜ現金を扱うときのほうが正直になるのか)
13章 ビールと無料のランチ(行動経済学とは何か、そして、無料のランチはどこにあるのか)





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