Excelの機能「ソルバー」を活用し、さまざまな「終わりの言葉」のための多変量解析の方法・手順を解説している本を紹介します。


本書の「まえがき」で筆者は、「現代社会は、客観的なデータに基づいた分析を実行できる能力が重要で、日常生活から企業活動において至るところでデータ処理、データ分析を実行できることが強く望まれている。」とし、


そして、本書の目的は、読者が多変量解析の各手法を使いこなせるようにすることであるとした上で以下のように述べています。


「本書では、特定の現象に影響を及ぼしている変数が何なのか探ろうとするとき、変数と変数の因果関係を明らかにし、管理・統制を行うための方針や戦略を「終わりの言葉」として述べたいときに用いると有効な手法について解説した

そして、「終わりの言葉」のための多変量解析手法を上手に使いこなせるようになるために、それぞれの手法の概念、使い方、結果解釈の仕方を、論理的に、理解しやすく解説することを目指した。

(略)

本書では、「終わりの言葉」のために効果的な各手法を取り上げ、予測や回帰を行い、変数と変数との因果関係を明らかにし、管理・統制を行うためにはどのように活用したらよいかを解説する。

解説の際には、誤解を招くことを避けるため、最低限の数式は用いるが、なるべく図や言葉で手法のイメージを伝えるようにした。

また本書では、ほとんどの市販のコンピュータにインストールされている表計算ソフトであるExcelの機能(Excel関数などによるセル上での計算、グラフ機能、分析ツール、ソルバー)を活用して、自宅や大学、会社を問わず、身近な環境で多変量データを処理・分析するための手順とした

特に、最適化問題を解くためのExcelの無料アドインツールであるソルバーを活用することで、Excelのマクロやアドインソフトを使わずに、各手法をExcel上で実行し、実際に各手法を活用しながら概念を理解することを目指した。」


なお「はじめの言葉」を対象とした「ソルバー多変量解析-ポジショニング・セグメンテーション編-」は、本書の姉妹編として、2009年9月に発売予定とのこと。


<<ポイント>>


Excelの「ソルバー」の機能を活用した多変量解析因果関係分析・予測手法)の入門書。


本書の、最初の箇所で、Excelに標準搭載されているデータ分析の「回帰分析ツール」と「ソルバー」とで実行した回帰分析のアウトプットの結果を比較し、ソルバーの特徴や利用法、本質的な意味等について概観した上で、ソルバーを用いての「終わりの言葉」のための各手法の手順を解説しながら実行し、考え方や仕組みについて解説するというスタイルになっています。


本書では、方針や戦略を導いて締めくくる「終わりの言葉」のための手法(因果関係分析・予測手法)に当たる


  • 単回帰分析
  • 重回帰分析
  • ロジスティック回帰分析
  • 判別分析
  • 数量化理論1類
  • 数量化理論2類
  • 正準相関分析
  • コンジョイント分析

を取り上げ解説しています。


本書:「Excel ソルバー多変量解析」です。


因果関係分析・予測手法編」との副題が付いています。


本書は、監修:長沢 伸也 教授、ならびに著者:中山 厚穂 准教授にて、2009年4月に日科技連出版社 より発行されています。


Excelソルバー多変量解析―因果関係分析・予測手法編
日科技連出版社
発売日:2009-04
発送時期:在庫あり。
ランキング:122670

<<本書のエッセンスの一部>>


本書の表紙カバーの折り返し部には、以下のように書かれています。


本書では、Excelの機能「ソルバー」を活用し、さまざまな多変量解析を行う。

ソルバー」をフルに活用すれば、「分析ツール」だけではできないような多変量解析も、マクロ機能や高価な専用ソフトを使わずにExcelだけで可能である。

因果関係分析・予測手法編」では、方針や戦略を導いて締めくくる「終わりの言葉」のための手法に当たる単回帰分析、重回帰分析、ロジスティック回帰分析、判別分析、数量化理論1類、数量化理論2類、正準相関分析、コンジョイント分析を網羅し、解説した


本書は、8章から構成されています。


Excelの機能「ソルバー」による解析手順などで、パソコンでのExcelのキャプチャー画面に1、2、3、4、…といった番号付きでクリックする操作手順が詳細に取り上げられるような分かり易い説明となっています。


また本書のExcelシートのデータについては、出版社のサイトからダウンロードできるようになっています。


ざっと章を追って概要を紹介します。


第1章では、「多変量解析の概要
と題して、データの形式と型の説明にはじまり、次いで変量データの解析方法の準備事項として、ヒストグラムにグラフ化してデータを視覚化して捉える方法と基本統計量により計量的に捉える方法についてExcelのピボットテーブルからグラフ化、またアドインの「データ分析」の「基本統計量」を用いた実施例、散布図の作成、ピアソンの相関係数の算出に関する実施例を通して手順を解説しています。


また多変量解析法は、データの形式から


  1. 目的変数(外的基準)を持つ手法:「終わりの言葉」の手法
  2. 目的変数を持たない手法:「始めの言葉」の手法

があるとまとめています。


第2章では、「単回帰分析
と題して、回帰分析とは、一つもしくは複数の変数(説明変数)を用いて1つの別の変数(目的変数)を説明、予測、管理するための手法とし、ここでは、説明変数が1つの場合の単回帰分析を取り上げ解説しています。


実施例を用いて、散布図で相関を見た上で、Excelの「データ分析」の「回帰分析ツール」及び「ソルバー」により単回帰分析を実施する手順を解説しています。


また回帰分析ツールソルバーで決定係数を求める手順、回帰係数を検定する手順、残差の検討手順、予測式に基づく予測手順を比較して実施し、解説しています。


さらにソルバーを用いての残差平方和でなく残差の絶対値の和を最小化して予測値を求めるロバスト回帰分析の手順を「アンスコムのデータ」の例題とともに解説しています。


第3章では、「重回帰分析
と題して、複数の説明変数を用いて目的変数を予測するための手法の重回帰分析について解説しています。


売上と売上に対する影響要因の仮想データ(売り場面積、駐車可能台数、競合店舗数など)の事例について重回帰分析の考え方、仕組み、結果の解釈等について単回帰分析とはどのように異なるかといった観点から解説しています。


また分析により得られた予測式に基づく重回帰モデルが統計的に意味のあるモデルかどうかを検証するためのExcelによる分散分析の手順を解説しています。


第4章では、「ロジスティック回帰分析
と題して、目的変数が「商品をリピート購買する(1)」または、「商品をリピート購買しない(0)」という例のような2値であるような場合に目的変数が1となる確率を予測する分析手法であるロジスティック回帰分析を取り上げ、ロジスティック回帰分析の考え方、仕組み、結果の解釈等について事例とともに分析手順を解説しています。


「商品のリピート購買の有無」、「価格」、「年齢」、「来店頻度」などの属性データをもとにロジスティック回帰分析を適用するという『商品の販売促進を行う際のプロモーション戦略を立案する』といった観点に関わる分析の事例について解説されています。


第5章では、「判別分析
と題して、二つ以上に分類されるグループのなかで、どのグループの母集団に所属するかが明らかである対象に基づいた予測式を形成し、その予測式から、所属の不明な対象がどのグループの母集団に属するのかを推測する手法の判別分析を取り上げその手順を解説しています。


ソルバーやExcelの関数計算などの機能を用いて相関比に基づく判別分析とマハラノビスの距離に基づく判別分析の手順、考え方、仕組み、結果の解釈などを解説しています。


第6章では、「数量化理論
と題して、単純に数値では表すことのできない質的データを数値化する数量化理論について解説しています。


数量化理論として知られている4つの方法(数量化1類、数量化2類、数量化3類、数量化4類)のうち、


重回帰分析を説明変数が名義尺度や順序尺度といった質的データに拡張したとみなすこともできる数量化1類の手法、


判別分析を質的データに拡張したともみなすことができる数量化2類の手法


について実施例(6.1~6.8など)をもとに手順、考え方、仕組み、結果の解釈などを解説しています。


第7章では、「正準相関分析
と題して、複数の目的変数が存在する場合に各データを代表する総合指標を求め、それぞれの総合指標間の相関係数の最大化を行う手法の正準相関分析について解説しています。


液晶テレビのイメージの評価である「デザイン」と「機能性」のデータと、態度の評価データである「魅力度」のデータを正準相関分析して、イメージと態度の評価の関係を明確にする実施例について、正準相関の考え方と仕組みについて段階を追って解説しています。


第8章では、「コンジョイント分析
と題して、計量心理学において発展してきた理論体系を基礎に消費者選好の測定に応用されるなどマーケティング課題に適用されているコンジョイント分析について解説しています。


マンションの立地の「最寄駅からの便利さ」、「オフィス街までの時間」、「周囲の環境」の3つの属性の重要度を明らかにするという適用例についてコンジョイント分析の手順、考え方、仕組み等を解説しています。


<<本書で何が学べるか?>>


本書では、Excelの機能「ソルバー」を活用し、さまざまな「終わりの言葉」のための多変量解析の因果関係分析・予測手法のための方法・手順を解説しています。


方針や戦略を導いて締めくくる「終わりの言葉」のための手法に当たる単回帰分析、重回帰分析、ロジスティック回帰分析、判別分析、数量化理論1類、数量化理論2類、正準相関分析、コンジョイント分析を取り上げその手順、考え方、仕組み等を詳細に解説しています。


本書と共にパソコンでExcelを立ち上げ、データを用いて、本書の手順に沿って実施してみることでExcelの機能「ソルバー」を活用した「終わりの言葉」のための因果関係分析・予測手法のための多変量解析の方法・手順を学ぶことができます。


<<まとめ>>


Excelの機能の「ソルバー」を活用しての因果関係分析・予測手法のための多変量解析の手法を学びたい方には、本書は、お薦めの一冊です。


なお本書の主要目次は、以下の内容です。
第1章 多変量解析の概要
1.1 データの形式と型
1.2 多変量解析のための準備
1.3 多変量解析とは
第2章 単回帰分析
2.1 回帰分析の概要
2.2 単回帰分析とは
2.3 単回帰分析の適用例
2.4 Excelによる単回帰分析の実行
2.5 単回帰分析の考え方と結果の解釈
2.6 ロバスト回帰分析
第3章 重回帰分析
3.1 重回帰分析とは
3.2 重回帰分析の適用例
3.3 Excel による重回帰分析の実行
3.4 重回帰分析の考え方と結果の解釈
3.5 質的な説明変数を含む場合の重回帰分析
第4章 ロジスティック回帰分析
4.1 ロジスティック回帰分析とは
4.2 ロジスティック回帰分析の適用例/
4.3 Excelによるロジスティック回帰分析の実行
4.4 ロジスティック回帰分析の考え方と結果の解釈
第5章 判別分析
5.1 判別分析とは
5.2 判別分析の適用例
5.3 Excel による相関比にもとづく判別分析の実行
5.4 相関比にもとづく判別分析の考え方と結果の解釈
5.5 マハラノビスの距離にもとづく判別分析の考え方と仕組み
第6章 数量化理論
6.1 数量化1類とは
6.2 数量化2類とは
第7章 正準相関分析
7.1 正準相関分析とは
7.2 正準相関分析の適用例
7.3 Excel による正準相関分析の実行
7.4 有効な正準相関係数の決定
第8章 コンジョイント分析
8.1 コンジョイント分析とは
8.2 コンジョイント分析の適用例
8.3 Excel によるコンジョイント分析の実行






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