2月16日の内閣府の発表によると、2008年10~12月期のGDP(国内総生産)速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比3.3%減、年率換算で12.7%減とのこと。
2009年1月~3月期は、さらに悪化することが推定されています。
こういった経済環境の悪化を受けて、企業では、コストカットやコストダウンの活動が活発化しています。
急場しのぎの焦りから削るべきではなかったコストを削減してしまい、顧客の信頼を失うトラブルに見舞われたという事例も過去には多数あります。
こういった過去の失敗を他山の石として活かして欲しい所です。
本日、紹介する本の筆者は、顧客の「不満の声」といった「不」の要素を捉えることが会社の業績においても重要であると述べ、
とくに現在の市場は、『普及市場』→『成熟市場』→『飽和市場』→『縮小市場』に至っているが、市場・顧客は決してゼロになったわけではない。
このような環境下でも顧客の不満を的確に捉え、それを解決し、さらに新商品・新サービス開発に役立てることで確実に業績を伸ばしている企業は多数ある。
今こそ顧客の「不」の要素を理解し、顧客に支持されるようにならなければならない時代になっていると説いています。
すなわち真の顧客満足達成のためには、顧客の不満や潜在意識下の要望を手に入れて、それらを解決する必要があると。
「顧客不満足度」のシリーズ本で知られる著者:武田 哲男 氏が、独自に開発した「顧客不満足度調査」によって、どのようにして顧客の不満や潜在意識下の要望を適切に把握し、分析し、そして新商品・サービス開発に活かせば良いのかとの手法を説いている本を紹介します。
<<ポイント>>
顧客の不満や潜在的ニーズ・ウオンツを把握するための調査及び活用手法の解説書。
筆者の独自開発による「顧客不満足度調査」により顧客の不満や潜在意識下の要望を捉え、分析し、新商品・サービス開発に活かすための手法などを解説しています。
顧客の本音をどうやって引き出すかなど「顧客不満足度」に関わる各種ノウハウが開示されています。
ISO 9001:2008(JIS Q 9001:2008:「品質マネジメントシステム-要求事項」)規格の8.2.1項:『顧客満足』において以下のように要求されています。
組織は、品質マネジメントシステムの成果を含む実施状況の測定の一つとして、顧客要求事項を満たしているかどうかに関して顧客がどのように受けとめているかについての情報を監視しなければならない。
この情報の入手及び使用の方法を定めなければならない。
この要求に対応して顧客がどのように受けとめているかについての情報を把握するためにクレーム情報などと併せて「顧客満足度」のアンケート調査などが実施されます。
筆者は、なぜ「顧客不満足度調査」なのかについて、顧客の満足レベルが高くなり、多段階に分かれていること。そして、モノやサービスがあふれている状況なので顧客の「潜在化した要望」をつかむのに顧客の不満からキャッチしていくのに効果的であるためで、そのためには調査票を設計し、工夫が必要としています。
顧客の「不満」こそ宝の山であるとして、真の顧客満足を実現し、それを業績に結びつけていくための「顧客不満足度調査」の実行と、その活用法について説いています。
本書:「顧客「不満足」度のつかみ方・活かし方」です。
「顧客の本音を引き出し、『業績=顧客の支持率』を達成する」との副題が付いています。
本書は、著者:武田 哲男 氏にて、2009年2月にPHP研究所 より「PHPビジネス新書」の一冊として発行されています。
<<本書のエッセンスの一部>>
本書の帯及び表紙カバーの折り返し部には、以下のように書かれています。
あなたは、無意識のうちに、見て見ぬフリをしていませんか…?
「顧客の不満」にこそチャンスは埋まっている!
お客様の不満や潜在意識下の要望を調査手法と、その活かし方を解説。
- 「商品の魅力さえあれば、お客様は買ってくれる」
- 「コストダウンを徹底的に追求することが、お客様のためになる」
- 「満足度調査の点数が高いから、当社は顧客に愛されている」
そんなふうに思っている会社には、見えない危機が迫っているかもしれません……。
(理由は本書の中に)
本書は、5章から構成されています。
本書では、調査票やそのまとめ方のグラフやマップなど含め概念図などの多数の図表が挿入され具体的で分かり易い構成になっています。
本書は、お客様の不満をチャンスとして活かし「逃げない企業姿勢」で地域での評判を上げている企業集団の事例にはじまり、顧客不満足を把握することの重要性を解説している第1章に始まります。
「顧客の声を捉える」→「分析する」までで留まる企業が多く、その先の「蓄積し」→「課題解決を図り」→「実行に移し」→「顧客の評価を受ける」までの活動を行っている企業はあまり多くはないと説いています。
「顧客不満足度調査」とはどのようなものか?なぜ満足度でなく不満足度なのかを第2章では詳細に説き、市場が「収縮市場」となってしまった今日、大切なことは、「新規顧客の開拓」→「顧客の継続向上」であると述べています。
顧客不満足度調査で長所から短所まで把握でき、それに基づいて他社との競争優位が築ける機会に結びつくので不満足度を調査していることを知られたくないという企業が多く、それが不満足度調査があまり表に登場しない大きな理由の一つと説いています。
第3章では、顧客不満足度をどのようにして把握するかの方法について順次、解説しています。
さらにどのように顧客不満足度調査を進めるかのステップとその際の留意ポイントについて解説しています。
特に調査票の設計についての基本的な考え方と重要ポイントについて事例を交えて解説しています。
次いで「顧客不満足度調査」の調査結果の分析について、定点観測、ベンチマーキング分析、点数別の比較・分析、クロス集計分析と定性データ、経験則による分析といった観点からの「顧客不満足度調査」のデータの読み方と解析法及び分析報告書(レポート)のまとめ方までを解説しています。
またこの調査結果の分析について実例を挙げて解説しています。
第5章では、「顧客不満足度調査」の結果を事業活動にどのように反映して活用するかについてCS活動で成果をあげている企業の事例を交えて解説しています。
またCSM活動(Customer Satisfaction Management)について、その意義を確認し、その経営に関わる品質を高める活動の進め方を解説しています。
またサービスの品質保証の確保が盤石な企業を確立すると説き、顧客不満足度調査を中核として、顧客と企業の発展的コミュニケーションを循環させていくフローを提示し結びとしています。
<<顧客満足に関する書籍>>
「ISOの本棚」のブログですでに紹介した以下のような『顧客満足』に関する以下の本がありますのでご参照下さい。
<<本書で何が学べるか>>
品質マネジメントの8原則で『顧客重視』の考え方について以下のように記載しています。
組織は、その顧客に依存しており、そのために、現在及び将来の顧客ニーズを理解し、顧客要求事項を満たし、顧客の期待を超えるように努力すべきである。
顧客満足度の水準が製品に関連する要求事項を満たしている水準を超えて高い水準になっているなかで、現在及び将来の顧客ニーズをどのように把握するかがCSの出発点になります。
本書では、今日の『収縮市場』下において、日本の消費者は、商品の魅力や値段の安さだけでは満足してくれないとして、…。
真の顧客満足の達成のためには、顧客の不満や潜在意識下の要望を『顧客不満足度調査』によりつかみ、それらを解決することが顧客の期待を超えることになり、企業の業績に結びつくと説いています。
<<まとめ>>
本書は、経営者やマネジャー、さらには、ISO 9001の活動を推進している企業関係者やCSに関心があるビジネスパースンに読んで頂きたい一冊です。
なお本書の目次は、以下の内容です。
第1章 変りつつある「顧客満足」の意識
第2章 「顧客『不』満足度調査」とは?
第3章 顧客不満足度のつかみ方
第4章 調査結果の読み方・捉え方
第5章 顧客不満足度の活かし方
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