本書を読んで「考えること」の大切さに気づき「考えるため」の幾つかのヒントをもとに
「そうだ!僕はユニークな生き方をしよう!」
という言葉を胸に、身の周りを、そして世界を見直して欲しい。
と冒頭で述べ、
「知の衰退」は、視野狭窄から起こる。
現代の日本人は自分たちの周囲のことしか見ず、その結果、思考停止状態に陥ってしまっているとし、ここ数年の間に日本で起こっている色々な現象を「集団知」の観点から総括した上で、「集団IQ」の高いところが21世紀の「勝ち組」になるとし、…。
現在求められている「21世紀の教養」は、サイバー社会も含めた最新の情報に基づいた『考える力』であり、それによって地球市民としてどのように社会に関わっていくかという意識である。そして、そこから導き出されるアイデアこそ、今後の力の源泉である。
それこそが世界の中でリーダーシップを発揮できる源泉でもある。
と「低IQ社会」の一員に甘んじることなく、いかにして「知の衰退」の状況から脱出し、世界の変化を「なぜと考え」、そこから自分らしい行動を起こしたらよいか等を大前 研一氏が説き起こしている本を紹介します。
<<ポイント>>
「21世紀の教養」を身につけ、知力を尽くせ!と説く、大前流の21世紀を生き抜くための日本人論。
本書は、Q(Question)の設問に対する対話形式による著者と一緒に考えるスタイルで構成されており平易に大前ロジックが説かれています。
日本が経済的に長期衰退傾向にあるのは、”考えない人間”が増えているためで、例えば、政治家から若者と大人、そしてマスコミなどの事例を挙げて日本は、危機状況にあると説き、危機を乗り切るための「21世紀の教養」の習得の必要性から、自分の生き方にも反映すべしと説いています。
本書:「「知の衰退」からいかに脱出するか?」です。
「そうだ!僕はユニークな生き方をしよう!!」との副題が付いています。
本書は、著者:大前 研一 氏にて、2009年1月に光文社 より発行されています。
読み応えがありました
日本の将来が不安になりましたが、素晴らしい本には違いありません
一気に読みました。
社会的IQの高い国が知の衰退した低IQ国から富を奪い、世界的な国家間の格差社会が起こりつつあると説くする警世の書。
<<本書のエッセンスの一部>>
本書の帯ならびに表紙カバーの折り返し部には、以下のように書かれています。
”バカっぽい現象”をテキストにして、「考える力」を取り戻せ!
金融危機で「集団IQ」が高い国のアドバンテージが消滅したいま、これまで「負け組」に甘んじていた国は大チャンスを迎えている! それなのに…
漢字が読めない総理、ネットで答えが見つからないとあきらめる若者、金融リテラシーが低いことを気にもとめない大人、おバカキャラで視聴率を稼ぐテレビ―とにかく考えない日本人、
これで、危機は乗り切れるのか?「21世紀の教養」を身につけ、知力を尽くして生き残れ!!
本書は、10章から構成されています。
「あなたは「低IQ社会」の一員に甘んじてはいないか」というのが一環したモチーフになっています。
我が国の集団知(:「集団IQ」と筆者は呼ぶ)が低下し続けているとし、例えば、漢字が読めない総理、ネットで答えが見つからないとあきらめる若者、金融リテラシーが低いことを気にもとめない大人、おバカキャラで視聴率を稼ぐテレビといった現象面について概観した上で、「バカっぽく見える現象」を取り上げ、「何を」「どのように」「考えていなかい」からまずいのかを考察しながら「ではどのように対処すべきか」を論ずるという展開になっています。
金融危機に隠れた「日本株一人負け」などの社会現象の分析から始まり種々の官製不況を分析し、その根は「知の衰退」にあると看破しています。
さらに「政治」「経済」「社会」「ネット」「教育」「教養」などの面からに見られる「知の衰退」現象を取り上げ、私たちがそこから抜け出すためにはどうすればいいのかを考える展開になっています。
具体的には、1億総「経済音痴」、「郵政選挙」と「年金選挙」、「ネットのインパクト」、「無欲な若者と学力低下」などを切り口に「知の衰退」の問題を掘り下げています。
そして、「「教育改革」に関わる人材論」、「この「低IQ社会」では誰が得をしているか」、「集団IQが高い勝ち組の国々から学ぶべきこと」、「これからの時代に求められる教養とは何か」などの観点から筆者の考え方を明示し、提言も交えて考察しています。
とくにこのまま、「低IQ社会」のぬるま湯:「小さな幸せ」状態にとっぷりとつかっていることなく、やがてもたらされる長期衰退の危険にいち早く気づくと共に危機感を感じ、日本政府や社会に期待することなく、考える力を取り戻し自分なりに納得がゆく地球市民としての生き方を歩み始めることの必要性を強調しています。
ゆで蛙になってしまう前に危機を脱出することができるのは、実際の行動につなげた人のみ。
誰も率先して行動しようとはしない現代の日本社会において、その行動は、ユニークな生き方になるはずです。
<<本書で何が学べるか>>
本書では、「低IQ社会」の一員に甘んじることなく、いかにして「知の衰退」の状況から脱出し、世界の変化を「なぜと考え」、そこから自分らしい行動を起こしたらよいか等の「知の衰退」状態からの脱出がテーマになっています。
本書では、「知の衰退」の問題についての大前氏の鋭い分析と個性あふれるそこから脱出するためのヒントとなる視点が多数提示されています。
ピンチこそチャンスでこのピンチは、変革の絶好のチャンスになります。
小さな幸せに埋没し、茹で蛙で負け組側にドロップしてしまうか、現状に危機感を感じ変革に挑戦し、考える力:「21世紀の教養」を身につけて知力を尽くし生き残る道を選択するかのシビアな選択が問われているように思います。
<<まとめ>>
本書は、「21世紀の教養」を身につけ、知力を尽くせ!と説く、大前流の21世紀を生き抜くための日本人論の本です。
本書は、是非とも多くの人に読んで頂きたい良書です。
なお本書の目次は、以下の内容です。
第1章 「低IQ社会」の出現
第2章 官製不況の根は「知の衰退」
第3章 1億総「経済音痴」
第4章 政局と「集団知」
第5章 ネット社会と脳
第6章 無欲な若者と学力低下
第7章 「集団IQ」を高める教育改革
第8章 「低IQ社会」で得をしているのは誰か
第9章 勝ち組から学べ
第10章 21世紀の教養
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- 2009年02月13日
- ビジネス、自己啓発、スキルアップ
- コメント(1)
1. Posted by がんばれNippon 2009年04月12日 00:35
最近、テレビや雑誌、新聞を読んでいると日本はバカ化しているなと感じていたが、まさにその現象を憂いている本である。私はその要因はマクドナルド(アメリカ式合理主義に徹した大量生産食料)、任天堂DS他のゲーム機(ゲーム脳)、そしてテレビのバラエティ番組およびバラエティ化した番組(すべてをお笑い化して真剣に考えない人間を作り出す)にあると思う。
大前さんは知の衰退に危機感を持ちながらも、政治の世界に入って改善していくことをあきらめたと書いてあるが、それでは中途半端だろう。これだけの影響力を持つ人間であれば、自分が政治リーダーになれないとしても、担ぎあげる人間を探して教育するなどのやり方があるはず。本を書いたり、有料ブログで訴えるだけでは商業主義と言われても仕方がない。もう一段踏み込んだアクションを見せてほしい。