解体新書』は、よく知られた杉田玄白(前野良沢なども関わったが)の著となるドイツ人医師クルムスの医学書"Anatomische Tabellen"のオランダ語訳『ターヘル・アナトミア』の有名な翻訳書。


ISOの関係では、インパクトの強かった本で、2001年7月に日本規格協会から発行された本で、「ISO 9001:2000:『解体新書」という本があります。


この本は、ISO 9001:2000の理解を助けるために、これまでの改正の経緯を検討して改正の目的、ねらいを明確にし、その上で2000年版と1994年版の相違を逐条的に、名外科医が鮮やかに解剖していくかのごとく、明快に、丁寧かつ詳細に解説されており評判が高い本です。


ものごとを理解するための視点としては、マクロに鳥瞰し全体を把握する視点とミクロに分析し細部まで詳細に明確にしていく視点との両方が必要です。


ISO 9001:2000:『解体新書」は、QMSを構築し、運用する組織の人が、規格について細部まで詳細に正確に理解し、主体的に判断し、規格の原則に基づいてQMSの設計を進めるためのガイドとして優れた書籍です。


2008年11月15日付けで、ISO9001の第4版のISO 9001:2008が発行されました。


新規導入の要求事項はない」とISOとIAFは、その発行前の共同コミュニケで公表しています。


本書の「はじめに」で筆者:岩本 威生 氏 は、今回の改訂に対して、規格利用者として、果たして何も対応しなくて良いかという点について、以下のような趣旨を述べています。


認証は、得たものの一向に品質は良くならないといった批判がグローバルにあることから、ISO、IAFは、今回の要求事項の明確化を図った。


JIS Q 9001:2008でもISO 9001:2008の規格の変更だけでなく、それ以外の翻訳も修正。


このような要求事項の明確化を図るための規格改正が必要となったということは、認証された組織や認証機関、それらを取り巻く利害関係者に、ISO 9001の理解を新たにすることを求めているとも言える。


その理解は、単に追補によって変化した規格の部分の対応では済まず、理解不足があったとすれば、その理解不足の原因を調べ、ISO9001が条項8.5.2で求めている是正処置の考え方での対応が必要


こういった対応のために、規格を作成したISOという機関の存在意義から認識を持つ必要があり、認証・認定制度を理解しておくことも重要


名前は、『新・解体新書』で、その考え方の基本は、前著の「解体新書」と同じと思われますが、内容と構成とは、全く新規な解説書となっています。


<<ポイント>>


Q&A形式を通して、その意図する狙いを深く認識し対応すべき手立てを示したISO 9001:2008JIS Q 9001:2008)についての解説書


岩本 氏と鏡の向こうの解説者の「イソノ」氏との対談形式で岩本氏が発するQに対して、「イソノ」氏がAで答えるといったスタイルでISOの歴史から始まり、ISO9001のこれまでの経緯を交え、ISO 9001:2008改正の経緯と考え方、修正点のポイントからISO 9001:2008JIS Q 9001:2008「品質マネジメントシステム−要求事項」)の0.1:序文から、8.5.3項の予防処置までの詳細な解説と認定・認証制度も取り上げて重層的に解説しています


本書:「ISO9001新・解体新書―2008年版対応」です。


本書は、著者:岩本 威生 氏にて、2009年3月に日刊工業新聞社より発行されています。


ISO9001 新・解体新書−2008年対応の本のjpg画像
日刊工業出版プロダクション
発売日:2009-03
発送時期:在庫あり。
ランキング:169467

<<本書のエッセンスの一部>>


本書は、11章から構成されています。すべての章の内容は、岩本氏と「イソノ」氏との対話のQ&Aにより構成されています。


またところどころに澤 庸子氏による人物漫画イラストが挿入されています。


解説は、追補の改正があるところだけでなく、追補等の改正が無かった条項についてもその意味の克明な解説がされていて、その条項が意図している意味が極めてロジカルに分かり易くかつミクロに掘り下げて詳しく解説されています。


ざっと構成を紹介します。


第1章では、「ISOの歴史とISO9001のこれまで
と題して、ISOの組織が成立した背景と経緯の解説に始まります。


次いでISO9001が制定されるに至った背景から、第三者適合性評価の歴史、EU市場統合と第三者適合性評価の関係、米国と日本の第三者適合性評価への対応、そして第三者適合性評価の国際整合化(ISO/IEC Guide61、62)の最新(ISO/IEC 17021)までの状況、さらにISO9000シリーズの第1回改正、第2回改正の概要が「ISO9001のこれまで」として解説されています。


第2章では、「ISO 9001の2008年改正
と題して、今回の2008年改正までの論議の経緯の解説に始まります。


そして、IAF-ISOの共同コミュニケを紹介しながら2008年版への移行の取り組みの考え方を解説しています。


またISO 9001:2008の翻訳JISのJIS Q 9001:2008の全般的な修正点について、「shall」訳の変更、「performance」の訳、「apropriate」の訳、「record」の訳、「conformity」、「identify」から「determine」への変更などといった詳細について解説しています。


以降、第3章から第10章までにおいて、ISO 9001:2008JIS Q 9001:2008)の「序文」から、「1. 適用範囲」、 「2. 引用規格」と「3. 定義」、「4. 品質マネジメントシステム」、「5. 経営者の責任」、「6. 資源の運用管理」「7. 製品実現」、「8. 測定、分析及び改善」までのすべての規格条項について、例えば、「追補が加えられたには何故か」、「修正部分」、「その項の意味と重要性」、「その項の狙い」、「意図している点」などについて原文に戻りながら克明にまさに新・解体新書に相応しくディテイルまで掘り下げて丁寧に解説されています。


ここが本書の主要部分になります。


例えば、7.3.1項では、こんなQです。


条項7.3.1では注記が追補されたようですが、この追補の意味も含めて、この条項の説明をして下さい。

Aについては、以下の順に解説しています。

  • (全般的に解説)
  • 次いで以下の項目を順次詳解。
  • 「「設計・開発」は、一語か」
  • 「プロセスの設計・開発の扱いは」
  • 「設計・開発の適用除外は」
  • 「明確化が求められている事項は」
  • 「グループ間のインターフェース」
  • 「設計・開発の計画の見直し」
    ……。

第11章では、「認定・認証制度について
と題して、最初に、第三者適合性評価の認証機関と認定機関の規制に関して、ISO/IEC17011:2004規格の序文を引用しながらその仕組みを解説しています。


また認証機関が行う「適合性の評価」と認定機関が行う「力量の評価」はどのようなものか、認定審査員の力量確保などを取り上げ解説しています。


またISO/IEC17021:2006規格の序文など紹介しながら認証制度の目的、認証の[desired outcome−期待される結果」についてのIAFでの議論の概要、審査員の力量確保の仕組み、最近の企業不祥事とISO9001の認証制度といったテーマを取り上げて認証制度について解説しています。


<<ISO 9001:2008の関係書籍>>


「ISOの本棚」のブログですでに紹介した以下のような『ISO 9001:2008』に関する本がありますのでご参照下さい。



<<本書で何が学べるか?>>


本書は、岩本 氏と鏡の向こうの解説者の「イソノ」氏との対談形式で岩本氏が発するQに対して、「イソノ」氏がA:答えるといったQ&Aスタイルを通して、ISO 9001:2008の規格が意図する狙いを深く認識し、適切に対応すべき手立てを分かり易く解説しています。


本書では、まさに新・解体新書の名にふさわしくあくまでロジカルに規格に忠実にISO9001:2008JIS Q 9001:2008)の詳細を掘り下げて解説しています。


<<まとめ>>


本書は、単にISO 9001:2008の変更の表面に見えているものだけでなく、関連条項の正確な理解も含めてその条項の適正な理解のために規格の意味から適切な活用までを詳しく解説しています


本書は、ISO 9001を有効に活用するために、ISO9001についてこの機会にしっかりと理解したいとのニーズを持つISO9001関係者には、お薦めの一冊です


なお本書の主要目次は、以下の内容です。
第1章 ISOの歴史とISO9001のこれまで
第2章 ISO 9001の2008年改正
第3章 「序文」について
第4章 「1. 適用範囲」について
第5章 「2. 引用規格」と「3. 定義」について
第6章 「4. 品質マネジメントシステム」について
第7章 「5. 経営者の責任」について
第8章 「6. 資源の運用管理」について
第9章 「7. 製品実現」について
第10章 「8. 測定、分析及び改善」について
第11章 認定・認証制度について






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