QC七つ道具は、パレート図、特性要因図、ヒストグラム、グラフ、チェックシート、散布図、管理図のQC活動のための基本的な七つのツールになります。
本書の著者は、「はじめに」でQC七つ道具のそれぞれの手法は特徴を持っているのでその特徴を理解し、知りたいことに見合った手法を活用すれば、いままで行き詰まっていたことが解明できるかも知れないとした上でQC七つ道具のそれぞれの手法の理解について以下のように述べています。
「実際の改善活動を見てみると、グラフ、パレート図、特性要因図はよく使われていますが、ヒストグラム、散布図、管理図はそれほど使われていません。
『ここでヒストグラムを書けば、もっときめ細かな対策が打てるのではないだろうか?』
とか難しいテーマに取り組み、なかなか成果が見えていない事例も、
『結果を生み出している仕事の4M(人、機械、材料、方法)との因果関係を散布図から考えることで、発生している問題の原因をつかむことができるのではないだろうか?』
と思うこともあります。
また、QC七つ道具を基本に高度なデータ解析へ進めることができます。
ヒストグラムがわかると、平均とバラツキが理解でき、検定・推定や実験計画へと進めることができます。
散布図がわかると、相関関係による相関の程度を数値として把握でき、回帰分析や重回帰分析へと展させていけるのです。」
本日は、QC七つ道具の入門書を紹介します。
<<ポイント>>
QC七つ道具(パレート図、特性要因図、ヒストグラム、グラフ、チェックシート、散布図、管理図)の基本と使い方について図解により解説している入門書。
筆者は、QC七つ道具について『事実を図表に表すことにより問題を見える形にして、問題解決の方向を示唆してくれる7つの基本的な手法』として、本書において
- QC七つ道具の特徴と活用法
- データの必要性と解析手法
- QC的問題解決の進め方
- 「管理」と「改善」の考え方
等を図解と例題で分かり易く解説しています。
本書:「QC七つ道具がよ~くわかる本」です。
「問題を『見える化』する最適ツール!」との副題が付いています。
本書は、著者:今里 健一郎 氏にて、2009年7月に秀和システムより「How-nual図解入門ビジネス」のシリーズの一冊として発行されています。
<<本書のエッセンスの一部>>
本書の表紙カバーの下部には、以下のように書かれています。
基本と使い方を徹底解説!
- QC七つ道具の特徴と活用法がわかる!
- データの必要性と解析手法がわかる!
- QC的問題解決の進め方がわかる!
- 「管理」と「改善」の考え方がよくわかる!
- 豊富な図解と例題で完全理解できる!
本書は、11章から構成されています。
各章は、章のテーマを解説する7つの節に分かれ、各節では、「1-1 問題の見える化」といったテーマについて、見開きの2ページから解説が構成され、左側のページには、解説文が、右側のページには、イラスト等の図解が配されているとう構成になっています。
各章の最初にQC七つ道具がどのような経緯で誕生したかといった経緯など交えた解説文があります。
また章の終わりには、『問題解決あれこれ十カ条』というテーマのコラム欄が設けられ、第一条:「会合は、参加者の技術を最大公約数にする」から第十条:「使いにくいマニュアルなら作らない方がいい」といった問題解決に関する筆者の考え方が示されています。
章を追って概要を紹介します。
第1章では、「QC七つ道具の活用」
と題して、データのグラフ化が問題を見える化するといった例で集めたデータを手法を道具として活用し加工することで、問題の見える化が果たせるという話題に始まります。
QC七つ道具について概説し、データの必要性と取り方について確認し、手法活用の目的からどの手法を用いるかとの選択の考え方、問題を具体化するためのデータの層別、QC手法活用上の留意点、手法活用により得られた情報を書き留めることの重要性などを説いています。
第2章では、「パレート図」
と題して、パレート図とはどのような手法か、何が分かり、どのような場面で用いるかといった解説にはじまり、パレート図の作成手順、パレート図から得られる情報、層別及び特性値の重要性、パレート図の活用の際の留意点、更には、改善前後の効果確認などへの適用について解説しています。
第3章では、「特性要因図」
と題して、特性要因図とはどのような手法かとの解説に始まり、その表し方、仕事の問題を生み出す4M(人、機械、材料、方法)と結果として発生した問題の原因を4Mで考える方法、特性要因図の書き方の手順、「なぜなぜ」を5回繰り返しての要因の洗い出し、特性要因図による技術ノウハウ等の共有化、仮説検証の方法と特性要因図、特性要因図に基づく実験計画法による最適値の算出などを解説しています。
第4章では、「ヒストグラム」
と題して、ヒストグラムはどのような手法かとの解説にはじまり、ヒストグラムによるバラツキ把握、度数表の作成とヒストグラムの作成手順、作成したヒストグラムの見方、規格値など基準との比較による工程状態の判断、平均値と標準偏差の計算、工程能力指数の計算と工程状態の判断といった内容を解説しています。
第5章では、「グラフ」
と題して、改めてグラフとは、グラフの特徴といった視覚的に全体像を把握するための手法とし、代表的なグラフの種類、とくに折れ線グラフ、棒グラフ、円グラフと帯グラフ、レーダーチャートの作成上のポイントと作成上の留意点、より内容を伝わりやすくするためのグラフのビジュアル表現の工夫といった内容を解説しています。
第6章では、「チェックシート」
と題して、チェックシートとはどのようなもので、作成上のポイントといった説明に始まり、チェックシートの作成の手順、また6-3 管理用、記録用、調査用といった目的に対応したチェックシートのポイント、また仮説に基づき作成した特性要因図を図で記入するチェックシートとして活用する方法などを解説しています。
第7章では、「散布図」
と題して、相関と散布図とはどのようなものかとの説明にはじまり、散布図の作成手順、作成した散布図の見方、散布図を活用する際の留意点、相関係数の計算法、回帰直線の作成と食事と運動量とからダイエット効果を予測するといった事例を交えての重回帰分析への展開といった内容を解説しています。
第8章では、「管理図」
と題して、管理図とはどのようなもので特にばらつきの管理の観点で異常ばらつきの検出にどのように活用するかといった説明にはじまり、管理図の仕組み、計量値データの管理及び計数値データの管理のための代表的な管理図の概要、とくにX-R(エックスバー-アール)管理のデータシート、管理限界の計算、書き方、さらに管理図の見方と管理図のくせから工程の状態を把握するための見方などを解説しています。
第9章では、「QC的問題解決法の進め方」
と題して、問題の解消を目的にテーマを決め、問題を発生させている原因を事実のデータから考え、真の原因に対して有効な対策を実行するQC的問題解決法を取り上げ解説しています。
QC的問題解決法の以下の6つの実施手順を最初に解説し、以降、各ステップ毎にその内容と手順をQC七つ道具の活用を交えて解説しています。
- ステップ1:テーマの選定
- ステップ2:現状の把握
- ステップ3:目標の設定
- ステップ4:要因の解析
- ステップ5:対策の立案と実施
- ステップ6:効果の確認と標準化
第10章では、「管理と改善の考え方」
と題して、維持活動(SDCA)と改善活動(PDCA)活動について解説しています。
日常管理と方針管理との関係、日常管理の対象となる業務区分と業務フロー図の作成方法、QC工程図と管理尺度と管理水準の設定、仕事の状態管理に関わる結果系管理項目と要因系管理項目、管理のレベルアップを図る改善活動の実施手順など重点指向による改善活動、標準化とQC工程図などへの管理の定着といった事項を取り上げ解説しています。
第11章では、「QC七つ道具の演習問題」
と題して、「演習-1 不具合発生の状況をグラフに書いてみましょう/演習-2 不具合を層別してパレート図を書いてみましょう/演習-3 寸法の管理図を書いてみましょう/演習-4 寸法のヒストグラムを書いてみましょう/演習-5 平均値と標準偏差を計算してみましょう/演習-6 寸法と作業時間の散布図を書いてみましょう/演習-7 相関係数を計算してみましょう」 といった演習問題が用意され、その解答もあります。
<<本書で何が学べるか?>>
本書では、QC七つ道具(パレート図、特性要因図、ヒストグラム、グラフ、チェックシート、散布図、管理図)の基本とその使い方を学ぶことができます。
特にデータの必要性と解析手法、QC的問題解決の進め方、「管理」と「改善」の考え方などを、多数のイラストなどの図表を交えてわかりやすく説いています。
また巻末には、書き込み式の演習問題と解答が用意されています。
<<まとめ>>
本書は、QC七つ道具の手法についてこれから勉強しようという方には、図解で分かり易く解説されたお薦めの一冊です。
なお本書の目次は、以下の内容です。
第1章 QC七つ道具の活用
第2章 パレート図
第3章 特性要因図
第4章 ヒストグラム
第5章 グラフ
第6章 チェックシート
第7章 散布図
第8章 管理図
第9章 QC的問題解決法の進め方
第10章 管理と改善の考え方
第11章 QC七つ道具の演習問題
(広告)
- 2009年07月22日
- QC手法、統計、QC7つ道具
- コメント(0)