日本品質管理学会(JSQC)が競争優位を保つ基盤としての”質”の意義を再認識し、実践に活かしていくとの観点から”質”に関わる基本的な概念や方法を取り上げて解説するシリーズの【JSQC選書】で【アフェクティブ・クォリティ】をテーマ取り上げている最新の一冊について紹介します。

本書の「まえがき」で筆者が本書の目標とするポイントについて以下のように述べています。


人に良い感情を起こす」、「良い感情を経験してもらう」という考えを一つの大切な「質」として企業経営の中で、あるいは社会の中で認識していただくことを目標にしています

私たちは感情を意味する英単語affectから、この「」をアフェクティブ・クオリティと読んでいます

(略)

しかし、前世紀から今世紀にかけての合理性重視、コスト削減優先の風潮の中で忘れられかけたこの価値をもう一度取り上げ、その大切さをもう一度議論することで、むやみやたらに削減してしまってよいものでない、それどころかこれからの製品・サービスづくりの中で重要な競争力になり得るものだといいうことを、皆さんに今一度考えていただきたい。

そう思ってこの本を書きました。

(略)

この本を通じて皆さんに問いかけたいのは、お金をかけたデザインの必要性でも、高級な素材を使うことの重要性でもなく、ただ一つ「人間の感情に思いを及ぼす」という考え方の持つ価値です

お客さんにどんな感情をもってもらおうかと考えることができたら、それを実現する方法は必ずしもお金をかけることばかりではありません。

茶道ではお客さんをもてなすのにお金をかけて贅沢なことをしろとは教えていないはずです。お客さんに接する言葉一つ、表情一つでお客さんの感情経験を劇的に変えることもできるのです。


<<ポイント>>


これからの製品・サービスづくりの中で、重要な競争力になり得る概念である「アフェクティブ・クォリティ」の解説書。


ユーザーがその製品を手に取ったときの感じてもらえる感動や興奮。


そのような感情を引き起こしたり、顧客の感情を考えるという価値観を、「アフェクティブ・クォリティ」と呼び、


本書では、「アフェクティブ・クォリティ」の考え方を製品・サービス・経営に生かす手法やアフェクティブな製品づくりを実現した企業の実例を解説しています。


また「アフェクティブ・クォリティを創造するための考え方とツールやそのために必要な組織戦略などを説いています。


本書:「アフェクティブ・クォリティ」です。


感情経験を提供する商品・サービス」との副題が付いています。


本書は、(社)日本品質管理学会の監修、ならびに著者:梅室 博行先生にて、2009年4月に日本規格協会 より、「JSQC選書」のシリーズの6として発行されています。


アフェクティブ・クォリティ―感情経験を提供する商品・サービス (JSQC選書)
日本規格協会
発売日:2009-04
おすすめ度:4.0
おすすめ度4 新しい「品質」の定義を考える機会に
おすすめ度4 学術書というよりは新しい考え方の枠組みを提唱する本
おすすめ度4 製品やサービスに携わる全ての人に読んでもらいたいです。

<<本書のエッセンスの一部>>


本書の帯には、以下のように書かれています。


その製品を手に取ったときの感動、

その車を運転するときの興奮---

あなたの製品・サービスはどんな

感情経験をくれますか?


本書は、6章から構成されています。


本書では、写真や概念図などの図表を交えて、アフェクティブ・クォリティの本質、考え方から先進企業の取り組み事例、さらには、それを組織のマネジメントまで展開したアフェクティブ・マネジメントに基づく未来ビジョンまでを解説しています。


また2、3、4、5章の終わりには、「コラム」欄が挿入され、ここでは、例えば、『「日本品質」の捉えられ方』といった関連のエピソード等が取り上げられています。


ざっと内容を紹介します。


第1章では、「 序論―競争力としての「アフェクティブ」
と題して、感情が呼び起こされる小さな瞬間についての身近なキッチンでの日常的な例や、iPhoneの例など取り上げながら、「感情への配慮」が新たな「」としての競争力になる価値観となり得ることを説いていきます。


 これは、本来は、日本流の「おもてなし」といった伝統的な競争力であったにもかかわらず、近年、コスト重視の潮流のなかで振り返られなかったので、これを復権させることが新たな競争力になるとの観点が説かれ、またこの章では、本書の全体構成についても概観するという内容にもなっています。


第2章では、「安全・信頼・ユーザビリティ・その次に来るもの
と題して、これまでの製品づくりやサービス提供について、とくに従来の品質管理が目指した安全・信頼、そして人間工学的ユーザビリティといった概念を振り返り、その貢献と限界といった点等を整理しています。


 またそこで欠けていたものは何かを分析し、「楽しさ」、「喜び」、「美しさ」といった方向性ととくに本書で重視する「感情経験」のキーワードが着目されてきていると紹介しています。


第3章では、「感情と愛着―affectからaffectionへ
と題して、大脳辺縁系などのモデルを交えて人間にとっての感情の意味から感情研究に基づくその歴史的な位置づけを総括し、感情研究が活発化してきている背景を解説しています。


 また「アフェクティブ」のコンセプトがどういうものかを提唱し、なぜいま感情が重要なのか、さらに感情を喚起する質である「アフェクティブ・クォリティ」の考え方について解説しています。


第4章では、「アフェクティブ・クォリティを読み解く考え方とツール
と題して、「アフェクティブさ」をどうやって評価するかといったアフェクティブ・クォリティを取り扱う上で必要な認知心理学的な考え方やそこで用いるツールについて解説しています。


 ここでは、「アフェクティブさ」の評価のための製品・サービスの原因系の評価感情反応の結果系の評価のモデルと考え方、指標、また本能的感情と内省的感情といった感情の階層のレベル、感情の持つ合理性、ユーザ・エクスペリエンスの中の感情をとらえる4つのスレッドと6つのフェーズなどを詳解しています。


第5章では、「アフェクティブ・クォリティをつくり出す―デザインからブランド戦略まで
と題して、アフェクティブ・クォリティを実際につくりだすために、どのように実践すればよいかとの観点から「感性品質」に取り組む自動車会社(マツダ、日産、レクサス)、家電製品メーカ(東芝、プラマイゼロ)の事例を横断的に取り上げそこからどのようなことを学ぶべきかを論じています。


 またアフェクティブ・クォリティがもたらす感情経験、アフェクティブ・クォリティを実現するための組織戦略の必要性、アフェクティブさインスティテューションアフェクティブ・クォリティの限界といった観点からアフェクティブ・クォリティについて論じています。


第6章では、「アフェクティブ・マネジメント
と題して、Apple社のiPodを例にアフェクティブという考え方・価値観が組織をマネジメントする上でも重要な価値観になるとして、そのような価値観を基軸としたアフェクティブ・マネジメントの考え方を提示しています。


また本書の「アフェクティブな社会に向けて」と題した「あとがき」で以下のような点を改めて強調してします。


アフェクティブとは、決して新しい考え方ではなく、日本人が伝統的に受け継いできた「もてなし」:「相手に良い感情をもってもらう」という価値観の復権であり、


市場原理主義」、「コスト削減第一」的な潮流に埋もれてしまい人々からほとんど省みられなかった問題の再考になる


とした上で、


そのような社会は、間違いなく、人に優しい、ストレスの少ない、住みやすい社会であり、本書での議論が目指すところはそんな社会である


としています。


<<本書で何が学べるか?>>


本書では、ユーザにとって望ましい感情を引き起こす、また顧客の感情を考えるという価値観について、「アフェクティブ・クォリティ」と呼び、これからの製品・サービスづくりに必要な新しい“質”として提示し、「アフェクティブ・クォリティ」の考え方を製品・サービス・経営に生かす手法やアフェクティブな製品づくりを実現した企業の実例を解説しています


<<まとめ>>


本書は、これからの製品・サービスづくりに必要な新しい“質”として、「もてなし」、「相手によい感情をもってもらう」といった人の感情の側面に十分に配慮した商品・サービスである「アフェクティブ・クォリティ」の概念について体系的に解説しています


本書は、新たな品質論としての切り口になりますが、これからの時代の商品-サービスのあり方を考える上で重要な方向性を論じており、経営トップからマネジャーといった立場の方々には是非読んで頂きたい一冊です


なお本書の主要目次は、以下の内容です。
第1章 序論―競争力としての「アフェクティブ」
第2章 安全・信頼・ユーザビリティ・その次に来るもの
第3章 感情と愛着―affectからaffectionへ
第4章 アフェクティブ・クォリティを読み解く考え方とツール
第5章 アフェクティブ・クォリティをつくり出す―デザインからブランド戦略まで
第6章 アフェクティブ・マネジメント






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