先日は、四国の病院で、不妊治療を受けていた女性の体内に誤って別の患者の受精卵を戻した可能性があることが分かり、妊娠した女性が人工中絶する事態に陥ったと報道されています。


テレビでその医師が謝罪会見していましたが、医師は、これまでに1,000例に及ぶ体外受精を手掛けてきたベテラン。


医師が1人で作業をしていて、受精卵を培養していた容器を間違えたとのこと。


待望の妊娠との喜びが一転、苦渋の決断を迫られた夫婦の苦しみは、想像を超えるものがあります。


また芽生えた生命を摘み取った医療の責任は、極めて重いものになります。


同病院では、今回の問題を受けて以下のように安全マニュアルを整備したとのこと。


  1. 受精卵の容器は、必ずふたと下皿の両方に記名する。
  2. 1つの作業では、1人の患者の検体だけを扱い、必ず複数のスタッフで互いに確認する。

さて、本書の筆者も述べていますが、私たちは、家庭から勤務先へ行ったからといってがらっと変わるということはないと。


家では、のんびりしていている人も、職場へ行ったからといって緊張感は変わったとしてもものの見方、考え方ががらっと変わってしまうことはない。


家でする失敗は、勤務先でもしてしまいます。


私も恥ずかしいことながら、机の上で二通の封筒を用意し、中味を入れ替えて送ってしまうという失敗を経験し、他人事でなくこの病院のニュースを聞きました。


これは、本書の4章で取り上げている「錯誤」というヒューマンエラーになります。


本書の「まえがき」にありますが、家で醤油とソースを取り違えたというのと病院での患者の薬を取り違えてたというのといずれも同じヒューマンエラーに関わる「取り違え」です。


しかしヒューマンエラーによりもたらされた被害の種類と大きさが違うだけでヒューマンエラーの本質は同じであると述べています。


そのような人間のふるまい(行動)の本質を理解しなければ、そこに解決の糸口は見えません。


ヒューマンエラーについて、ヒューマンエラーを起こさないように何が危ないのか、どういうヒューマンエラーが生じる可能性があるかをシステムとしてしっかり評価し、メリハリの効いた対策が必要で、こうしたことをシステマチックに行うのがリスク管理とし、リスク管理の観点からヒューマンエラーにどのように対処していくかを解説している本を紹介します。


<<ポイント>>


ヒューマンエラー防止の実務解説書の改訂本


ヒューマンエラーを防止するために

  • 「ヒューマンエラーとは、何なのか?」
  • 「ヒューマンエラーは、どうして起きるのか?」
  • 「ヒューマンエラーをどのように防ぐか

等について体系的に整理し、事例に基づき解説しているヒューマンエラー防止対策の入門書です。


2003年刊行『ヒューマンエラー』の改訂版として、古い事例や図の差し換え・追加、コラムの追加・見直しされており、とくにリスク管理と、ヒューマンエラー防止技術の研究に基づき現場視点が強化されています。


本書:「ヒューマンエラー 第2版」です。


本書は、著者:小松原 明哲 先生にて、2008年12月に丸善 より発行されています。


ヒューマンエラー 第2版
丸善
発売日:2008-12-27
発送時期:通常24時間以内に発送
ランキング:34506
おすすめ度:5.0
おすすめ度5 人は必ずミスをする物です

<<本書のエッセンスの一部>>


本書の表紙カバーの折り返し部には、以下のように書かれています。


ヒューマンエラー」防止のための入門実務書

定評ある入門実務書の改訂版、リスク管理とヒューマンエラー防止技術の研究に基づき、より現場で役立つ内容を盛り込んだ。
日々、ヒューマンエラーと隣り合わせの人、ヒューマンエラーをなくしていくために学問ではなく実務技術を必要としている人、ヒューマンエラー対策に頭を悩ませている人たちへの、解決の道標となる必読の一冊。


本書は、12章から構成されています。


巻末には、さらに進んだ学習のための各章に対応した参考文献が掲載されています。


随所に枠囲みでコラムが挿入されいます。


コラムでは、「ハインリッヒの法則」、「フール・プルーフ」といった関連するキーワード、トピックス、留意ポイント、関連豆知識といった幅広い内容を取り上げており参考になります。


ざっと内容を紹介します。


1章では、「事故とヒューマンエラー
として、「事故」の定義の確認にはじまり、事故の原因の分類、ヒューマンエラーと事故との関係を考察し安心を確保するために必要な活動を整理しています。安全マネジメントの活動についてPDCAサイクルなど解説したうえで、動物園のたとえを取り上げ、リスクの定義やハザードの概念などを解説しています。


2章では、「ヒューマンエラーとその対策
として、ヒューマンエラーの種類について体系的に分類・整理しています。


またヒューマンエラーの要因について、SHELL[:S:ソフトウェア(software)、H:ハードウェア(hardware)、E:環境(environment)、L:周りの人たち(liveware),L:作業者本人(liveware)]m-SHELL[前記にm:マネジメント:manegementを加えた])、4M [man:人間要素、machine:設備等要素、media:環境要素、、management:管理要素](5M[前記にmisson:作業の目的の要素を加えた])の要因系について解説しています。、


そして、例えば結果系から見たヒューマンエラーについて以下の分類を取り上げています。


  • 個人の起こすエラー(『1.「無理な相談」、「できない相談的」なヒューマンエラー』、『2.意図しないヒューマンエラー』、『3.作業に必要な知識や技量が不足』、『4.違反』、
  • チームのエラー(『チームの意志不疎通』
  • 組織のエラー(『トップの識見による組織の不適切行為』

3章では、「できない相談
として、人間の能力の限界を超えることをさせるために生じるエラーを取り上げ、本人のL対策ではどうしようもない内容について事例を解説した上で、人間工学的な設計基準を活用などの「~にくい」ものをなくするといったエラー防止策について職場のバリアフリーなどの事例と共に解説しています。


4章では、「「錯誤」というヒューマンエラー
として、「取り違え型」、「思いこみ型」といったタイプの錯誤によるベテランになるほど増えるヒューマンエラーを取り上げ解説しています。事例をあげ、防止策の詳細を解説しています。またこの錯誤とは違った側面のミステイクについても行為の7段階説を紹介し言及しています。


5章では、「失念
として、ラプス(lapse)ともいわれる「~し忘れ」のヒューマンエラーを取り上げ解説しています。失念の以下の3つのパターンに分けて対策法も含めて具体的に詳解しています。


  1. 作業の主要部分の直前の失念
  2. 作業の主要部分の直後の失念
  3. 本来記憶の失念

6章では、「知識不足・技量不足のヒューマンエラー
として、作業を遂行するのに必要な知識や技能を備えていなかったために起こる初心者型のエラーについて、知識不足の場合と技能不足の場合の対策を交えて解説しています。


7章では、「「違反」
として、定められたマナーや規則を守らないために起こる初心者よりは「ちょいベテラン」がしばしば起こすタイプのエラーを取り上げ、初心者、ベテランが起こすタイプ、違反の特徴、違反を防ぐ対策について社会心理学のK(knowledge:知っている)、S(skill:スキルを持つ、A(attitude:前向きの態度)、B(behavior:行動できる)で、「A(態度)」の育成が重要と説いています。また「違反」対策で管理者の果たすべき役割・責務が重要になると強調しています。


8章では、「背後要因
として、背後要因について「作業遂行能力に影響を与える要因」と「作業遂行意欲に影響を与える要因」に区分し、その要因について考察し、どのように管理することが必要かを解説しています。


9章では、「チームエラーとCRM
として、チーム内での意志の不疎通などえチーム全員がトラブルやヒューマンエラーを見過ごす可能性を取り上げ(SHELLモデルのL-L接面の問題)考察しています。航空業界で重視されるコミュニケーション、チームマネジメントの事例について、CRM(Crew Resource Management)の訓練について概要とそこで重視されるスキルを解説しています。またCRMスキルに含まれる「状況の正しい認識」(Situational Awareness)について読みの甘さによるヒューマンエラー対策として詳細に解説しています。


10章では、「トップの姿勢と安全文化
として、トップ(社長だけでなく、工場長、事業所長、職長、班長などの上職者)の意識が現場に直接的・間接的に影響を及ぼす場合のヒューマンエラーを取り上げ解説しています。偽装の事例などを交えて、企業の風土、文化の重要性を考察しています。


11章では、「ヒューマンエラーをなくしていくために
として、ヒューマンエラーをなくすために事故やヒヤリハットの分析が必要であるとして解説しています。


事象の連鎖、ヒューマンエラーの分析手法(FTA、VTAなどを含むRCA(Root Cource Analyis)、SHELL(mーSHELL)、4Mなどと連動させた「なぜなぜ問答」で知られる連関図、インシデントレポートの作成の留意ポイントなどシート例など交えて解説しています。


12章では、「人が守る安全
として、人がエラーを起こすが逆に機転を利かせたりなどの優れた側面を備え、大事故を防止したり安全を守るのも人であるとの観点あkら人が守る安全について解説しています。J.Reasonのスイスチーズモデルを紹介し、不幸の重なりを防ぐために基本的なヒューマンエラー防止対策を適切に行うことの重要性を確認しています。また一人一人の人の能力を高めていくこと。KY(危険予知)と似た、航空業界のTEM(Threat and Error Management)の考え方を解説しています。


「ヒューマンエラーは人の”さが”」

「しかし許されない」

「ではどうするか?」

それぞれの立場で、一歩でも半歩でも前進しようとする、一人一人の地道で前向きな取り組みがヒューマンエラーを防止し、より一層、安全や品質を高める近道である。


と結んでいます。


<<ヒューマンエラーに関する書籍>>


「ISOの本棚」のブログですでに紹介した以下のような『ヒューマンエラー』に関する本がありますのでご参照下さい。



<<本書で何が学べるか>>


本書では、ヒューマンエラーを防止するために


  • 「ヒューマンエラーとは、何なのか?」
  • 「ヒューマンエラーは、どうして起きるのか?」
  • 「ヒューマンエラーをどのように防ぐか」

等について体系的に整理し、事例に基づき解説しているヒューマンエラー防止対策の入門書です。


ヒューマンエラー対策を考えている人には、役立つガイド本です。


<<まとめ>>


本書は、ヒューマンエラー対策の体系的で実務的な解説書として、ヒューマンエラーが大きなリスクを生ずる分野で活動されている人、現場でヒューマンエラー対策をどうすべきかを悩んでおられるビジネスパースンには、本書から解決のヒントが見込めるお薦めの一冊です


なお本書の目次は、以下の内容です。
1 事故とヒューマンエラー
2 ヒューマンエラーとその対策
3 できない相談
4 「錯誤」というヒューマンエラー
5 失念
6 知識不足・技量不足のヒューマンエラー
7 「違反」
8 背後要因
9 チームエラーとCRM
10 トップの姿勢と安全文化
11 ヒューマンエラーをなくしていくために
12 人が守る安全






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