QC七つ道具(グラフ、パレート図、特性要因図、チェックシート、ヒストグラム、層別、散布図、管理図:このように並べると八つ道具になります。一般には、七つ道具としては、グラフと管理図をまとめたり、層別を抜いたりしています。)についての解説の定番書がリニュアル改訂されて発行されています。
定番書というのは、読者の評価と支持があってロングセラーになるもの。
本書も初版が発行されたのが、1980年で今回のリュニュアルまでに約30年間、現場における問題解決の活動の教科書として支持されてきています。
我が国のQCサークル活動の生みの親で日本の品質管理の先駆的指導者であった石川 馨 先生が本書の初版の「発刊に寄せて」で以下のように述べています。
「簡単な、やさしいQC七つ道具は、20年くらい前にわれわれが弁慶の七つ道具になぞらえて命名したものです。この七つ道具で問題の95%は解決できるわけで、日本の企業の各部門で、またトップから現場まで広く使われており大きな効果をあげています。日本は工業で、QC手法、統計的手法を世界で最も活用している国で、特に簡便法の七つ道具の活用は世界一です。
(略)
QC手法はただ本で読んだり、講義を聞いただけでは役に立ちませし、その活用も上手になりません。私は、いつも碁・将棋と同じようにQC手法を勉強せよと言っています。すなわち、まずやさしい定石を少し覚え、詰め碁・詰め将棋で演習し、次に実践をやってみる。やさしい定石をある程度マスターしたら、次に新しい定石を覚え、演習・実践への活用を行い、これを繰り返していくのです。はじめから、すべての定石を覚えてから実践しようなどというのは机上の空論です。
QC手法も全く同じで、手法を全部知ってから活用しようなどという考え方は、間違いです。先ずやさしい手法の中でも、グラフ、パレート図、特性要因図、チェックシート、ヒストグラム、層別くらいまでを勉強して下さい。」
現在、当時とは環境が変わって、自ら問題を発見し、解決していくといった現場力が低下してきていると言われていますが、それに危機感を抱き、改めて現場力の強化に多くの企業が取り組んでいます。
その現場力の強化の観点からQC七つ道具が重要なツールであるという位置づけは、変わりません。
<<ポイント>>
QC七つ道具の各手法の作り方、書き方、見方、使い方を網羅した定番解説書。
また品質管理検定(QC検定)の2級・3級のための参考図書にもなります。
本書の「まえがき」で編者の細谷 克也 氏は、今回のリニュアル改訂のポイントとして以下の点をあげています。
- 本書だけでQC七つ道具のすべてを理解できる内容とする
- 手法は、やさしく解説し、初心者が理解できるようにする
- 作り方・書き方、見方、使い方をきちんと述べる
- 事例を新しくする
- 新JIS、新ISOに対応したものとする
本書:「やさしいQC七つ道具」です。
「現場力を伸ばすために 」との副題が付いています。
本書は、細谷克也 編集ならびに石原 勝吉 氏、廣瀬 一夫 氏、細谷 克也 氏、吉間 英宣 氏 の共著にて、2009年3月に日本規格協会より発行されています。
<<本書のエッセンスの一部>>
本書の帯には、以下のように書かれています。
日本品質管理学会認定品質管理検定(QC検定)
毎年3月9月
参考図書2級・3級対応
本書は、第1章~第13章までの各章と、巻末の「演習問題」と「演習問題の解答」とから構成されています。
手法の解説だけに、各ページともイラストを始め、手法に関係する図表が多数、挿入されており、QC七つ道具の作り方・書き方、見方、使い方について具体的にイメージしながら読み進めることができるように工夫されています。
ざっとした構成を紹介します。
第1章では、「QC手法総論」
と題して、QC手法の生かし方・使い方について、手法の活用はあくまで手段で目的は、現場の仕事を管理改善することといった確認にはじまり、現場の仕事、QC手法の活用が難しい理由など整理し、総合的な活用に向けての考え方について説いています。またQC手法を活用する上での心構えや留意点、意識づくり場作り、更には、QC手法の活用によって見込まれる効果なまとめています。
第2章~第11章までの各章が、「第2章 グラフ」/「第3章 パレート図」/「第4章 特性要因図」/「第5章 チェックシート」/「第6章 ヒストグラム[?] −作り方と見方−」/「第7章 ヒストグラム[?]」/「第8章 層別」/「第9章 散布図」/「第10章 管理図[?]」/「第11章 管理図[?]」との順でQC七つ道具の各手法についての解説となっています。
各QC七つ道具の手法について、詳細には、その手法の性質によって違いますが、概ね、その手法の適用、その手法の意図、その手法の作り方、その手法の見方、その手法の使い方、その手法の各種応用例など、その手法の活用上のポイントといったような構成のもとQC七つ道具の各手法の作り方、書き方、見方、使い方が具体的にわかりやすく学べるようになっています。
第12章では、「管理・改善の進め方」
と題して、現場の管理→改善→管理→改善→…といったサイクルで現場を進歩・向上させる活動の進め方とQC七つ道具の活用方法等を重点解説しています。ここでは、「現場の管理」とは、品質、生産量・納期、コストを決められた目標通り、ばらつきを小さく作り、同時に、モラール、安全、環境を確保していくこととし、「現場の改善」とは、品質、生産量・納期、コスト、モラール、安全、環境をよりよく向上させることとしそれらに関わる管理と改善においてどのようにQC七つ道具を活用するかを解説しています。
第13章では、「QC手法の活用事例」
と題して、<事例 1>の「工程能力の向上にQC手法を活用した改善事例」及び<事例 2>の「不適合品の低減にQC手法を活用した改善事例」というQC手法の二つの事例を取り上げ解説しています。
また巻末には、グラフ、パレート図、特性要因図、ヒストグラム、層別、散布図について14問の演習問題があり、それぞれの解答も掲載されていて、これらを解いて見ることで自分の理解度を確認できるようになっています。
<<QC手法の関係書籍>>
「ISOの本棚」のブログですでに紹介した以下のような『QC七つ道具』などの『QC手法』に関する本がありますのでご参照下さい。
-
QC七つ道具(新JIS完全対応版)
-
QC七つ道具100問100答
-
QC手法100問100答
-
管理者スタッフの新QC七つ道具
-
QC的ものの見方・考え方
-
QC数学のはなし
-
職場ですぐに使えるQCサークルの知っ得基本
-
実務に本当に役立つSQC教本
-
SQCの基本―問題の発見と解決の科学
-
図形思考力の強化に役立つ 演習新QC七つ道具―基礎と実践
<<本書で何が学べるか?>>
本書は、約30年にわたり、QC七つ道具を学ぶ定番の教科書として活用されてきた本のリニュアル版になります。
本書では、QC七つ道具と呼ばれている、グラフにはじまり、パレート図、特性要因図、チェックシート、ヒストグラム、層別、散布図、管理図までのQC手法について、それぞれの手法の考え方、何に使えるか、作り方、書き方、見方、使い方の手順、留意点、活用の方法等をやさしく解説しています。
QC検定2級・3級に対応しており、本書の巻末には、演習問題およびその解答も掲載されていてこれ一冊でQC七つ道具の基本をしっかりと習得することができます。
<<まとめ>>
本書は、品質管理検定(QC検定)の受験を考えておられる方、QCサークル活動の関係者、現場力を伸張させるためのQC七つ道具を着実に習得したい方には、しっかりとマスターしておきたい一冊です。
なお本書の主要目次は、以下の内容です。
第1章 QC手法総論
第2章 グラフ
第3章 パレート図
第4章 特性要因図
第5章 チェックシート
第6章 ヒストグラム[?] −作り方と見方−
第7章 ヒストグラム[?]
第8章 層別
第9章 散布図
第10章 管理図[?]
第11章 管理図[?]
第12章 管理・改善の進め方
第13章 QC手法の活用事例
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- 2009年03月25日
- QC手法、統計、QC7つ道具
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