1970年に大阪で開催された世界万国博覧会は、半年間(1970年3月15日(日)~9月13日(日))の会期において「人類の進歩と調和」のテーマで史上最高の77カ国の参加のもと、6421万8770人というなんと日本の人口の半分以上が会場を訪れたビッグイベントでした。


10年一昔といいますが、あの万博からもう40年が経過しようとしています。


万博での私にとって印象深い想い出は、その前年に在阪の会社に入社し、三角形のソ連館のレストランで配属先の新入社員の歓迎会をして頂いたことです。


その時のことが、昨日の出来事のようにくっきりと思い出されます。


1969年というのは、アメリカのアポロ12号が1969年11月20日に月面に着陸した年になります。


そして、万博のアメリカ館のよびものというのがアポロがその際に持ち帰った『月の石』でした。


私は、万博には、2回行きましたが、多くの建築家やデザイナーや芸術家の造形、仕掛け、演出、情熱が結集され、計り知れない大きな魅力と熱気に溢れるイベントでした。


この歴史的な大イベントが実は、たった一人の当時の元通産官僚の夢から生まれたということを知っている人は、少ないかも知れません。


その元通産官僚こそがあのベストセラー作家、イベントプロデューサー、経済企画庁長官、人気経済評論家の堺屋 太一 氏なのです


物理の静止摩擦力ではありませんが、止まっている大きな質量の物体を動かすには、より大きな力を要し、ある限界値以上の力でないと物体は動きません。


同様に歴史的な大イベントであればあるほどそれを動かすには、大きな障壁を乗り越えるための確かなビジョンや大いなる情熱とエネルギーが必要になります。


70年万博を生み出すものとなった堺屋 太一 氏の夢は、どのように生まれ、育まれ、実現に向けて動き出していったのかなど尽きない興味が湧いてきます


夢に情熱を傾け、構想化し、行動し、成功に導いた堺屋 太一 氏の半生を描いている本を紹介します


<<ポイント>>


芥川賞作家の三田 誠広 氏の書き下ろしによる堺屋 太一 氏の半生。


万博に関する話題だけに留まらず、200万部を超えるヒットとなった「油断!」や「団塊の世代」がどのようにして誕生したか。


三田 誠広 氏が足掛け3年に及ぶ長時間の取材のもと、堺屋太一氏の半生の実像に迫った一冊です。


歴史から学び未来を予測する大局的な視点は、どのように養われてきたか


、などこれからの世界を生き抜くための学ぶべきヒントが満載されています。


とくに若い世代の人に読んで頂きたい一冊です。


本書:「堺屋太一の青春と70年万博」です。


本書は、著者:三田 誠広 氏にて、2009年3月に出版文化社 より発行されています。


堺屋太一の青春と70年万博
出版文化社
発売日:2009-03-24
発送時期:在庫あり。
ランキング:28214
おすすめ度:5.0
おすすめ度5 堺屋氏の情熱

<<本書のエッセンスの一部>>


本書の帯には、以下のように書かれています。


ベストセラー作家、イベントプロデューサー、経済企画庁長官、人気経済評論家

「堺屋太一」は、なぜ誕生したのか?!

芥川賞作家「三田誠広」がその実像に迫る!!


本書の「なぜ堺屋太一を書くのか」と題したプロローグで、これまで空海、日蓮、西行との順で書いてきたのに「堺屋太一」氏になったのかという点に関して筆者は、以下のように述べています。


「私は、何よりも自分の生きた時代というものに興味を持っている。私が歴史に興味を持つのも、歴史が現在とつながっているからだ。

わたしはたまたま日本という国に生まれたわけだが、その国は長い歴史と文化をもっていた。

だからこそ、その歴史や文化を知り、自分なりに解釈して、新しい物語を紡ぐことに、自分がこの国に生まれた意味を見いだしたいと念じている。」


また筆者自身も「団塊の世代」(この言葉は、堺屋太一氏の命名)として半生を歩んできたこと、そして堺屋氏の途方もない夢がいかに実現されたかということが、日本の近代史を見すえる上でも重要な問題でこれからの日本の展望を見すえる上でも大きな示唆が得られるといった点に加え、堺屋氏が通った幼稚園、小学校が筆者と同じということで不思議な縁を感じたことなどがあったためとのことです。


堺屋太一の先祖は堺屋太一だった」と題した第一章からはじまり、昭和10年7月13日生まれの本名:池口小太郎である堺屋太一氏のDNAと生い立ちが明らかになっていきます。


実家は、奈良の御所(ごせ)市にあり、ルーツは、安土桃山時代からの代々の唐物商、両替商、木綿問屋などを営んできた商家。


御所に本拠を置いたのは周辺の土地で木綿の栽培をしていたため。


実は、豊臣秀吉が大阪城を築いた時代に、堺から大阪に拠点を移して商売を始めた先祖の名前が堺屋太一とのこと。


【油断!】の出版の際の諸般の事情から選んだペンネームがこの先祖の豪商の名前…といった物語が展開していきます。

堺屋太一氏の子供のときのエピソード。


弁護士であった父から、小学校に入学した際に月に5円の生活費が与えられたとのこと。


学用品も、小遣いもすべてそれで賄うというもの。


自分の裁量で生活することを学ぶと共に、お金の使い方というものを身を持って体験させるというもの。


これには、太閤秀吉の時代以来の商家の伝統を伝えたいとの父の強い思いがあったからだろうと著者は推察しています。
またこれに対して堺屋太一はひたすら節約に努め、お金の価値や本質を学んでいったとのこと。


また父からは、歴史に関する話を聞かされることが多く、いつの間にか歴史好きになっていった。


といったエピソードを紹介しながら、作家:堺屋 太一 の素地はこの時代に作られたことは間違いないとしています


こういった展開で、成長の過程で影響を及ぼした関係者との種々のしがらみを解き明かしながら堺屋太一氏の青年までの像が明らかになっていきます。


堺屋太一は、受験勉強のために東京の予備校に入るが、そこで堺屋氏のその後の人生に多大な影響を及ぼすことになるドイツ人女性のべート・マイジンガーさんと出会います。


都電のなかでの偶然の出会いから始まる数々のエピソードが語られていきます。


一回り年上になるベートさんから人生の先輩としていろいろの教えを受けることになります。


経済観念、投資、金融リテラシー、時代の先読み力といった堺屋太一がもともと備えていた資質にインパクトを与え、巧みに共鳴して更に大きく開花することをアシストしていったと言った方が適切かも知れません。


また浪人中に建築事務所で勉強し、一級建築士並みの知識を備え、駒場の学生会館の建築設計コンペで一等賞をとるなどの建築への興味が強かった堺屋太一が東大に合格した後になぜ経済学部に進み、さらになぜ進路として通産省を選んだのかといったことがエピソードを交えて語られていきます。


そして話は、70年万博開催にこぎ着けていくまでのクライマックスへと展開していきます。


ここでは、例えば、こんなやりとりが紹介されています。


『万博の話を始めようとすると、局長は怒っている。

「きみは、ずいぶん勝手なことをやっているようだな」

厳しく叱責された。

「自分の仕事に集中できないなら、辞表を書くことだな」

それ以後、堺屋太一は何度も上司から、辞表を書けと迫られることになる。』


さらに大ベストセラーとなった『油断!』や『団塊の世代』が誕生に至った秘話、夫人との出会いなど、堺屋太一の半生が映画のシーンを見るようにリアルに語られていきます。


結びの「幼き夢に生きる」と題した最終章で筆者は、以下のように述べています。


堺屋太一の人生の、道筋をたどると、偶然の要素が多いようにも見えるのだが、与えられた局面で堺屋太一がつねに創造的な企画を立て、戦略を練り、ベストを尽くして努力していることがわかる。」


また堺屋太一さんとのインタビューの機会に座右の銘を尋ねたところ、「稚夢」、「鬼迫」、「人才」、「仏心」というもので特に大切にしていることが「稚夢」だったとして以下のように結んでいます。


子供のような夢を見て、人が聞いたらアホかと思うようなこと(稚夢)を一生懸命やる(鬼迫)こと」が人生の楽しみだという、そして「自らの才能を信じ(人才)、感謝の気持ち(仏心)をもって処する、」という。そして70歳を超えたいまでも継続中だと。2010年に向けて上海万博にパビリオンを出そうとしているとのこと。…


<<まとめ>>


本書は、稚夢に情熱を傾け、創造的に計画し、綿密に戦略を練り、大胆に悔いなく行動し、成功に導いた堺屋 太一 氏の半生の真実を描いています


本書は、団塊の世代の人たちには、自分たちがたどってきた時代の軌跡を振り返らせてくれる一冊です。


またこれから社会に出る、または、社会に出て間がないといった若い世代の人たちには、これからの自分の歩みをどう選択していくかを考える上で、是非とも読んで頂きたい一冊です。


なお本書の主要目次は、以下の内容です。
プロローグ なぜ堺屋太一を書くのか
第一章 堺屋太一の先祖は堺屋太一だった
第二章 運命を左右するドイツ人女性との出会い
第三章 なぜ通産省を選んだのか
第四章 70年万博開催はまず馬の糞探しから
第五章 400万円の投資が70年万博を生んだ
第六章 6400万人の記憶
第七章 リアリズムが生んだ近未来予測小説
第八章 謎を生んだ匿名作家 200万部の大ヒット
第九章 「この塊は何だ?」がベストセラーに
第十章 先送りされた『団塊の世代』の未来予測
第十一章 幼き夢に生きる
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