「彼を知り己を知れば、百戦して殆うからず」
というのは孫子の謀攻篇の必勝の極意を説いた有名な言葉ですが、彼を知る前に己を知ることはなかなか難しいもの。
自分の性格というのは、変わらないと思っている人は多いが、人の性格は、けっこう変わる。
また性格だけでなく、考え方や行動も変わるとし、その理由は、もともと脳というのがとても変わりやすい器官であるため。
とし、
「人間はどのように変わるのか 」
「どうすれば自分を変えることができるのか 」
をテーマに石浦 章一先生(現在東京大学・大学院総合文化研究科教授。理学博士。専門は分子認知科学。アルツハイマーなどの難病の研究、人間の知能や性格、感情の分子レベルの解明をライフワークに研究活動中)が「やわらか脳を作るコツ」を説いている本を紹介します。
自分で自分の可能性を規定してしまうのがいちばん良くないとし、最新脳科学の知見に基づいて、時代や環境に合わせて自分を変え逞しく生き抜いていくためのノウハウを説いています。
<<ポイント>>
最新の脳科学に基づき、「打たれ弱い自分」を変えていく性格改造のコツや、ストレス社会を生き抜く「やわらか脳」の作り方を伝授している本。
脳は常に変わろうとしているので、習慣を変えたり行動を変えたりすることで、自分で意識して「変わろうとする力」をナビゲートすれば良い。
性格は、脳内物質「ドーパミン」と「セロトニン」の分泌によって決まり、
しかも、この物質は遺伝しているとのこと。
性格は、少しずつ変えていく方法がある。
そのコツは全部で11項目
上記の11のコツを実行に移すときに必要な脳が「やわらか脳」
この方法で脳を変えれば、性格が変わり、
性格が変われば、考え方や行動も変わり、
自分という人間を自分でかえていくことができる
と説いています。
本書:「「やわらか脳」をつくる11のコツ」です。
「最新脳科学で解き明かす」
「性格を自由に変える!」との副題が付いています。
本書は、著者:石浦 章一先生にて、2009年3月にフォレスト出版より発行されています。
<<本書のエッセンスの一部>>
本書の帯には、以下のように書かれています。
1週間であなたは変わる!
ストレス社会を生き抜くためには、
先ず自分の「脳のクセ」を知ろう。
巻頭折込 「あなたの「脳のクセ」を知るための
テスト(75項目)」で今すぐチェック!
本書は、4つの章と最新脳科学からみた「遺伝のからくり」おもしろコラム集からなる「性格・行動が親に似る人・似ない人」とした付章とから構成されています。
ざっとした内容を紹介します。
本書は、まず巻頭折込の「あなたの「脳のクセ」を知るためのテスト(75項目)」をチェックしてみるところからはじまります。
チェック表の結果の集計から、<新規探索傾向:脳内物質のドーパミンの分泌傾向が影響する性格>(「探求心」、「衝動性」、「浪費癖」、「秩序の無視」)と<損害回避傾向:脳内物質のセロトニンの分泌傾向が影響する性格>(「悲観傾向」、「リスク回避傾向」、「人見知り傾向」、「疲れやすさ」)との区分から自分の「脳のクセ」について、前記の8つの軸を用いたレーダーチャートに描き自分の性格傾向(骨格部分)を把握できるようなものとなっています。
第1章では、「変わる脳・変わらない性格」
と題して、 巻頭折込の性格のクセをつかむテストについて本書で採用しているクロニンジャーの7因子説の分類の解説などを交えて、人の性格の骨格部分にあたる新規探索傾向の特質の「探求心」、「衝動性」、「浪費癖」、「秩序の無視」及び損害回避傾向の特質の「リスク回避傾向」、「人見知り傾向」、「疲れやすさ」といった内容を脳科学的な観点から解説しています。
自分の性格の基礎となっている部分を自覚することから「自分を変える」段階に進むことができるとしています。
第2章では、「性格で変わる!ステップアップと人間関係」
と題して、人の性格には、「変わりにくい部分」(骨格)と「変わりやすい部分」があるとし、その「人の性格の変わりやすい部分」(肉付き)について、後天的に作られる性格には、「上昇志向」、「人づきあいの協調性」、「自己超越性」があるとして、そういった面の性格の改造をどのようにして行っていけばよいかを説いています。
とくに「上昇志向」について、「自立心」といった5つのポイント、また「協調性」については、「正義感」といった5つのポイント等について変えることでステップアップや人間関係の改善につながり、これらをどう肉付けをしていくかは、あなた次第と説いています。
第3章では、「「打たれ弱い自分」を変える 性格改造11のコツ」
と題して、現代のストレス過剰社会を打たれ強く:ストレスに強く生き抜くためにはどうすればよいかを説いています。
カギになるのは「自信」であるとし、自分で自分の脳をリフォームしていくための11のコツ(「1.生活リズムを変える」~「11.あせらずに余裕を持つ」)を説いています。
このノウハウを試そうという方は、性格が変わったら自分にきっと訪れるであろう「さまざまな成功や幸せ」を具体的に思い描くことが有効としています。
第4章では、「「やわらか脳」で「変わりやすい自分」になる!」
と題して、 自分の脳を変えるために備えておきたい重要な条件である「やわらか脳」について、「やわらか脳」とはどういうものか、またなぜ重要なのか、さらにそうしたらこの「やわらか脳」をつくることができるかを解説しています。
このどんなことにも臨機応変に対応しうる問題解決能力の高い「やわらか脳」について、前頭葉の中心にある情報処置中枢の「ワーキングメモリー」が重要な役割を担っていること、ワーキングメモリーは年をとってからでも鍛えることができること、このワーキングメモリーを鍛えるための「新しいことにチェレンジする」~「とにかく、いつもと違う道を選ぶようにする」といった具体的な方法を伝授しています。
<<本書で何が学べるか?>>
本書では、先ず自分自身の性格・気質を把握するためのチェックから始まります。
これにより自分の遺伝的影響の強い因子がわかります。
そして、最新の脳科学に基づく、自分の性格を変える具体的な11の方法などを説いています。
またどうしても過剰なストレスにさらされてしまう現代社会を逞しく生き抜くために、「臨機応変に対応しうる、問題解決能力の高い脳」である「やわらか脳」をどうやってつくったらよいかなど解説しています。
さらに最新脳科学からみた「遺伝のからくり」なども解説しています。
<<まとめ>>
本書では、どんな時代にも適応してしなやかに生き抜いていく逞しい自分に変えていくための方法が説かれています。
ストレス社会にも負けることなくタフにしなやかに生きていくために読んでおきたい一冊です。
なお本書の主要目次は、以下の内容です。
(巻頭折込)まずチェックしてみよう!あなたの「脳のクセ」を知るためのテスト
はじめに 脳は常に変わろうとしている
第1章 変わる脳・変わらない性格
(自分の性格の「屋台骨」をつかむことから始めよう)
第2章 性格で変わる! ステップアップと人間関係
(自分の性格は自分の力で変えられる)
第3章「打たれ弱い自分」を変える 性格改造11のコツ
(自分で脳をナビゲートすれば「自分」が変わっていく!)
第4章 「やわらか脳」で「変わりやすい自分」になる!
(時代を生き残るための「しなやかさ」を身につけよう!)
付章 性格・行動が親に似る人・似ない人
(最新脳科学からみた「遺伝のからくり」おもしろコラム集)
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- 2009年05月07日
- ビジネス、自己啓発、スキルアップ | 脳科学
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